多嚢胞性卵巣症候群で体外受精に4回挑戦も未成熟卵ばかり・・・転院したほうがいいの?【妊活と治療のココが知りたい/浅田レディース品川クリニック】
妊活中には体のこと、治療のこと、さまざまな疑問・不安が出てくるもの。そんなときは、妊活の専門家に聞くのが一番!ドクターにズバリお答えいただきました。
お答えいただいたのは…
浅田レディース品川クリニック(東京都港区)
院長 浅田 義正 先生
1982年名古屋大学医学部卒業。93年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本ではじめて精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004年浅田レディースクリニック(現・勝川クリニック)開院、10年浅田レディース名古屋駅前クリニック開院、18年浅田レディース品川クリニック開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など。
Q1.多嚢胞性卵巣症候群と診断されました。
4回体外受精をしたけど、未成熟卵ばかり。転院したほうがいいでしょうか?
多嚢胞性卵巣症候群の場合、治療する側の技量が大きく影響します。3回実施して、同じ結果なら、転院するのもひとつの方法です。
的確な刺激法を選べば熟成卵は採取できる
卵巣には卵子のもととなる原始卵胞が蓄えられていて、同時期にいくつもの卵胞が半年ほどかけ成熟していきます。ヒトの場合、その中でいちばん大きい卵胞1個が最終まで育ち、あとの卵胞はしぼんでいきます。ところが、卵がなかなか育ちにくいという現象が生じやすい体質のかたは排卵がおこらず、中途半端に育った複数の卵子が卵巣内に残った状態に。これが、「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」です。生理が止まったり、大幅に遅れたりもします。
前述のとおり、PCOSは卵子がなかなか成熟しません。だから薬剤で卵巣を“的確”に刺激し、成熟卵まで育てなければなりません。しかし、「未成熟」だったということは、それができていなかったということ。あるいは、採卵のタイミングが早かったということも考えられます。本当にごくごく稀ですが、突然変異的な遺伝子異常で全部の卵子が成熟障害になる可能性もゼロではないですが、まず考えなくてもよいと思います。
麻酔下で「痛みのない採卵」にこだわっています。麻酔後ゆったり休め、プライバシーに配慮した休養室。
「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」をご存知でしょうか?
OHSSとは一度に多くの発育途中の卵が育つことで卵巣が腫れたり、腹水がたまったりする、排卵誘発剤の副作用です。もともと卵巣に多くの発育途中の卵をもつPCOSのかたは、OHSSになりやすく、副作用を恐れて、早く採卵してしまうことがあります。その結果、「未成熟な卵しかとれない」ということになってしまうのです。
OHSSの引き金になるのは、主に「HCG」という薬剤です。しかし今は、これを使わない方法もあります。代わりに、「GnRHアゴニスト」という薬剤を使えば、多くの卵があっても、ほぼ副作用はありません。卵を成熟させて採取ができるので、当院もこの方法を採用しています。
PCOSをともなう体外受精は、成熟卵がとれれば受精率も高いのですが、採卵にも移植にも、高水準の知識と技術が不可欠です。しっかり理解した病院を選ぶことが大事です。
PCOSは、不妊治療専門のドクターの腕の見せどころだと思っています
PCOSだと、「卵子の質や成熟率が悪い」「受精率が悪い」などと言われることがありますが、これは間違いです。質や受精率が落ちるのは、「PCOSだから」ではなく、刺激や採取の仕方問題。つまり、治療する側の技量の問題です。
PCOSをともなう不妊治療は、かなりの知識と高度な技術を必要としますから、不妊治療のなかでも、医師の腕のみせどころだと思っています。また、PCOSのかたはたくさん卵が採れれば、2人目3人目の卵として凍結して確保しておくようなことも可能です。PCOSで悩んでいるかたは、ぜひご相談ください。
Q2. PGT-Aをすれば、妊娠できるのでしょうか?モザイクを移植しても大丈夫でしょうか?
PGT-Aで正常と判断された胚を移植しても妊娠率は6~7割です。
また、モザイクでも妊娠できた事例は多くあります。
また、モザイクでも妊娠できた事例は多くあります。
メリット・デメリットをよく理解したうえで検討を
PGT-A(着床前診断)とは、体外受精で得られた胚の染色体数を調べる検査です。染色体の数に異常がないものを「正倍数性」、多い、あるいは少ないものを「異数性」といいますが、異数性の胚は、うまく成長できず、妊娠しなかったり、流産してしまう可能性が高いのです。この検査を移植前に実施し、異常が見られない胚を子宮に戻すことで、染色体異常による妊娠しないあるいは流産・死産でおわることを避けることが期待されています。
しかし、PGT-Aを実施したからといって必ず妊娠できるわけでありません。この検査はあくまで、「妊娠できない。あるいは流産になる可能性の高い胚」を選別するもの。また、検査のためには胚の細胞を採取するわけですが、それはほんの一部の細胞です。そのため、検査した部分が正常でも、他の細胞に異常があることも。もちろん、その逆もあります。
そして、採取したなかに、正倍数性の細胞と異数性の細胞がまじっていることがあります。これが、「モザイク」といわれるものです。「異数性がまじっている」と聞くと、避けたほうがいいのでは?と思うかもしれませんが、そうとは限りません。正倍数性の胚に比べて確率は低いですが、モザイクでも無事妊娠できたという例が多くあるのです。
ただし、いずれにしても、PGT-Aは、「妊娠できる胚」と「できない胚」を確実に選別できるわけではないのです。また、正倍数性を戻したとしても、妊娠率は6~7割が一般的です。そして、年齢が上がれば、染色体異常の胚になる確率が高くなることも大事な点。40歳前後のかたならば、胚の7割以上は染色体異常が見られると報告されていますから、検査をしても移植に適する胚がないことがあるわけです。その結果、採卵を繰り返すことも考えられます。
PGT-Aは、基本的に受精卵の数が多いかたは有効ですが、少なければメリットが大きいとはいいがたいでしょう。そういった点も踏まえてよく検討することが重要です。
浅田レディース品川クリニック(東京都港区)
フリーWi ーFi サービスや電源を備えたデスクを完備。ゆったりしたスペースで三密をさけ、感染症対策をしているので安心して受診いただけます。
共同開発した純国産のAI 搭載のタイムラプスインキュベーターを中心にお母さんの体内環境に近づけたこだわりの培養室。
培養室が見えないことへの患者様からの不安を取り除くため「見える Lab® 」に取り組んでいます。
住所
東京都港区港南2-3-13 品川フロントビル3階
問い合わせ
03-3472-2203
アクセス
JR・京急本線「品川駅」港南口より徒歩3分
HP
https://shinagawa-asada.jp/
時間
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土/9:00~16:30
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企画:サンワードメディア
医療法人浅田レディースクリニック理事長。
より短い治療期間で妊娠という結果を出すため、エビデンスに基づいた治療や痛くない不妊治療・痛くない採卵を行なう。1982年名古屋大学医学部卒業。88年名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として不妊外来を担当。95年同病院分院でICSIによる治療開始。同年日本ではじめて精巣精子を用いたICSIによる妊娠例を報告。2004年浅田レディースクリニック(現・勝川クリニック)開院、10年浅田レディース名古屋駅前クリニック開院、18年浅田レディース品川クリニック開院。著書に『名医が教える最短で授かる不妊治療』『女の子が知っておきたい卵子のハナシ。』がある。
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