3ページ目(3ページ中) | 卵子凍結するクリニックの選び方や料金を知りたい! 凍結する卵子の数は、どうやって決める?【専門医監修】
何個ぐらい卵子を凍結すればいい?
つまり卵子凍結は、採卵以外に、凍結にも保管にも料金がかかり、まとまった金額が必要になります。でも、「それなら、採卵数も凍結数も少なくしよう」というのは安易かもしれません。
妊娠しやすいかどうかは、カップルそれぞれの体の状態などもありますが、相手の遺伝子との組み合わせによるところが少なくありません。卵子を融解して顕微授精するときの、パートナーとの相性がいいか悪いかについては、採卵して凍結する時点ではわかりません。
また、精子が卵子に入って受精卵になると、卵子の表面にカルシウムのバリアができて細胞が強くなりますが、卵子だけの場合はそれより細胞が弱い状態です。そのため、凍結して細胞が壊れたり、融解がうまくいかなかったりすることも考えられます。
こうした理由から、卵子凍結の場合、受精卵を凍結する場合の数よりも多く凍結しておくに越したことはないのです。
では、具体的に何個ぐらいの卵子を凍結しておけばよいかですが、1人の赤ちゃんを妊娠するために必要な凍結卵子の数は、平均すると以下の通りです。
【1人の赤ちゃんを妊娠するために必要な凍結卵子の数】
●37歳ぐらい 17個ぐらい
●40歳ぐらい 30~40個ぐらい
●45歳以上 100個以上
この数は、赤ちゃん1人に対してなので、子どもが2人欲しいと考えている場合には、2倍必要ということになります。
採卵数=凍結数ではないことにも注意が必要です。体外受精の場合でも、30代前半で13個採卵したうちの10個が成熟卵で、受精できたのが8個、それを培養した結果、3個が胚盤胞まで育って凍結できたというデータがあります。卵子凍結の場合、凍結できるのは成熟卵ですが、採卵した卵子のすべてが成熟卵ということはありません。
1周期にどれくらいの数を採卵できるかにも個人差があり、血液検査でAMH(アンチミュラー管ホルモン)の値を調べることによって推定できます。AMHは、成長途中の卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣にどのくらいの数の卵胞が残っているかの指標となります。
浅田レディース品川クリニックの場合は、1回の採卵で10~20個採取することを目標としていますが、AMHの値が高い場合は1周期で望む数を上回るほど採卵できる人がいる一方で、AMHの値が低い場合は3回ぐらい採卵が必要になる人もいます。
これらのことから、卵子凍結をする前に、まず将来的に何人の子どもが欲しいかを考え、そこから何個凍結するかを自分で心づもりしておくことが大事だといえるでしょう。
取材・文/荒木晶子
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医療法人浅田レディースクリニック理事長。
より短い治療期間で妊娠という結果を出すため、エビデンスに基づいた治療や痛くない不妊治療・痛くない採卵を行なう。1982年名古屋大学医学部卒業。88年名古屋大学医学部附属病院産婦人科医員として不妊外来を担当。95年同病院分院でICSIによる治療開始。同年日本ではじめて精巣精子を用いたICSIによる妊娠例を報告。2004年浅田レディースクリニック(現・勝川クリニック)開院、10年浅田レディース名古屋駅前クリニック開院、18年浅田レディース品川クリニック開院。著書に『名医が教える最短で授かる不妊治療』『女の子が知っておきたい卵子のハナシ。』がある。
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