「一人になって、子どもが持てないのだと気がついた」50歳を前に覚悟は固まってきたけれど…【子どものいない人生】
「初めて子どものいない女性たちの本音を聞いたときは驚きと戸惑いのほうが大きく、すべてを受け止めきれませんでした」と語る、子どものいない女性を応援する「マダネ プロジェクト」主宰者・くどうみやこさん。
「子どもがいない思い」を閉じ込めた箱を開けるのはとても勇気がいることです。ふれられたくなかった感情や、本人さえ気づかなかった感情があふれ出します。女性たちそれぞれのリアルな人生ストーリーを、くどうみやこさんの著書『誰も教えてくれなかった子どものいない女性の生き方』より抜粋して紹介します。
仕事優先ですべて遅かったが覚悟は定まった
I・Tさん(55歳・独身・会社員)のケース
子どもは欲しいと思っていたが、ハードで仕事優先の毎日
「夫よりも子どもが欲しいと思っていました」
3人きょうだいの長女で両親は共働きだったため、小学校高学年の頃には妹や弟にごはんを作って食べさせたりしていました。近所の子どもやいとこもよく家に遊びに来ていたので、下の子の面倒を見ることが多く、高校・大学のときは学習塾や遊園地でアルバイト。思えばずっと年下の子どもに囲まれている環境でした。
子どもは特別な存在ではなく、身近にいるものだったので、自分の子どもは欲しかったです。若い頃は早く結婚して子どもを持つのもいいなと思っていたのですが、仕事で忙しくしているうちに子どもを産める時期が過ぎてしまった。人生はタイミングが難しいですね。
大学卒業後に入ったのはテレビ番組の制作会社。最初に担当したのは育児番組でした。
多くの同世代の女性たちよりもいち早く、妊婦生活から育児のリアルな生活を追体験することになりました。出産の現場にも何度も立ち会い、目や耳から得た知識はかなりのものになっていました。その知識をもとに20代で結婚・出産すればよかったのかもしれませんが、その後、情報番組に異動。連日徹夜に近いハードな状況ながら、育児番組のときとはまた違う充実した日々を過ごすことになりました。
当時おつきあいしていた男性は結婚願望が強い人でしたが、私は仕事優先の毎日でした。そのうち仕事での責任が重くなってくると、何度も妊娠した夢を見るようになりました。出産シーンはよく知っているだけに、夢もリアルそのもの。一度は分娩台の上で母親に「今はまだ産む時期じゃない」と必死に話していることもあったほどです。
一人になって、子どもが持てないのだと気づいた
情報番組を離れたのが40歳、年齢的に子どもを持つラストチャンスの時期だったのかもしれないけれど、もう少し先でも持てるような気がして、仕事を続けました。その頃、婦人科の病気で産婦人科に通っていたのですが、子どもを持つ喜びを前にした人たちと、病気のために座っている人たちが同時に存在している産婦人科というものはとても微妙なところなのだと、初めて実感することになりました。
子どもを持てないのだと強く感じたのは、東日本大震災の直前。そのときつきあっていた人と別れたあとでした。つきあっている相手がいれば、子どもが欲しいときにできるような気がする。

明らかに自分の年齢を顧みなかったのですが、一人になったことで、子どもは持てないのだと気づいた。そして2011年3月11日を迎え、子どもを持つことに対して真剣に取り組んでこなかった、自分の考えなしの生き方を初めて反省することになりました。
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大人世代のライフスタイルからマーケティングまで、時流やトレンドをとらえた独自の視点で情報を発信。近年は子どものいない女性を応援する「マダネ プロジェクト」を主宰。自分らしく自由で軽やかに過ごすライフスタイルを理想に掲げ、新たな価値観や生き方を提唱。これからの大人スタイルを追求している。著書に『商品PRのやり方が面白いほどわかる本』(中経出版)、『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』(主婦の友社)がある。マダネ プロジェクト「つながるサロン」(子どものいない女性限定) GoodMorning by CAMPFIRE (https://community.camp-fire.jp/projects/view/446996)
マダネ プロジェクト https://www.madane.jp/
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