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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 基礎知識コラム 精液検査の結果が悪かった…。改善する方法があるってホント?自宅採精のコツも教えます

精液検査の結果が悪かった…。改善する方法があるってホント?自宅採精のコツも教えます

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基礎知識
2022/06/08 公開
2023/04/24 更新

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不妊治療に関するさまざま情報が発信されている昨今。そんななかでも「不妊治療は女性が受けるもの」というイメージをもっている男性はまだ多いのかもしれません。でも、実は不妊症の約半分は男性側にも原因があるのです。

特に不妊原因の一つである「精索静脈瘤」は、一般男性の約15%、不妊症男性の約40%にみられ、けっしてめずらしいものではありません。
男性不妊を診察・治療する泌尿器の生殖専門医が在籍している婦人科はごくわずかなので、不妊治療をする際、男性は泌尿器科の生殖専門医を受診するのがおすすめです。

今回は男性不妊の原因や治療方法について、東邦大学泌尿器科教授・リプロダクションセンター長でもある、銀座リプロ外科の永尾光一先生にお話を伺いました。

男性側の不妊。原因は?

男性不妊の原因は、精子そのものに関わるもの(造精機能障害)と、それ以外に分けられます。

精子そのものに関わる原因

●精索静脈瘤
精巣やその上の精索部に静脈瘤(静脈の拡張)が見られ、こぶのように腫れた状態で、陰のうの痛みや違和感を感じることも。精巣が萎縮したり、精子のDNAがダメージを受けたりするほか、男性ホルモンの分泌低下などが起こり、精巣機能が低下するため、精液所見が悪化します。精巣内の石灰化や精巣腫瘍もできやすくなります。

●無精子症
精液中に精子がまったく見られない状態のこと。
精巣で精子がつくられているのに精管が詰まっているため出てこない「閉塞性」と、そもそも精巣内で精子がほとんどつくられていない「非閉塞性」があります。

●乏精子症
精液中の精子が少ない状態で、精索静脈瘤が原因であることが少なくありません。

●精子無力症
精子の運動性が悪い状態です。乏精子症同様、精索静脈瘤が原因のことが多くあります。

精子以外の原因

●ED(勃起不全)
不妊治療のタイミング法などをきっかけとして、勃起できなくなる状態です。ED治療薬を服用して治療します。

●腟内射精障害
マスターベーションでは射精できるのに、腟内に挿入すると射精できない状態をいいます。射精はできるため、性交時に途中でカップに射精し、腟内にシリンジで精液を注入する方法や人工授精などで妊娠をめざします。

●逆行性射精
射精をした感覚があっても、膀胱に精液が逆流して外に出てこない状態で、糖尿病などの場合に多くみられます。内尿道口を閉じる効果があるアモキサピンを服用して治療しますが、効果がみられない場合は、膀胱内から精子を回収して人工授精や体外受精を行います。

男性の不妊検査、どんな検査があるの?


泌尿器科を受診すると、まず検査を行います。一般的に知られているのは精液検査ですが、診察やそれ以外の検査もあります。

精液検査

マスターベーションによって精液をカップに採取して、精子の数や運動状態などを調べます。
精子濃度が薄くなるのを防ぐため、検査を行う前は禁欲が必要です。禁欲期間は3日間が最適で、それ以上長くなるとかえって精子の質や運動率が悪くなります。

精液は、泌尿器科受診時に院内で採取するのが望ましいですが、最近は新型コロナウイルス感染症の影響で、自宅で採取するよう案内している施設もふえているようです。その場合は持ち運びの間にダメージを受ける可能性があるので、注意が必要です。

【チェック!】自宅採精で注意したいこと

精子は体内に存在しているので、体温と同じ温度に保つことが精子にとってよい環境です。紫外線からのダメージも受けるため、肌着の下に入れて持ち運びするなどの工夫をしましょう。

ただし、そのようにしていても、時間とともに温度が下がっていく可能性が高いので、できるだけ持ち運び時間を短くすることも大切です。病院から自宅が遠い場合は、病院の近くに宿泊するなどして採取することも選択肢の一つかもしれません。

精液検査以外の不妊検査

●視診・触診
視診や触診によって、精巣サイズの測定、陰のうの腫れやでこぼこ、精巣上体の大きさや硬さ、圧痛・違和感があるかどうか、精管の太さと欠損の有無、陰毛・陰茎の発育状態の確認を行うことも重要です。

精巣が小さかったり、陰毛・陰茎の発育状態が悪い場合は、ホルモンの分泌が低下していることが考えられ、その場合はホルモン治療が有効なことがあります。

陰のうの腫れやでこぼこがある場合は精索静脈瘤の可能性が高く、精巣上体管が腫れている場合は精巣上体管閉塞、精管が太い場合は精管閉塞が疑われます。

●超音波検査
精巣腫瘍や精巣内の石灰化、精巣上体管の拡張、精索静脈瘤、精巣上体にできる精液瘤などを見つけるために行います。精巣腫瘍は精巣機能が低下している人にできやすく、不妊治療よりも優先して治療が必要です。精巣内に石灰化が見られる場合は、精巣機能が低下していると考えられます。

精液検査の結果が悪かった…。改善はできるの?

精液所見からわかること/精液所見の見方

2021年にWHO(世界保健機関)の精液所見の基準が更新され、表のとおりになりました。

この基準をクリアしていれば、自然妊娠が可能なレベルといえます。

ただし、女性、男性ともに特に問題が見つからなくても自然妊娠しないことはあるので、基準を満たしていれば必ず自然妊娠するとは限りません。

それぞれの項目について、基準を下回った場合には、以下のように診断されます。

●精液量 正常値:1.4ml以上
射出された精液の量のことです。精液量が1ml以下の場合は、逆行性射精の可能性があります。

●精子濃度 正常値:1mlあたり1.6×106=1600万以上
1mlの精液にどのくらいの精子が含まれているかを表します。この基準未満の場合、乏精子症と診断されます。

●運動率 正常値:42%以上
運動している精子の割合のことで、精液検査の中でも重要とされています。これ以下の場合は精子無力症と診断されます。

●総運動精子数 正常値:1638万以上
動いている精子の総数のことです。不妊治療で目安として使われる値で、これ以上であれば自然妊娠する可能性がありますが、これ未満の場合は数値やタイミング法にトライした回数によって、人工授精や体外受精、顕微授精をすすめることになります。

●正常形態率 正常値:4%以上
正常な形の精子の割合で、これ以下の場合は不妊の原因になります。
精索静脈瘤があると奇形精子が多くなりやすく、それ以外にも肥満や喫煙、精巣の温度が高いなどは、奇形精子が多くなる原因になります。

無精子症と診断された場合は…

精液の中に精子を確認できない「無精子症」と診断された場合の治療についてですが、閉塞性無精子症は、精路再建術という手術を行って詰まっている箇所が通るようにします。手術ができないような場合は精巣内精子採取術(TESE)によって精子をとり出したあと、顕微授精を行います。

非閉塞性無精子症の場合は、顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)を行って精子をとり出し、顕微授精をします。手術前に染色体検査(Gバンド法)とY染色体微小欠失(AZF)検査を行い、特別な欠失が見つかった場合は治療ができないことがあります。

乏精子症・精子無力症と診断された場合は…

乏精子症や精子無力症で精索静脈瘤が原因の場合は、手術を行います。
精索静脈瘤がない場合は、どちらもコエンザイムQ10や亜鉛、L-カルニチン、クロミフェンなどを服用して治療します。

精索静脈瘤と診断された場合は…

精液所見が悪かった場合に見つかる疾患は、精索静脈瘤40%、精子の通り道がふさがっている精路閉塞2%、男性ホルモン・テストステロンや精子のつくられる量が減る低ゴナドトロピン性性腺機能低下症0.0001%で、実は、治療が可能な疾患のほとんどは精索静脈瘤です。診断された場合は手術を行ないます。

精索静脈瘤の手術「ナガオメソッド」とはどんな手術法?


精索静脈瘤の手術には、一般的な「顕微鏡下低位結紮術」や「顕微鏡下高位結紮術」など、いろいろな方法があります。

しかし、一般的な顕微鏡下低位結紮術では、精管と動脈1本ずつのみ残して、ほかに複数ある動脈やリンパ管、神経をいっしょに糸でしばるため、糸が緩んだり、外精(逆流)静脈が残ったりして再発率が高くなります。
また、多くの動脈やリンパ管、神経をまとめてしばることにより、血流障害や腫れ、痛みなどが生じることも少なくありません。

顕微鏡下高位結紮術は、心臓に近い位置で逆流静脈をまとめる方法ですが、外精(逆流)静脈が残るため、再発率が約5%あります。

それに対して、銀座リプロ外科で行っている「ナガオメソッド」は、精管1本と動脈6~16本、リンパ管と神経それぞれ8~26本をすべて残す手術方法です。精索や外精組織から血管やリンパ管、神経を1本ずつていねいにはがし、逆流静脈のみをしばるため、ほかの手術にくらべて合併症が起こりにくく、再発率はわずか0.5%とたいへん高い効果が期待できます。

この手術を行うには、顕微鏡を使って、非常に細かく入り組んだ器官の手術を行う「マイクロサージャリー」の技術が必要です。銀座リプロ外科ではマイクロサージャリーの十分なトレーニングを積み0.5mmの吻合技術をも持つスーパーマイクロサージャンが手術を行っています。

ナガオメソッドによる精索静脈瘤の手術を受けた結果、87%に精液所見の改善が見られ、自然妊娠できたという患者さんも多くいます。
男性が泌尿器科できちんと検査を受け、精索静脈瘤が見つかった場合はできるだけ早く治療を行うことで、女性側の精神的・身体的負担を軽くすることができます。特に、陰のうがでこぼこしている、痛みがある、熱を持っているなどの症状がある場合は、早めに受診することが大切です。

取材・文/荒木晶子

銀座リプロ外科


住所
東京都中央区銀座2-8-19 FPG links GINZA 6F

電話番号
03-5159-2240

アクセス
東京メトロ丸の内線「銀座」駅より徒歩3分、有楽町線「銀座一丁目」駅より徒歩1分、日比谷線「東銀座」駅・JR「有楽町」駅より徒歩5分

https://ginzarepro.jp/

診察時間

※医師の都合により、診察日・診察時間が変更になる場合があります
※完全予約制です。
(初診の方はHPの初診専用受付フォームよりご予約ください)

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東邦大学医学部教授。東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター長。泌尿器科学会専門医。日本生殖医学会認定生殖医療指導医。形成外科学会専門医。精索静脈瘤の診断や手術における日本の第一人者。マイクロサージャリーを専門とした日帰り精索静脈瘤手術をはじめ、各種男性性機能診療を行ない、「銀座リプロ外科」でもその技術を提供。「NPO法人男性不妊ドクターズ」理事長として、患者のニーズにあった情報を伝えるべく、講演会や市民公開講座などでも積極的に活動している。

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