貧血の女性の妊娠。赤ちゃんへの影響は?考えられるリスクと妊娠前からできること【妊娠と貧血②】
「貧血」に悩む女性は多いのではないでしょうか?貧血は妊娠をめざす場合にどんなリスクが考えられるのか、妊娠後に気をつけたいことなどもまとめました。
妊娠と貧血①を読む>>なぜ女性に多いの?貧血は不妊の原因になる?
監修・執筆
みぞぐちクリニック
溝口徹 院長
福島県立医科大学卒業。横浜市立大学医学部付属病院、国立循環器病センター勤務を経て、2003年に日本初となる栄養療法専門クリニック新宿溝口クリニック(現:みぞぐちクリニック)を開設。
妊娠初期に貧血になりやすいと聞きますが、なぜですか?
医学的には貧血は赤血球数やヘモグロビン値などが基準値を下回った場合に診断されます。これらの項目は体内の鉄が不足してくると低下するため、基準値よりも低値になったときに鉄欠乏性貧血と診断されることになります。(①同内容を補足でいれております)
とくに妊娠中は、おなかの赤ちゃんの鉄需要も満たさなくてはなりません。そのため、母体は鉄欠乏になりやすくなります。妊娠初期だけでなく、どの妊娠経過においても鉄は不足しやすい栄養素です。
貧血の女性が妊娠。お腹の赤ちゃんへの影響は?妊娠経過への影響もあるの?
妊娠中の貧血にたいして鉄を補充することによって、早産・子宮内発育不全・周産期うつなどのリスクを減らせることが知られています(*1)。
つまり鉄は正常な子宮内での胎児の成長と出産に関係するだけでなく、母体側ではマタニティーブルーや産後うつなどの精神状態とも関係しています。
貧血の女性が出産する場合、考えられるリスク
自然分娩では、約500mlの出血があると言われています。つまり貧血の妊婦が出産することによって、さらに鉄不足が進行することになります。産後になり鉄欠乏性貧血と診断されることも多くあります。
通常の貧血症状が生じたり増悪したりするだけでなく、とくに鉄不足の場合には産後うつのリスクが上がります。
妊娠前・妊活中から貧血を予防するためにできることは?
妊娠出産を希望する場合には、妊娠前から貧血を予防することが大切です。
そのためにはフェリチン値を測定し適切な値を維持するよう食事やサプリメントなどを用いて鉄の摂取を増やす必要があります。また月経の出血量が多い場合や、月経にともなっていわゆる貧血症状が増悪するような場合には、子宮内膜のトラブルの有無などを婦人科でチェックし、必要であれば事前に対応することが重要です。
鉄は吸収しにくいミネラルなので、女性の場合には不足傾向になりやすいのが事実です。日々の食事で意識をしていきましょう。吸収効率の高いヘム鉄を多く含んでいる、赤身の肉、レバー、貝類などを意識的に食べるようにしてみてください。
*参考:American family physician. 2023 Aug;108(2);139-150.
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神奈川県生まれ、1990年 福島県立医科大学卒業。
横浜市立大学医学部付属病院、国立循環器病センター勤務を経て、2003年に日本初となる栄養療法専門クリニック新宿溝口クリニック(現:みぞぐちクリニック)を開設。
栄養療法は精神疾患の治療方法として海外から広まった経緯もあり、精神疾患の症例を多く経験している。現在は、発達障害、不妊治療、難病など治療が困難な疾患も広く治療している。
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