〈体外受精の疑問〉私と友人では排卵誘発剤の使い方が違うみたい。それはなぜですか?【不妊治療専門医がお答え】
多くの夫婦が抱える「赤ちゃんができない」という悩み。赤ちゃんを希望する年齢が高くなっていることもあり、不妊に悩む夫婦は増加傾向にあります。しかし、不妊治療には時間的なリミットがあります。
後悔しないためには、まず自分たちの体のことはもちろん、治療内容をきちんと理解することも大切。今回は、山下レディースクリニックの院長・山下正紀先生に「卵巣刺激」について教えてもらいました。
関連記事→卵巣刺激法とは?体外受精や顕微授精に欠かせない卵巣刺激について解説!【専門医監修】
【質問】卵巣刺激のスタンダードな方法を教えて
〈質問者データ〉
37歳/夫の年齢40代
妊活歴3年
既往歴:片側卵管閉塞、卵巣機能不全
体外受精をしている友人と先日話をしていたら、排卵誘発剤の使い方が私と友人とでは違っていました。どんな違いがあるのでしょうか?
【お答え】体外受精時の卵巣刺激には「高刺激」と「低刺激」の2つがあり、できるだけ多くの卵がとれる方法を選択します
体外受精では、排卵誘発剤を用いて複数の卵胞を育てます。そのための卵巣刺激の方法ですが、大きく分けて高刺激と低刺激の2つがあります。
関連記事→自分に合った卵巣刺激法はどれ?「PPOS法」や「アンタゴニスト法」など、知っておきたい6種類をチェック【医師監修】
高刺激は、できるだけたくさん卵をとる方法で、現在では、それが第一の選択です。
受精卵(胚)が多く得られれば、それだけ妊娠の可能性が高まります。以前は卵がとれすぎると妊娠率が下がるといわれていましたが、今は受精卵を安全に凍結することができるので、卵の数は多ければ多いほどいいのです。
当院では、18個以上卵がとれた方の累積妊娠率は80%を超えています。低刺激法は、高刺激を行っても卵が多くとれない、卵巣予備能が低下したケースで選択される、どちらかというと消極的な方法といえます。
「アゴニスト法」と「アンタゴニスト法」
卵巣刺激では、採卵まで自然な排卵を抑制することが必要です。その抑制方法にはこれまでは主に2つ。アゴニスト点鼻薬を使う「アゴニスト法」(ロング法、ショート法)と、GnRHアンタゴニスト製剤を使う「アンタゴニスト法」です。
アゴニスト法のデメリットは、卵を最終的に成熟させるために、必ずhCGを使わなくてはいけないことです。hCGにはどうしても卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがあります。
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一方、アンタゴニスト法は、最終成熟にhCGではなくアゴニスト点鼻薬が使用できるため、OHSSのリスクをほぼゼロにすることができます。いっときロング法とアンタゴニスト法を比較して、ロング法のほうが妊娠率が高いといわれたことがありましたが、凍結胚での妊娠率は変わらないという結果になり、ロング法の利点は薄れてきています。
また、最近では、アゴニストもアンタゴニストも使わない、非常にシンプルな新しい方法(PPOS=黄体ホルモン併用卵巣刺激法)が出てきています。
飲み薬の合成黄体ホルモン剤(デュファストン、ルトラールなど)を服用するだけで、従来法と同等の排卵抑制効果があり、卵の質も損なわれません。コストも低く、通院の回数も少なくてすむため、国内の施設でも採用されつつあります。
なお、排卵抑制に用いられる薬は異なりますが、卵子を育てるには、いずれの方法でもhMG製剤やFSH製剤を用います。
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