卵巣が腫れたままで妊娠しても大丈夫?排卵を促す薬のデメリットや副作用を知りたい【専門医に聞いてみた】

不妊を心配したことがある夫婦は39.2%、夫婦全体の約2.6組に1組の割合といわれています(不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック 令和4年度より)。赤ちゃんを希望する年齢が高くなっていることもあり、不妊に悩む夫婦は増加傾向にあります。しかし、不妊治療には時間的なリミットがあるのも事実です。
遠回りせずに治療をすすめるためには、体のことはもちろん、治療内容をきちんと理解することも大切。今回は「排卵誘発剤について」山下レディースクリニックの院長・山下正紀先生に教えてもらいました。
卵巣が腫れたままで妊娠しても、大丈夫?
質問者データ
33歳/夫の年齢30代
妊活歴1年10ヵ月
既往歴:排卵障害
排卵障害と診断され、注射の排卵誘発剤を使用しています。誘発剤の副作用で、卵巣が4㎝に腫れてしまいました。腫れたままの状態で妊娠しても、大丈夫なのでしょうか?
関連記事→卵巣ってどこにある?大きさは?
【ドクターアンサー】注射薬の排卵誘発では卵巣の腫れは起こります
hMGとhCGを使用して排卵誘発を行う方法はゴナドトロピン療法と呼ばれるもので、非常に強い排卵誘発効果があります。
hMGはゴナドトロピン(FSHとLH)にあたるホルモン製剤で、これを注射することで直接卵巣を刺激して排卵を促します。体外受精など、できるだけ多くの卵胞を発育させたいときにも用いる方法です。
最大のデメリットは、排卵される卵子の数がコントロールしきれないことです。また、この方法では、必ず卵巣は腫れますし、おなかに多少の水もたまります。
関連記事→不妊治療で使う「排卵誘発剤」の効果や副作用(リスク)を知りたい
重症にならないよう慎重に経過をみていきましょう
卵巣の腫れなどの程度が著しいときに卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こし、大きなトラブルとなることがあります。とくに多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の人では、かなりの頻度でOHSSが発生します。
OHSSの自覚症状としては、下腹部が張っているように感じたり、実際におなかが出てきて、ウエストがきつくなったりします。吐き気や嘔吐、急激な体重増加があることも。まれですが、重症になると胸水がたまって呼吸困難を起こしたり、脳梗塞などの血栓症になることがあります。
OHSSのリスクが高いと判断した場合は、hCG製剤の投与を中止して、それ以上の重症化を防ぎ、また多胎妊娠のリスクが回避できないため、この周期の治療はキャンセルします。
妊娠しなければ、そのままでも卵巣の腫れは元に戻るでしょう。また妊娠した場合には、胎盤になる部分からhCGが分泌され、腫れがさらにひどくなったり、長引いたりする可能性があります。
いずれにしてもhMG+hCGによる排卵誘発を受ける際には、その危険度や注意点等について、よく主治医の先生と話をしておきましょう。
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