4ページ目(7ページ中) | 第2子妊娠の横澤夏子さんも悩んだ「不妊脳」。人気妊活マンガ『妊活夫婦』作者とホンネで不妊治療を語りあう!
駒井 もし、自分の実体験をそのままエッセイにしたら、思い出しちゃうことがあったかもしれないんですけど、主人公・栄子は、あくまで自分とは違う人間。
栄子と一郎という自分とは別の夫婦のストーリーを描いているので、つらくなるというのはあんまりなかったかな。
そもそも不妊治療中もあまり落ち込むことはなかったんです。私の場合はフリーランスなので時間の融通が利き、周囲から妊娠へのプレッシャーをかけられることもなかったので、治療環境が恵まれていたのも原因だったと思います。
横澤 でも、マンガでは心の闇の部分とかも描かれているじゃないですか。私はもろ闇に入るほうだったんです(笑)。
人と比べてというか、あああー!!! てな感じになっちゃうので、闇の部分にもすごく共感しました。
駒井 はい。SNSや掲示板の妊活あるあるを読んで、タイミング法や妊娠検査薬で一喜一憂するのは私にもあったし、わかるー!と思っていました。
けど、私が妊活していた時期は、まわりで子どもを産んでいる人がまだまだ少なかったから、「子どもを産まないの?」と聞かれても「そのうちね」と言って、サラっと流せたんですよね。
ところが、ネットや妊活雑誌で本音を探すと「落ち込んで泣いた」という人がたくさんいました。私がわかっていないこともすご多かったですし、こういうことを言っちゃいけないんだなということも学びました。なので、逆に自分も勉強をしながら進んでいったところがありますね。
会社員の方のなかには、妊娠判定で陰性が出るたびに「今回もダメだった」という報告を、上司や同じチームの同僚にせざるを得ないという人もいました。
自分が会社員だったら、それをやらないといけなかったと思います。実体験を思い出し、それはつらいよなと感じながら、エピソードに盛り込んでいきましたね。
横澤 駒井さんのマンガを読むこともそうでしたけど、ネットで検索して、不妊の方のエゴサーチをするというのかな。それで気持ちを落ち着かせる部分がありました。やっぱり同じことを考えていた!みたいな。
駒井 同じ人がいっぱいいた、よかった!みたいなね。
しかしそんな妊活仲間も、念願の妊娠をきっかけに関係がギクシャクすることも。そんな時、素直に「おめでとう」と言えない気持ちになってしまうこともありますよね。
横澤 そういう感情になるってこともあると知るのも必要なことというか。私もその道をたどってきたからこそ、そうだよなあと思ったりします。
駒井 自分の不妊治療を振り返ると、治療していることを周りに話したことはほぼなくて。
理由は、不妊治療していることを人に話して、心配されるのが嫌だから。私、人前で泣けない女なんです(笑)。『妊活夫婦』は妻・栄子と夫・一郎の夫婦ですけど、どちらかというと私のキャラは一郎寄り。
横澤 そっか! そういうことですね。すごいつながりました!
駒井 横澤さんもお仕事のネタとして、女の人の描写をされるじゃないですか。私にとっての栄子はそれと同じです。
女性のあるあるを抽出して描いたのが栄子で、私自身は一郎に近い。自分に格好をつけちゃうというか、弱さを絶対に人に見せないタイプなんです。その人はその人なりの抱えている部分があって、強く見せてても、実際にはやっぱりつらいところもある。で、思ってはいないのだけど、つい、考えすぎて「離婚しよう」と言いだしちゃったりとか。
横澤 うんうん。
駒井 けっこうね、だんなさんの悪口を書くと、視聴率が上がるんです(笑)。
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