【不妊治療スペシャリストインタビュー】〈神奈川レディースクリニック〉胚培養士・鈴木亮祐さん
不妊治療クリニックには医師や看護師だけでなく、血液検査や尿検査を行い測定する臨床検査技師、卵子と精子を受精させその後、受精卵を培養・管理する胚培養士など、さまざまな分野の専門家が在籍しています。
今回は、ふだんクリニックを受診していてもなかなか接する機会のない、培養士のスペシャリストにお話を聞きました。
〈お話を聞いたスペシャリスト〉
神奈川レディースクリニック
培養部部長
日本卵子学会・日本生殖医学会認定 生殖補助医療管理胚培養士
体外受精コーディネーター
鈴木亮祐さん
管理胚培養士。新潟大学大学院自然科学研究科生命・食料科学専攻博士前期課程修了後、山王病院に培養士として5年弱勤務したのち、2014年1月より神奈川レディースクリニックに勤務。2022年東京農工大学大学院連合農学研究科生物生産科学専攻博士課程修了。2024年、胚培養士の上級資格である「管理胚培養士」に合格し、資格を取得。「1つの細胞が命として誕生する神秘」に魅せられて、培養士としての道にまい進している。
理事長に聞きました!神奈川レディースクリニックの培養士さんって?
神奈川レディースクリニック
理事長 小林淳一先生
「当院の培養士は、学会に参加して得た情報などを共有しながら学びを深め、培養技術を磨くとともに、培養士外来で患者さんからのご相談に答えることで、患者さんの目線に立った治療への意識も培っています」
2000人いる胚培養士の中でも資格保有者が30数人しかいない「管理胚培養士」に合格
東急東横線「東白楽駅」、JR京浜東北線・横浜線「東神奈川駅」、京急本線京急「東神奈川駅」から徒歩7~8分以内に位置する「神奈川レディースクリニック」。神奈川県内はもちろん、東京からも通いやすく、アットホームな雰囲気が患者さんに人気のクリニックです。
「当院は年間2000件近く採卵を行っています。その卵子と精子を受精させ、受精卵を培養・管理する培養士が、若手からベテランまで19名在籍しています。
国内の生殖医療関係の学会にはほぼすべて参加できる環境が整っており、学会での学びを全員で共有するようにしています。経験豊富かつ常に新しい情報を把握している培養士が多く在籍していることが、当院の安定した治療成績につながっていると自負しています」
そう話すのは、培養部部長である鈴木亮祐さん。鈴木さんが2024年に合格した「管理胚培養士」は、2000人以上いる胚培養士の中でも保有者が30数人しかいない超難関の資格です。
「管理胚培養士と胚培養士とで、業務内容が変わるわけではありません。ただ、管理胚培養士は、胚培養士として5年以上勤務していること、大学院の博士課程を卒業していること、5年間で論文3本、学会での発表を5回行っていることと、受験資格が大変厳しく定められています。
その過程で得られる、生殖補助医療に関するより高度な知識や倫理観を患者さんに還元したい、日本の生殖補助医療に貢献したいという思いで、この資格にチャレンジしました」
そんな鈴木さんが大事にしていることは、患者さんの卵子や精子、1つ1つに向き合うことだといいます。
「卵子や精子は、その質感や運動性が個々に異なり、1つとして同じものはありません。
例えば、顕微授精を行う際に卵子の膜が弱そうであれば、慎重に受精させるなど、その特性を判断してアプローチしています。さまざまな選択肢の中から、その卵子や精子にとって最適な手法を選び、医師と連携を取りながら、当院としてお一人お一人の患者さんに合った治療を提供していけるよう、心がけています」
体外受精コーディネーターの資格を持つ胚培養士が個別カウンセリングを実施
神奈川レディースクリニックでは、患者さんの悩みや疑問に答える個別カウンセリングが用意されています。医師である小林理事長や不妊症看護認定看護師・不妊カウンセラーによる個別カウンセリング以外に、培養士によるカウンセリングも受けることができます。
「カウンセリングは、“体外受精コーディネーター”という資格を持った胚培養士が行っています。これは体外受精を専門とする資格で、日本カウンセリング学会の講習や学術集会に参加したうえで試験に合格すると得られます。私もその一人です」
体外受精コーディネーターによるカウンセリングは、ホームページから対面またはオンラインで予約を取ると、1回に40~60分相談することが可能です。
「採卵後に受精、培養しますと説明は受けていても、ご自分の胚に何が行われているのか患者さんは具体的にはわからないので、そこに不安をお持ちの方もたくさんいらっしゃいます。ご相談時に、直接胚を見ている私たちにしか気づけないことや、胚をどのように観察しているかなどをお話すると、大変喜んでいただけます。
また、医師には遠慮して質問しにくいようなことを気軽に聞いていただける場としても、ご利用いただいています」
「相談するタイミングは、胚の培養を終えたときがおすすめです」と、鈴木さん。
「採卵した卵はすべて受精・凍結できるとお考えの患者さんが多く、受精卵にならなかったり、胚盤胞まで育たないものがあったりすると、自分はダメなのではと思われる方も少なくありません。
そういう方には、すべてが受精・凍結できるのではないですよと、こちらの持っている情報を交えながらお話しすると安心していただけますね。今回はうまく育たなかったという場合も、その原因を一緒に考える機会になります」
実は、鈴木さんご自身、神奈川レディースクリニックで体外受精を受けて2人のお子さんを授かったパパでもあります。
「不妊治療は、これをやれば必ず成功するというものではないんですよね。ですから、患者さんはいつも不安を抱えていらっしゃると思います。そんな患者さんお一人お一人に真剣に向き合って、心が少しでも軽くなるよう、力を尽くしたいと思っています」
白を基調とした明るい雰囲気の受付。5人の医師と培養士、看護師など総勢85 人で治療にあたっています。
さまざまな機器を揃えた培養室で体外受精を行います。
最新機器が揃った培養室で胚培養士が受精卵を培養します。
神奈川レディースクリニック
住所:
神奈川県横浜市神奈川区西神奈川1-11-5 ARTVISTA横浜ビル
電話:
045-290-8666
診療受付時間:
月曜~水曜・金曜 8:30~12:30、14:00~19:00
土曜 8:30~12:00
日曜(第2・第4)・祝日 8:30~12:00
※水曜の受付は19:30まで
※木曜・日曜(第1・第3・第5)完全予約制
アクセス:
JR京浜東北線・横浜線「東神奈川駅」より徒歩5分、東急東横線「東白楽駅」より徒歩7分、京急線「京急東神奈川駅」より徒歩8分
公式HP:
https://www.klc.jp/
企画/サンワードメディア
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