私はこの結果が衝撃的で不安になったのですが、当の本人はノーダメージ(笑)。
検査の結果が悪いと男性はひどく落ち込むと聞きますよね。デリケートなことでもあるので伝え方が難しかったのですが、結果を聞いた夫は、自分の精子の状態が悪いことを理解したうえで、「ぜんぜんショックじゃない」と。
先生からは奇形精子症などといった病名をつけられたわけでもなく、何か治療をしましょうといわれることもなかったのですが、夫が自分で調べて、自ら亜鉛やコエンザイムQ10などのサプリを飲むようになりました。
「サプリメントは夫婦で飲んでいました」
夫は不妊治療に対して文句を言うこともなく、ずっと協力的。いつも私に寄り添ってくれていました。
タイミング法から人工授精、次へのステップアップ後も、できるだけ治療の話を共有して当事者意識を持ちながら二人で知識を深めていったので、不妊治療を経験して夫婦の絆が深まったと感じています。
「夫は妊活に協力的。いつも支えてくれてありがとう」
体外受精の予定が顕微授精に
夫婦で検査をして、人工授精1回を経て、2024年8月に顕微授精にステップアップしました。
「卵胞を育てるための『レコベル皮下注12μgペン』などの薬の写真も、不妊治療の記録として残しています」
多嚢胞性卵巣症候群ということもあり、高刺激法での採卵できた卵子の数は34個。
私たちは体外受精でいくと思っていたのですが、採卵当日の検査の結果、夫の精子の状態が悪くて。今までで一番悪いくらいの状態だったんです。
自宅で採精して容器に入れる作業だったのですが、夫の精液量はもともと少ないタイプだったけれど、この日はいつもよりさらに少なくて。「もう一回がんばって!」と言ってがんばってもらい、それをクリニックに持参しました。
関連記事→精子を病院に持参!採精してすぐに持っていけない日もあるけれど、問題アリ?ナシ?【人工授精の疑問にドクターがお答え】
どうにか精液の量は足りたのですが、精子の状態や運動率もよくなくて、胚培養士さんからも「今までの結果と比べてどうしたんだろう?何か変わったことはありましたか?」と言われ。精子はプレッシャーに弱いというのは本当なんだな、と。
そんなこともあって、採卵が終わってから胚培養士さんに「全部顕微授精でいきます」と言われ、初めての高度生殖医療は顕微授精になりました。
グレードの高い受精卵が5個!そして…
通っていたクリニックは胚培養士さんから直接説明を受けるのですが、胚のグレードの付け方はクリニックによってバラつきがあるらしいんです。「当院は厳しくつけていて、グレードの高いものを凍結します」とはおっしゃっていました。
採卵できた卵子34個のうち25個が正常に受精卵(胚)になり、そこから数が減っていき、最終的には9個に。
多嚢胞性卵巣症候群で採れる卵子は未熟なものが多いと聞いていたのであまり期待はしていなかったのですが、グレード4BAが5個くらいあって、意外と多く採れたな、というのが正直な感想です。
その中のひとつを移植して、それが今、おなかの中で元気に育っている赤ちゃんです。
9個のうち1個は今私のおなかの中にいて、残りの受精卵は8個。最初は治療費込みで受精卵の凍結保存料が含まれているのですが、その期間は1年。また1年後に受精卵をどうするかの連絡を自分からクリニックにしなければなりません。
「この受精卵が、今おなかの中で育ってくれています」
子どもは2人欲しいと思っていますが、受精卵がある安心感もありながら、更新についても夫婦でしっかり考えていかないと。
不妊治療と仕事の両立に悩んだ日々
不妊治療は、健康保険で使える高額療養費制度を利用しているとはいえ、やっぱりお金がかかりました。
本格的に治療を始める前に引っ越しもしているし、子どもが生まれてからもお金が必要です。これからも働いてがんばらないと!と思っているので、今の仕事は今後も続ける予定です。
ただ、仕事は好きなのですが、不妊治療との両立は本当に大変でした。
実は、採卵のタイミングで、会社を1ヵ月休職したんです。妊活サポート制度もあって会社自体に不満はありません。それでも、男性の上司には妊活のことをなかなか理解してもらえないと感じることがありました。
私の仕事はシフト制の接客業で、通院のときはどうしても仕事の調整をお願いする必要が出てきます。
そこで上司に事情を話したところ、「不妊治療をしているからといって特別扱いはできない」「仕事かプライベート(治療)か優先順位を決めて」などと言われ、不妊治療と仕事との両立に悩みました。
また、仕事の内容上、予定が立てづらかったり、職場の若い女の子たちに治療のことを言えなかったり、自分が孤立していると感じたこともありました。
色々なことが重なった結果、採卵の大事な時期にストレスを溜めたくなかったので、思い切って1ヵ月休むことにしたんです。
仕事をしながらの妊活、もっと理解のある世の中になってほしい
仕事と不妊治療の両立は大変だったし、気持ちが折れそうになることが何度もありました。
でも、つらいことばかりではなくて、会社の中でも、人事や労務の担当者、妊活サポート制度を立ち上げた女性の方々に相談をしたところ、私の気持ちや状況をわかってくれて救われた部分もあります。
その後、在宅勤務が増えたりと、状況が改善されたところもありました。
私と同じように、仕事と妊活をがんばっているかたもいると思うので、不妊治療にもっと理解のある世の中になってほしいと思います。
不妊治療を経験してよかったこともたくさん!
それから、不妊治療を経験して前向きになれたことや学んだこと、新しい発見ももちろんありました。
タイミング法は、毎月リセットがくるたびに大泣き。でも、不妊治療を本格的に始めてからは、「リセット=次の周期のD1(Day1)」とスタートラインを意味する言葉のため、立ち止まっている暇はない!と背中を押されているような感覚に。
それが、何事も立ち止まることが嫌な私の性格には合っていて、気持ちがラクになり前向きになれたんです。
また、顕微授精をすることで受精卵が実際に目に見えて、それがとても愛おしくて…!私は夫を「J(ジェー)」と呼んでいるのですが、受精卵を「ベビJ」と名づけていました(笑)。
「(左)“頭に手をまわしてくつろいでる”妊娠16週のベビJと、(右)“指しゃぶりをしている”妊娠20週のベビJです。マイペースな赤ちゃんみたい♪」
移植のときに手術室で「今日はこの受精卵を戻します」と写真をいただいて、戻すときもモニターで見ることができて、そしてベビJが私の子宮に入る瞬間も、「入ったな」と感じて泣きそうになりました。
自然妊娠だと胚盤胞までの過程や着床などの最初の誕生に立ち会えなかったと思うと、神秘的でいちばん想いがあふれる時間でした。不妊治療全体を通して命の尊さを身に沁みて感じましたね。
料理が得意に♪温活も楽しく
料理はあまり得意ではなかったけれど、各栄養素のことを学んでバランスのいい食事を意識するようになったのは、妊活中も今も自分のためになっているのでよかったと思います。
もともとパンが大好きで、週に20個以上食べていたときもありました。でも、不妊治療を始めてからは主食をパンからお米にチェンジ。
「まごわやさしい」の表を作って冷蔵庫に貼り、1日で栄養が満たせる献立を考えて自炊するようになりました。職場にはお弁当を持参。
「毎食『まごわやさしい』を意識しています」
オメガ3脂肪酸をとるためにお味噌汁にアマニ油を入れたり、魚は苦手だったけれど「楽天の冷凍のサバがおいしいよ」と教えてもらってからお魚も食べるようになったり、食生活はガラリと変わりましたね。
「お魚中心の和食メニューで、妊娠に向けた体づくりをしていました」
「料理は苦手だったけれど、レパートリーが増えました!」
妊娠のためのサプリメントも、妊活といえば真っ先に葉酸が頭に思い浮かびますが、検査をしたらビタミンD欠乏症だったんです。亜鉛も足りていなかったので、ビタミンDと亜鉛は二倍量を飲むよう先生に言われて飲んでいました。
さらに、先生が海外から個人輸入しているDHEAのサプリも飲んでいました。採卵時期まではDHEA、採卵後は着床しやすいようにラクトフェリンにチェンジ。ラクトフェリンに変えたのは自分で調べて実践しました。
シャワー派だったけれどきちんと湯ぶねにつかるようになったし、夏場でも腹巻きをして靴下を履いて、温活も意識していました。
「SOWANのシルク腹巻き」は薄いのにとても温かくて、妊活中は欠かせないアイテム。ムレるような熱さではなく、内側からぽかぽか温かく感じられるところがお気に入りでおすすめです。
妊娠6ヵ月に突入。もうすぐ赤ちゃんに会える!
一度流産しているので、妊娠検査薬で陽性が出ても、1回目のときはうれしい気持ちしかなかったけれど、今回は「また流産したらどうしよう…」という不安が4割くらいありました。
でも妊娠検査薬のフライング検査はやめられず、移植後5日目くらいからやっていました(笑)。
関連記事→【妊活あるある】妊娠検査薬のフライング検査をやめられないのって私だけ!?
他のかたはどうかわかりませんが、私の場合、フライング検査をしなくても妊娠超初期症状がわかりやすくて、4日目くらいから熱が出たり頭痛があったりしたので、次の受診日まではソワソワ…。
そして迎えた妊娠判定日。
hCG(妊娠初期に受精卵から尿中に分泌されるホルモン)の値が妊娠5週目で500mIU/ml以上あって、その数値は前回の倍以上!先生からも「妊娠継続率は94~95%くらいありますよ」と言われて、それで少し安心しました。
「夫に赤ちゃんの性別を発表するために作った、ジェンダーリビールケーキ。性別は…男の子でした!」
その言葉通り、妊娠は継続していて、つわりが終わり安定期を迎え、今は妊娠6ヵ月に突入しました。
「ベビーグッズも少しずつ買い揃えています」
予定日は6月17日。赤ちゃんが生まれてくるその日を、夫婦で楽しみに待っているところです。
※あくまで個人の体験です。治療や薬の処方などに関しては必ず医師に相談してください。
取材・文/片桐理恵
〈あかほし会員だけが読める!限定記事ラインナップ〉
▶〈子宝風水〉妊活運アップに!2025年巳年のラッキーアイテム&カラーを発表【星読み師★takaがアドバイス】
▶【Dream Ayaさん】赤ちゃんにだって、生まれたいタイミングがある。それに気づいてラクになった【後編】
▶受精卵の発育はよくなかったけれど、先生の言葉「大丈夫!」を信じて【相席スタート・山﨑ケイさん妊活記〈中編〉】
▶【大島美幸さん2人目妊活記】できれば続けたかったけれど…2人目妊活を卒業することを決めました【中編】
▶陽性判定から一転、稽留流産に。夫に「もう無理かもしれない、ごめんなさい」と弱音を|大堀恵さん2人目妊活【中編】
▶42歳。卵子が少ない?アラフォーの厳しさを痛感しながら二度目の採卵へ|フリーアナウンサー・大久保涼香さん妊活記/中編
▶主治医から「もう厳しいかもしれない」と告げられて。でも私の気持ちは意外にも【宮崎宣子アナウンサーの40代妊活〈中編〉】
▶授かりレシピを考案して自ら実践!食事と夫の存在が妊活中の支えに〈料理研究家もあいかすみさんの妊活記〉後編
▶妊娠9週の壁?流産が怖い…どうしたら乗り越えられますか?【医師監修】
▶【妊娠初期の4大トラブル】「つわり」「下腹部痛」「出血」「便秘」の原因と対策は?/医師監修