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2023/02/08 公開
2024/02/28 更新

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あぁよかった。これで妻を苦しみから解放してあげられる

●山梨県・しえんた69さん(男性)のストーリー

私と妻の出会いは共通の友人の結婚式でした。なんと、初めて会ったわけではなく同じ幼稚園だったのです。幼稚園の後は、それぞれ違う人生を歩んでいきましたが、友人の結婚式で再会したのです。

これは運命だと思い、私のほうからアプローチしました。私も妻も子どもが好きなのですが、結婚前に義理の母から妻はある疾患を抱えていて、子どもができないかもしれないが、それを承知のうえで結婚を決めてほしいと言われていました。

子どもが欲しいということは事実ですが、運命的な出会いをした人を大切にしたい、子どもができなくても2人で人生を楽しもう、そう思い結婚を決めました。

結婚してから妊活をしていきましたが、なかなか恵まれませんでした。私が頑固な性格で、普段から私自身の意見を押し通すことが多く、あまり妻のほうから提案などはしてこないのですが、妻が「不妊治療をしたい」という希望を言ってきました。不妊のことで妻は自身に責任を感じていると思い、不妊治療をすることに同意しました。

不妊治療を開始にあたり、それぞれの現状の検査をしました。そこで衝撃的なことが発覚しました。私自身も男性不妊だったのです。

精子検査をしたところ、動いている検体がほぼないという状態でした。私は自分自身も不妊症ということがわかり、心の中では「あぁよかった。不妊は妻が原因ではない。これで妻を苦しみから解放してあげられる」と思っていました。

繰り返しになりますが2人とも子どもが大好きです。
しかし、妻に苦しい思いをさせてまで必要なのか?、他人の子ども、まわりにいる子どもを大切にしてあげればよいのではないかという気持ちに切り替え、およそ3年の不妊治療を終了しました。

医師からは里親制度なども進められましたが、今は2人の時間を大切に楽しむことにしています。もう少しコロナが落ち着いたら、一緒に旅行に行こうと計画しています。もしこの投稿が選ばれたら、妻に伝えたいです。

「俺と結婚してくれてありがとうこれからもよろしく」と。

「産まない選択」後悔がないといえば嘘になるけれど

●神奈川県・優子さんのストーリー

私は23歳で結婚しました。自分でもこんなに早く結婚するとは思っていませんでしたが、まだ若いからたくさん子どもを産んで、にぎやかな家庭にしたいと思っていました。

でも、2年経っても妊娠せず治療をスタート。不妊治療を進めるにあたって助かったことは、夫が協力的だったこと。早番夜勤と不規則な仕事だけど、人工授精をする日は必ず朝一で一緒に病院に来てくれて、精子を採った後に出勤してくれていました。

私も毎日、排卵誘発剤の注射をしに通院していました。しかし、人工授精を1年以上続けても妊娠せず、そのことからイライラしたり、急に泣いたり、精神的につらくなってしまいました。

体外受精にも一度チャレンジしましたがダメで、金銭的にも精神的にも余裕がなくて、妊娠した友だちのお祝いできませんでした。

不妊治療も4年目になる頃に、本当に奇跡的に一度だけ着床したことがありました。でも、心拍確認する前に流産で流れてしまいました。着床してすごく喜んだ分、ものすごく落ち込んで自傷行為もしました。その頃に夫から「つらい思いしてまで産まなくていい。子どもいなくたって2人で旅行とか行ったりして、楽しく過ごそうよ」と言われました。

女は結婚したら子どもを産まなくてはいけないと、自分自身で考えていたのかなと思います。夫の両親からも「夫婦仲良くいればそれでいいんだよ」って言ってもらえた時に泣いてしまって、やっと不妊治療をやめるという選択ができました。

不妊治療をやめて子どもを産まない選択をした今、後悔がないといえば嘘になるし、赤ちゃんを連れている家族を見ると胸が痛くなることはあります。しかし、治療中にした大ゲンカも今は笑い話になっているし、ワンちゃんを迎えてわが子のように愛情を注いでいます。

あの時の選択はあれでよかったんだなと実感しながら、夫婦2人とワンコ1匹で幸せに過ごしていきたいです。

情報がなかった20年前。当事者がもっと思いを伝えることのできる場を!

●島根県・のぎさんのストーリー

私は20数年前に不育症と診断されました。
3度の流産の末にそう診断されました。ですが、その頃はネットで検索もできず、何の情報もない状態でした。

当時はハラスメントという言葉もなく、職場や知識のない看護師さんからもつらい言葉を何度も浴びせられました。そのことから、ここ数年まで不妊症や不育症の言葉を見るのがつらくて仕方ありませんでした。不妊の原因が自分の気づいてなかった膠原病(こうげんびょう)にあったことも関係していると思います。

今の自分が思うことは、女性は流産するたび体にダメージを負います。メンタル的にも大きなダメージを受けます。どうかパートナーの方には、女性に寄り添い、抱きしめて大きな心で包んであげてほしいと願います。私はしてもらえなかったために、ずいぶんと長い間引きずりました。

主治医から「治療しましょう」と言われた一言で希望が見え、その結果2人の子どもを授かりました。子どもが成人したことで、ようやく自分の言葉で話すことができるようになりました。

今治療中の方たちも、前を向こう、こんなおばあちゃんの先輩もいるから自分を責めても解決にはならない。当事者が思いを伝えることのできる場をたくさん作っていただいてもっとみんなに知ってもらって、正しい知識を家族職場世間に知ってもらおう。

一人じゃないよ。大丈夫、応援している先輩はたくさんいるから、前を向いて歩いて行こう。

不妊症・不育症にやさしい社会にしていくために

不妊症・不育症にやさしい社会にしていくために今何が必要なのでしょうか。最後にフォーラムの登壇者それぞれの思いなどが話されました。

「情報はどこに?」登坂淳一さん

今この厚生労働省が主催している「みんなで知ろう不妊症・不育症のこと」がベースになって、いろいろな情報を発信していけるようになったらいいんじゃないか。ここに情報がある、ここに来たら皆さんが知りたいこと悩んでいること、さまざまな経験を聞くことができる。そんな場になっていってほしいと思っています。

「みんなの問題」齊藤隆和先生

子どもは財産であり宝。この素晴らしい日本の未来を背負ってくれる人たちを1人でも 増やすため、皆さん共通の認識で子どもを持ちたいと決断をした人たちを温かい目で見守ってほしいです。

「治療と仕事の両立」松本亜樹子さん

治療するために仕事を続けているという方、治療のためにやめなければならないと追い詰められている方が結構いらっしゃる。まずは治療と仕事が両立できる社会、企業の体制が必要です。そのためには、不妊症・不育症のことを正しく知っていただきたいと思っています。

「思いやり」矢沢心さん

パートナーといる時、どこにいてもこの「思いやり」っていうのは、生きていくうえで大切なものだと思うんです。どんな選択でもいいと思います、パートナーと一緒に思いやりのある日々を過ごして、パートナーと楽しい時間を過ごしていただきたいです。


この『みんなで知ろう!不妊症・不育症のことオンラインフォーラム』は、厚生労働省オフィシャルYouTube「みんなで知ろう不妊症・不育症のこと」でリピート視聴が可能。

公式サイトでは不妊症・不育症についての基本情報をわかりやすく解説するコンテンツも。チェックしてみては? 公式サイト:みんなで知ろう 不妊症・不育症

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