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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 不妊治療コラム 妊娠率を上げるため、胚移植後に避けるべきNG行動は?【医師監修】

妊娠率を上げるため、胚移植後に避けるべきNG行動は?【医師監修】

2025/04/02 公開

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体外受精や顕微授精でできた受精卵(胚)を子宮に戻す「胚移植」を受けたあと、妊娠が成立するまで、どんな生活を送ればいいのでしょうか?その間に、してはいけないことは?生殖医療専門医としての経験を重ね、これまで1万1千例を超える妊娠へと導いた山下正紀先生が、こまやかに、本音で教えてくれました。

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体外受精の胚移植って?

「体外受精」「顕微授精」では、本来は女性の卵管内で行われる精子と卵子の出合い(受精)が、医療の手助けによって、体外で行われます。そうしてできた受精卵(胚)を子宮に戻すのが、胚移植です。

・初期胚移植と胚盤胞(はいばんほう)移植

受精から2~3日経ち、細胞が4~8細胞に分割した状態の初期胚を移植するのが「初期胚移植」、さらに培養をつづけて、受精後5日目ころに着床前の状態に育った胚盤胞を移植するのが「胚盤胞移植」です。

不妊治療が保険診療になって以降に起きた変化の一つに、できるだけ妊娠の可能性の高い胚盤胞まで培養するということがあります。というのも、できた受精卵を凍結した場合、そのすべてを移植し終えないと、保険では次の採卵ができません。

保険で受けられる移植の回数には上限(40歳未満で6回、43歳未満で3回)があるので、妊娠の可能性の低い胚でもとりあえず凍結しておくというのは、得策ではありません。そのため、初期胚移植はあまり行われなくなっています。また、たとえ胚盤胞になっても、グレード(質)の低い胚は凍結しないという方針のクリニックもふえています。

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・新鮮胚移植と凍結融解胚移植

採卵した周期に移植するのが「新鮮胚移植」、培養した受精卵をいったん凍結保存し、次周期以降に子宮内膜の状態を整えてから融解して移植するのが「凍結胚移植」です。日本産科婦人科学会のデータ(2021年)を見ても、凍結胚移植が約88%。妊娠が成立したケースでは、凍結胚移植が約93%と圧倒的に多くなっています。

・凍結胚移植の際の2つの方法

凍結胚移植を行うときには、ご本人の自然な排卵を待ち、排卵時期を特定して行う「排卵周期」と、ホルモン剤の使用で子宮内膜をつくる「ホルモン補充周期」があります。排卵周期を行うには、排卵があり子宮内膜が7mm以上あるなどの条件が整うことが必要です。

また排卵日を特定するために通院の回数が増えます。ホルモン補充周期では、薬によって子宮内膜を育てるため、移植日の調整がしやすく、通院と仕事との両立という点で有利な方法です。なおホルモン補充周期で移植し妊娠が成立した場合は、妊娠9週ごろまで、ホルモン補充が必要となります。

・胚移植後の妊娠判定は?

初期胚移植では移植後3~5日後、胚盤胞移植であれば、移植後1~2日以内に着床すると考えられますが、妊娠判定は移植後2週間がめどになります。胚が着床すると、のちに胎盤になる組織(絨毛)からhCGというホルモンが分泌されるので、血液検査や尿検査でその量を調べます。

保険適用以前は移植後1週間程度の早期にhCGの血液検査をすることもありましたが、保険ではこの検査は1回のみとなっているので、より確実な2週間後に行います。この時点なら、尿検査でも十分に妊娠の判定が可能です。

なお、妊娠判定で陽性となっても、ごくごく初期の流産や異常妊娠の可能性もあり、妊娠が確定となるのは、超音波検査で子宮内に胎児の入っている袋(胎嚢)が確認できた時点になります。

胚移植後に起こる症状は?

多数の卵子を得るために、注射などで強い卵巣刺激を行うと、投与した排卵誘発剤の影響で卵巣が腫れたり、おなかに水がたまったりするなどの症状が出ることがあります。これは卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と言われるものですが、採卵周期に胚を戻す新鮮胚移植では、着床後に大量のhCGが分泌されるので、これらの症状が長引いたり強くなったりすることがあり、注意が必要です。新鮮胚移植後におなかの張りや痛み、吐き気などが出たら、すぐに医師の診察を受けましょう。

凍結胚移植では、腹痛やおなかの張りなどが出ることはまずありません。まれに子宮頸管が曲がっているなどの移植がむずかしいケースで、カテーテルを入れるときに頸管に傷がつき、少量の出血をみることがありますが、1~2日でおさまり、そのことが妊娠の成立に影響することはありません。

関連記事→【知っておきたい不妊治療用語辞典】OHSS(卵巣過剰刺激症候群)ってどんな症状?

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監修
監修

山下レディースクリニック院長。
1980年奈良県立医科大学を卒業し、京都大学産婦人科に入局。舞鶴市民病院産婦人科医長に着任。86年オーストラリア・アデレード大学で体外受精の基礎から研鑚を積む。90年神戸中央市民病院に着任。産婦人科医長、体外受精チーフとして数多くの患者さんの治療にあたる。97年神戸三宮に山下レディースクリニックを開設。これまでに約10,000 人の妊娠をサポート。著書『最新! 不妊治療ナビ』(主婦の友社)が好評。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。

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