私の場合、とにかくいろんな友人に包み隠さず話しました。一人で抱えるにはつらすぎたので、すべて吐き出したんです。
妊娠したことは家族にしか伝えてなかったので、妊娠したことも友人は知らなかったのですが、「実はこの前、流産して…」と話してみると、「いや、実は私も流産してたんだよね」と返ってくることもありました。
同じ経験をしている人も多くいるんだと、力をもらいましたね。
あとは、時間だと思います。
私は2回目の流産のあと不眠症になって、1年くらいは体調と心を崩してしまったので、「こうやるとすごく元気になる!」という方法は見つけ出しにくかったのですが、もうとにかく赤ちゃんが欲しかったので、前を向くしかなかったんです。
時間をかけて、そういう前向きな気持ちを取り戻しながらがんばったという気がしています。そのときにそっと寄り添ってくれた夫や、癒しとなった愛猫にも感謝しています。
また、通っていた鍼灸院の先生のアドバイスで、起きたら朝日を浴びる、夜はウォーキングすることを習慣にしたところ、半年ほど経ったころに自然と眠れるようになりました。
2回目の流産後の半年間はとてもつらかったのですが、その一方で、「自分の体でも妊娠できた」ということは希望にもなりました。
流産後にお迎えした愛猫の「メル」。メルと触れ合うだけで肩の力が抜けて、自然体でいられるんです。
3つ目のクリニックで自分に合った治療法と出会えた
――あいりさんは、5年間の不妊治療の間に3つのクリニックに通われています。
1つめは39歳で不妊治療をする以前から通っていたところで、コクーンと結婚するにあたり、子宮卵管造影検査や感染症を確認する血液検査などをしてもらいました。
そこで何回か人工授精をしたのですが、授かることはできず、高度生殖医療に力を入れているところに転院を考えました。
そのとき私は派遣社員だったのですが、ちょうど派遣先が変わるタイミングで、その派遣先の近くに体外受精に力を入れているクリニックがあったので、そちらに転院しました。
2つ目のクリニックは、排卵誘発の方法を高刺激で行う方針でした。採卵までの間、毎日通ってホルモン注射を打たなくてはならなかったり、毎日おなかに自己注射をしたり、待ち時間が3時間を超えるのは当たり前でしたし、自分的にはこのときが一番負担が大きかったですね。
また、採卵のときに笑気麻酔(亜酸化窒素と酸素を混ぜた気体を吸入して、痛みや不安を軽減する麻酔法)を使ったのですが、回復が早いという説明は受けたものの、この方法が私には合わなくて…。
加えて、麻酔がうまく効かず痛い思いをしたこともあって、「治療が怖い」と感じるようになってしまったんです。もっと自分に合う病院や治療法があるのではないかと、転院を決意しました。
3つめのクリニックは、より体への負担を軽減し、「なるべく自然な周期で卵子を育てる」という方針でした。薬や注射での心身の負担が軽減したことはありがたかったです。
院長先生は表情をあまり変えずに淡々と話すので、はじめは冷たい印象を受けました。でも、治療を受けていくうちに、治療方針や採卵のときの手さばき、胚培養士さんの腕の素晴らしさに、「ここを最後のクリニックにしたい!」と思えるくらいになっていました。
――そう思えるクリニックや先生に出会えたことは大きいですね!
こちらのクリニックで二度の陽性反応と流産を経験し、そして、三度目の妊娠で出産に至ったので、本当に私には合っていたのだと思います。
安定感のあるプロフェッショナルな技術で、たくさんの受精卵をつくってくださったことや、余計な感情は含めず事実だけを伝え、伴走してくださったことには今でも感謝しかありません。
採卵前。写真では笑顔ですが不安でした…。
――出産に至った妊娠は、今までと何か違ったことをしたのですか?
実は、無事出産にまで至った3度目の妊娠は、これまで行ってきた新鮮胚移植(採卵した周期に移植すること)ではなく、凍結胚移植(受精卵を一旦凍結して、子宮内膜の環境を整えて次周期以降に移植すること)でした。
2021年に入り、心身の負担を減らすために採卵をお休みして、凍結した4つの受精卵の中から1つを移植してみたんです。凍結胚のほうが妊娠率が高いというデータもあり、「妊娠するかも」と少しの希望を抱いていたことも事実です。
続きを読む>>39歳で妊活スタート、44歳で妊娠。夫に救われた5年間でした【YouTuberあいりさんのアラフォー妊活・後編】
PROFILE●あいりさん
動画クリエイター。1976年生まれ。40歳からYouTuberとして活動をスタートさせ、「笑顔は伝染する」をモットーに、メイクやスキンケア、ファッション、ライフスタイル、お買い物などの動画を発信。SNSの総フォロワー数は150万人に達している。2021年に第1子となる男の子を出産。YouTube▶@airi_official Instagram▶@airi_happy
『45歳で初めてママになりました。私の不妊治療・妊娠・出産のすべて』
5年間の不妊治療の日々、妊娠中のさまざまなトラブルや出産、アラフォーママの産後の体の変化などをエッセイと漫画で綴った一冊。産婦人科医による解説コラム付きで不妊治療や高齢妊娠のリスクについて、正しい知識を得ることができます。(発行:扶桑社)
取材・文/田代祐子
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