【男性不妊体験談】YouTubeで話題!じょにぃさん「泌尿器科に行ったら、精索静脈瘤と診断。手術しました」

IT企業で働くかたわら、YouTuberとしても活動しているじょにぃさん。カジュアルな気持ちで行なった精液検査をきっかけに「精索静脈瘤」が見つかり、手術を経て顕微授精で長男を授かりました。
手術や顕微授精を通じて、男性目線から不妊治療についての情報を発信している人がほとんどいないことに気がついたといいます。「自分の経験を話すことは社会的にも意義があると思う」と話すじょにぃさんに、受診しようと思うまでの経緯や手術・顕微授精などについて、“男性目線”で詳しく伺いました。
【男性不妊が判明】2回の精液検査で精子の濃度や運動率がとても低いことが発覚!
妻とは、2015年12月に開かれた友人との飲み会で出会いました。そこに、会社の同期の奥さんの友人だった妻も来ていたのです。そのときすぐにランチの約束をし、数回デートを重ねて2016年春ぐらいに付き合い始め、2017年に結婚。
そのとき、僕は37歳、妻は35歳でした。
妻はもともと子宮内膜症を患っていて、産婦人科を定期的に受診していたので、結婚したときから子どものことは頭にあったと思います。ただ、僕はすぐに子どもが欲しいと思っていたわけではありませんでした。仕事が忙しいのはもちろん、僕自身、時間があれば常に何かをやっていたいタイプで、平日も休日も予定がパンパンに詰まっているような状態だったので、子どものことは頭の片隅にはありつつも、急いで何かをしようとは思っていなかったのです。
妻はいつ子どもができてもいいように、子宮内膜症治療のためのホルモン剤の服用をストップしていましたが、結婚して半年たっても妊娠の兆候は表れませんでした。その間、妻は血液検査や卵管造影などの検査をし、特に問題がないことがわかりました。そこで、2018年5月に妻の主治医から、「精液検査をしてみますか?」と提案されました。
そのときは、「検査するならしてもいいよ」という気持ちで、深刻に受け止めませんでした。検査の結果は、精子の濃度も運動率もとてつもなく低く、「ほとんど何もない」状態。それでも、「そうなんだ」と思った程度で、行動を起こすことはありませんでした。
そのまま10カ月ほどが過ぎた2019年3月、妻の主治医から人工授精を勧められました。そのために精液を採取しましたが、やはりほとんど何もない状態。当然、人工授精をしても妊娠しませんでした。
男性不妊を専門にしているクリニックが少ない…!
このときまで、僕には「妊活しよう」という気持ちはなかったのですが、「自分の精子に問題がある」という結果を2回突きつけられ、初めて「何をすればいいんだろう?」と思うようになりました。よくわからないながらも思いついたのは、とりあえず泌尿器科に行ってみようということです。
受診した泌尿器科でそれまでのことを話すと、男性不妊を積極的に扱っている病院はほとんどなく、通える範囲だと東邦大学医療センター大森病院か聖路加国際病院の2つだと教えてくれたので、通院しやすい大森病院のリプロダクションセンター泌尿器科に紹介状を書いてもらいました。
男性不妊かも!泌尿器科を受診。原因は精索静脈瘤?手術をすることに
大森病院の予約は予想外に大変でした。翌月の初診予約は、予約開始日に電話で受け付けているのですが、ライブチケット発売日並みに回線がつながらないのです。受診に行きつくまでのハードルがかなり高いと感じました。
それでもなんとか5月中の予約が取れ、初診時に尿検査、血液検査、ホルモン検査、遺伝子検査、精液検査、超音波検査など、各種の検査を行ないました。このときに超音波検査で精索静脈瘤が発覚しました。精索静脈瘤は、精子を作る精巣の周りの静脈にこぶのようなものができて血流が逆流し、精液の状態が悪くなるものです。左側がグレード2~3、右側がグレード1~2で、左側のほうが重度でした。
それ以外の検査結果については次回の受診時にと言われ、1週間後に再び受診しました。精液検査以外は問題ありませんでしたが、やはり精子の数や運動率が悪く、「子どもを望む場合は顕微授精でないとむずかしい」とのこと。
「精索静脈瘤は手術で改善する可能性が高いですが、どうしますか?」と聞かれたものの、そのときの僕は精索静脈瘤についてあまりよく知らなかったので、一度返事を保留することにしました。
【男性不妊】精索静脈瘤は比較的ポピュラーな症状だった!?
調べてみると、精索静脈瘤は不妊症の男性では40%に、一般の男性でも15%に見られる、比較的ポピュラーな病気だということや、診察してくれた永尾先生が精索静脈瘤に関して著名な方だということがわかりました。
治療方法や手術による改善率、再発率などについても、調べた内容と診察時に聞いたことが一致していたので納得でき、手術を受ける決心をしました。それまでに膝の半月板や腰椎椎間板ヘルニアの手術を経験していたこともあり、「体にメスを入れるのが怖い」という気持ちはなかったです。
【精索静脈瘤と診断後、手術前の心境を話している動画】
【精索静脈瘤】保険適用外の日帰り手術を受け、翌日から出社
精索静脈瘤の手術には、保険適用の方法と「ナガオメソッド」といって永尾先生が考案した適用外の方法がありました。適用外の手術は35万円。割と高額でしたが、「手術したけれど、やっぱり改善しなかった」となると、余計な時間がかかってしまいます。少しでも改善率が高い方法で行ないたいと思い、適用外でお願いすることにしました。
手術は日帰りですが、仕事の都合もあり、6月初めの日曜日にしてもらいました。当日午前11時に病院に行くと、まずタブレットで手術の進め方などの確認があり、診察室で手術内容を確認したあと、手術室に入りました。
局所麻酔で手術時間は40分ぐらい、切開したのは左側の下腹部を2~3cmほどです。切開した後はスマホを見てもよいと渡されました。よく手術室では好きな音楽をかけてくれたりしますが、それと同じでリラックスできるようにという配慮なのだと思いました。
精索静脈瘤手術の様子はスマホで録画しました(笑)
僕の右側には50インチぐらいの大きなモニターがあり、永尾先生はそれを見ながら手術を進めていました。「これは動脈だから残しますね」などと、一つ一つ説明してくれたので、渡されたスマホで録画しました。
手術は午後12時10分ごろに終了し、12時20分ごろには病院を後にしました。縫合糸は溶けるタイプのため、後日再受診する必要もありません。
1週間分の抗生剤と痛み止めを処方され、1回だけ痛み止めを服用しましたが、ほとんど痛みはなく、帰りに食事をする元気があったほどでした。
精索静脈瘤の術後は1週間、運動禁止!痛みは…?
–{手術後、思わぬところに支障が…!}–
翌日の月曜日は午前休を取り、午後から出社して、普通に仕事ができました。ところが、思わぬところに支障が。
術後1週間は運動禁止のため、歩くのもヨチヨチという感じで、とてもゆっくりになったのですが、出退勤のラッシュ時には、当たり前とはいえ周りからの「邪魔!」という視線がすごいのです。しかも、見た目はまったく元気なので、ぶつかってくる人もいました。患部にはガーゼと薄い透明のシールがしっかり貼られていたものの、「傷口が開いてしまうかも」とドキドキしました。
ただ、1週間もすると普通に歩けるようになり、ガーゼやシールも外せました。2週間たつと傷は少しポコッと腫れたような感じになって、軽い運動もできるようになりました。
体の回復具合よりも一番気になっていたのは、やはり結果がどうなるかです。手術で改善するのは30~40%と言われていたので、改善しなくても仕方がないと思いましたが、顕微授精をするためには採精しなければなりません。「直接精巣から」と想像するとすごく痛そうで、ちょっとテンションが下がりました。
【精索静脈瘤の手術当日から3週間後までの様子を話している動画】
予想外に精液検査の数値が改善し、顕微授精を実施
精索静脈瘤の手術と並行して、産婦人科での不妊治療も進んでいました。僕が東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンターに通院するようになったのをきっかけに、妻も同じリプロダクションセンターの産婦人科に通院するようになっていました。
7月ごろ、そこでART(高度生殖医療)の説明会に参加。泌尿器科の次の検査は3カ月後の9月と言われていて、そこで飛躍的に改善していれば人工授精も可能ですが、おそらく体外受精か顕微授精になるのではないかと思ってのことでした。
そのとき知ったのは、女性が採卵する際の負担の大きさです。
男性は元気な精子が1つでもあれば、受精させることが可能なのに対して、女性は1回で複数の卵子を取るためにまず薬で刺激しなければならず、薬の副作用が出ることもあること。卵胞の状態の確認なども含めて、何度も通院しなければならないこと。こうした肉体的・精神的・時間的な負担以外に経済的負担もかかりますが、男性がサポートできるのは経済的負担と少しの精神的なサポートぐらいなのだと痛感しました。
【ART説明会に参加してみての動画】
説明会を経て、8月からは妊活を開始しました。そのために産婦人科で精液検査をしたところ、思いもかけず劇的に数字が改善していたのです。
精液濃度(正常値:15(10*6)/ml以上)は約14倍、精子の運動率(正常値:40%以上)は3.9%から11.28%へと約2.9倍に。特に、総運動精子数(15.6(10*6)/ml以上)は約37.5倍にもなっていて、びっくりしました。
「2カ月でこのぐらい改善しているなら、2人目の子どもを考えるころには自然妊娠も可能かもしれません」と言われるほどでした。
採卵の痛みで、妻はいままで見たことのないくらい辛そうで…
これなら顕微授精も十分可能ということで、8月中旬に妻と一緒に病院に行って、僕は精液を採取、妻は採卵をしました。採卵はかなり痛かったようで、直後に会った妻は、今まで1回も見たことがないような顔をしていました。
卵は20個とれ、そのうちの14個が成熟し、顕微授精をしました。受精するのは採卵したうちの80%ぐらいと言われていて、結果としては8個受精し、5日目ですべて凍結。10月には凍結胚移植し、幸運なことに1回で着床しました。
顕微授精をすることになったのは僕に原因があったからなので、あんなにつらそうな採卵を何度もやってもらうのは申し訳ないと思っていただけに、受精卵が8個できたときも、無事着床したときも、本当にホッとしました。
出生前診断も受けました
リプロダクションセンターの産婦人科を卒業するときには、出生前診断をするかどうか確認がありました。
そこで、出産予定の産婦人科に転院してから話を聞き、加齢によって胎児の遺伝子トラブルが起こる可能性が高くなるとのことだったので、僕と妻の年齢を考えて受けることにしました。
陽性だったときにどうするか、ハッキリとは決めずに受けましたが、「後でわかるより早くわかったほうがいい」と思ったのです。幸い、結果は陰性で、今年7月に出産しました。
【泌尿器科での再検査】なぜか精子の数値が改善しなかった
リプロダクションセンターの泌尿器科では、9月に再検査を行ないました。8月の精液検査の結果が良かったので、てっきり良い結果が出ると思っていたのですが、なんと、結果がすごく悪かったのです。精液濃度は1.42、精子の運動率はほぼ0%、総運動精子数はたったの6個だったので、こちらも数値はほぼ0でした。
先生に「8月に産婦人科で精液検査を行って、その時の結果はとても良かった」と伝えると確認してくれ、数字の違いに先生も驚いていました。
精液検査の結果がこんなにも違うのは、なぜ??
なぜこんなに結果が違うのか尋ねると、「もともと、精液のコンディションは毎回同じではありません。採精するプロセスによっても、結果に大きく差が出ることがあります」というお話がありました。
つまり、僕の採精方法のどこかに問題があるのかもしれないと思いましたが、これについてはどうしたらいいのか、いまだにわかりません。どこかのタイミングでもう一度検査してもらってもいいかもとは思いますが、まだ凍結胚が残っていますから、意味があるのかどうか。再度受診するにはまた予約の電話をしなければならないこともあり、迷っています。
不妊治療をスタートするなら、お金のリテラシーも高めるべき
今回、不妊治療にかかったお金は、排卵誘発のための注射や薬などで108,240円、採卵と顕微授精で167,320円、受精卵の凍結で132,500円。合計約40万円。これに泌尿器科での精索静脈瘤の手術費用をプラスすると、75万円ほどです。妻とは財布が別々で、この金額は僕のほうから出しました。基本的にカードで払い、出費を管理しています。
僕は2005年から投資を始め、YouTubeで投資の解説をする程度にはお金についての知識があったので、それほど気にならなかったとはいえ、75万円といえばかなりの出費です。今回は1回で着床したためこの金額ですんでいますが、何度も行えば何倍にもなりますし、受精卵を凍結しておくのにも費用がかかります。
不妊治療には助成金がありますが、医療費の還付金なども含め、国から給付されるものはこちらから申請しないとまったくもらえません。お金のリテラシーを高めるよう、常にアンテナを張っておくべきだと思います。(具体的には、ファイナンシャルプランナー3級程度の知識は知っておくといいかも!)
また、今の時代は、お金を現金で持っていても増えません。
投資というと「自由に動かせるお金がたくさんある人がするもの」というイメージを持つ人が多いのですが、実際に投資をしている人は、毎月1万円、2万円からしています。定期預金とは違って流動性が高いので、お金が必要になったときにはいつでも引き出せるというメリットもあります。
治療をしつつ老後の資金も貯めたい場合は、個人型確定拠出年金・iDeCo(イデコ)を活用する、なんていうのもおすすめですね。
男性も「自分ごと」にして積極的に不妊治療に関わって
精液検査での最悪の結果からの精索静脈瘤手術、顕微授精、着床、出産と、この1年ほどは本当にいろいろなことがありました。今、長男と3人で日々過ごしていると、ここまで順調に来られたことに感謝しかありません。
最初は僕も、「妻が子どもを欲しいと言っているから」とか「検査するならしてもいい」とか、どこか他人事でした。でも、泌尿器科を受診して、自分で行動し始めてから、何かが変わったように思います。
そうして行動した結果、受精卵が着床し、最初に心拍が見えたときのことは今でもよく覚えています。まだ1mmぐらいの大きさで人間の形にもなっていませんでしたが、あのときから、もう子どもへの愛情は生まれていたのかもしれません。生まれてみたらかわいくて仕方がないですし、今ではもう1人欲しいと思い始めているぐらいです。
撮影&ご取材は奥さまも同席。You Tube用の撮影もサポート!インタビュー時に「そのときはこうだった!」など奥さまから訂正がはいる場面も(笑)
僕と同じように、男性はなかなか「子どもを持つこと」について真剣に考えにくいでしょう。でも、例えば毎回一緒に通院したり、不妊治療でわからないことを自分で調べてクリアにしたり、そうやってできるだけ「自分ごと」にすることで、いろいろわかってくることがあります。
すると、妊活が面倒くさいことではなくて、自分たち夫婦にとって大事なことだと思えるようになって、より積極的になれます。男性には、ぜひそこまで踏み込んでもらえるといいなと思っています。
構成/松本夏菜 取材・文/荒木晶子 撮影/松木潤(主婦の友社)
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