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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 基礎知識コラム 妊娠9週の壁?流産が怖い…どうしたら乗り越えられますか?【医師監修】

妊娠9週の壁?流産が怖い…どうしたら乗り越えられますか?【医師監修】

基礎知識
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2024/11/17 公開

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SNSなどで「9週の壁」という言葉が目につくことはありませんか? 妊活中の人や妊娠を考えている人は、不安になるかもしれません。赤ちゃんの心拍が確認できる時期や「9週の壁」について、おおのたウィメンズクリニック埼玉大宮の副院長・大野田章代先生にお聞きしました。

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赤ちゃんの心拍が確認できるのは、妊娠5週後半~6週ごろ

赤ちゃんの心拍は、早ければ妊娠5週後半に確認できるようになり、妊娠6週以降ではしっかり確認できるようになります。ただし自然妊娠の場合には、最後の月経(生理)から計算した妊娠週数がずれていることも考えられます。その場合には、もう1週間ぐらい待って確認することがあります。

妊娠初期(7、8、9週ごろ)の赤ちゃんの様子は?

心拍が確認できたあと、妊娠7、8、9週ごろの赤ちゃんは、大きさが1㎝弱から3㎝ぐらいまで成長し、体の部位や体内の器官などがだんだんできていきます。週数ごとに、赤ちゃんの状態を見ていきましょう。

妊娠7週ごろ
赤ちゃんの大きさは、頭からおしりまでの長さが1㎝を超えるぐらい。肺、歯と口蓋(口の中の天井・上側の部分)、外性器などがつくられ始め、胎盤もでき始めます。

妊娠8週ごろ
頭からおしりまでの長さが2㎝弱ぐらいの、三頭身になります。胸腔と腹腔が横隔膜によって分かれ、ほとんどの臓器の基本的な形が完成します。上肢(腕)や下肢(足)もできます。

妊娠9週ごろ
頭からおしりまでの長さが3㎝弱になり、超音波検査で手足や体を動かす様子が見えるように。超音波の機器によっては、骨も観察できるようになります。口蓋(口の中の天井・上側の部分)が完成し、尿もつくられ始めます。

「胎嚢が空っぽ」って、どういうこと?

子宮内に胎嚢(たいのう・赤ちゃんを包む袋)は見えるものの、その中に赤ちゃんの成分(胎芽や卵黄嚢など)がない状態を、SNSなどで「胎嚢が空っぽ」と表現しているのでしょう。胎嚢は妊娠4週後半~5週で確認できますが、確認できた次の検査で、胎嚢はあっても心拍や赤ちゃん(胎芽)が確認できないということです。

これは、受精卵が着床して妊娠が成立し、胎嚢もできたけれども、赤ちゃんが育ってこない状態です。自覚症状がないまま流産してしまう「稽留流産」で、不妊治療をした人でも自然妊娠の人でも起こります。

とてもつらいことですが、子宮内に胎嚢などが残っていると出血や腹痛、感染症などの心配があるため、自然排出か流産手術のどちらかを選んで処置することになります。自然排出を選んだ場合、8~9割の人は2週間以内に排出されるでしょう。

「9週の壁」とは、流産が多い時期のこと

妊娠初期に確認できていた赤ちゃんの心拍が、9週以降の検査で確認できなくなり、流産となってしまうことがあります。こうした流産が起こるのは9週前後がとても多く、この時期を乗り越えれば、まずは早期流産の確率が下がることから、「9週の壁」という言葉が生まれたと考えられます。

実際に、流産全体の約90%が妊娠12週未満に起こる早期流産です。そして、妊娠週数が進むにつれて流産が起こる確率は低くなっていきます。

「9週の壁」は越えられる?

妊娠9週ごろに起こる稽留流産は、染色体異常が原因であることがほとんどです。染色体異常は偶発的に起こるもので、予防(回避)法や治療法はないため、「9週の壁」を乗り越える有効な方法もないのが現状です。

そして、流産になってしまったのは、お母さんの行動や生活習慣のせいでもなければ、体質や遺伝などが関係しているわけでもありません。「9週の壁」が乗り越えられるかどうかは、赤ちゃんの生命力次第という面も大きいものです。どうか自分を責めたりしないでほしいと思います。

「流産経験者の8割は5年以内に出産している*」というデータもあります。まずはパートナーと気持ちを共有し、精神的にも身体的にも落ち着いてから、今後の妊娠を考えましょう。

*Smith LF, Ewings PD, Quinlan C. Incidence of pregnancy after expectant, medical, or surgical management of spontaneous first trimester miscarriage: long term follow-up of miscarriage treatment (MIST) randomised controlled trial. BMJ. 2009 Oct 8;339:b3827. doi: 10.1136/bmj.b3827. PMID: 19815581; PMCID: PMC2759436.

取材・文/村田弥生

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監修

おおのたウィメンズクリニック埼玉大宮副院長。東京慈恵会医科大外卒業後、同大学附属病院、国立成育医療研究センター、獨協医科大学埼玉医療センターなどをへて、2022年4月より現職。
日本産科婦人科学会専門医・女性のヘルスケアアドバイザー、日本周産期新生児学会周産期専門医、FMF認定超音波医、日本女性医学会女性ヘルスケア専門医、母性内科学会母性内科診療プロバイダー。

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