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油の摂り方で細胞が変わる⁉︎最新研究でわかった”細胞に効く油”「オメガ3」が男女のカラダに与える影響に大注目!【医師監修】

2023/01/23 公開
2023/07/06 更新

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日頃みなさんは、どんな油をどのくらい摂っていますか?その油の摂り方によって、わたしたちの細胞のはたらきが影響を受け、妊娠・出産にも作用する可能性があるということをご存じでしょうか。

妊活にとても重要なはたらきを持つ油、それは「オメガ3」の油です。なぜ妊活中に「オメガ3」の油が大切なのか、どのくらい摂ったほうがいいのかについて、公衆衛生の専門医で、自身のクリニックでも患者さんにオメガ3の油をすすめている伊藤明子(いとう みつこ)先生に教えていただきました。

※:公衆衛生学:人間を集団として、人類全体が健康になることを研究し実践する医学分野。予防医学、健康教育、疫学(ひとを集団として観察して研究)や統計、医療コミュニケーションなどのサブ分野があります。WHO(世界保健機構)が行っている活動であり、誰一人置き去りにしない、すべてのひとに健康を、を基本精神としています。

「オメガ3」が約37兆個の細胞に作用して、妊娠・出産に影響も

わたしたちの体は約37兆個の細胞からできており、すべての細胞の周りには細胞膜があります。その細胞膜は脂質、つまり油成分でできています

オメガ3は、細胞膜の機能を担う大事な材料であると同時に、わたしたちの体内で酸素の運搬、エネルギーの貯蔵、炎症の調整(抗炎症)、細胞の増殖にも作用しています。またオメガ3の油がきちんと摂れていると、卵子・精子・受精卵・胎盤などの細胞の働きに作用して、妊娠・出産にも影響することが研究※2でわかっています。

実際に2022年に発表された米国のStanhiserらの研究※3では、オメガ3を摂取している女性は妊娠の確率が1.5倍増加していたことが報告されています。さらにハーバード大学のChiuらによる不妊治療を行っている女性の血中のオメガ3濃度の研究では、血液中のオメガ3の濃度が高い女性のほうが出産の確率が高く、オメガ3濃度が1%上がるごとに出産※4の可能性・確率が8%上がったという結果※5も出ています。

このように数々の研究で、オメガ3の摂取が男女ともに生殖機能の向上にかかわっていることが示されています。オメガ3がホルモンの産生、着床、卵細胞の成熟、排卵、卵管の可動性、また精子の可動性にも作用する※6ことが明らかになってきました。

またオメガ3は、細胞同士のコミュニケーション(細胞間シグナル伝達)、細胞の内外の栄養成分の出し入れ、遺伝子の調整にも必須であることもわかっています※7。

関連リンク:ぐっすり眠れていますか?睡眠の質UPにも注目の「オメガ3」

妊娠・出産になぜ大切なの?「オメガ3」ってどんな油?

脂質(油)は生きるために必要な三大栄養素(たんぱく質・炭水化物・脂質)の一つで、全身の細胞を動かすエネルギー源。不足してしまうと生きていけません。

ただし、どんな油でもただ摂ればいいというわけではなく、妊活中の女性と男性にとって特に重要なのが、オメガ3の油であり、オメガ3とオメガ6系の油の摂取バランスです。
オメガ3もオメガ6も脂質を構成している脂肪酸で、どちらも食事からの摂取が不可欠な「必須脂肪酸」です。オメガ6の油は、サラダ油・ごま油等の他、惣菜などの加工品やコンビニ・外食メニューでもよく使われています。

オメガ3の油は、魚介類やアマニ油・えごま油などの植物油に含まれる成分。魚食が減っている今、オメガ3の油は意識しないと摂りづらく、オメガ6とオメガ3のバランスは、2:1あるいは4:1がよいのでは、と報告されていますが、日本ではその重要性が認知されていません。

「オメガ3」1日にどのくらい摂ればいい?おすすめの摂り方を知りたい

オメガ3のうち、α-リノレン酸はアマニ油・えごま油に、EPA・DHAは魚油、青魚に含まれています。魚をしっかり食べてEPA・DHAを摂ることが重要ですが、それだけでなく、さらにアマニ油かえごま油を1日に小さじ1杯程度(4g強)摂ることをおすすめします。

また魚を食べない日は更に意識して、必須脂肪酸であるα-リノレン酸を摂ることを習慣にするようにしましょう。


脂質の種類

ただし、アマニ油もえごま油も酸化しやすいため、加熱はNG。また脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)と組み合わせるとより吸収が高まります。ちなみに魚に含まれるEPAやDHAは加熱しても変わらないので、焼いて食べても問題ありません。

オメガ3は、アマニ油やえごま油をみそ汁やサラダなどの料理に“ちょい足し”するだけで、簡単に毎日の食事に取り入れることができます。食卓に置いて、ぜひ“ちょい足し”を習慣にしてみてください。

各論文:※2:Coletta et al., 2010、※3:Stanhiser et al., 2022、※4:live birth、※5:Chiu et al., 2018)、※6:Wathes et al., 2007: Norwitz et al., 2001、※7:Barsky et al., 2020

参考文献: Coletta JM, Bell SJ, Roman AS. Omega-3 Fatty acids and pregnancy. Rev Obstet Gynecol. 2010 Fall;3(4):163-71. PMID: 21364848; PMCID: PMC3046737./Chiu YH, Karmon AE, Gaskins AJ, Arvizu M, Williams PL, Souter I, Rueda BR, Hauser R, Chavarro JE; EARTH Study Team. Serum omega-3 fatty acids and treatment outcomes among women undergoing assisted reproduction. Hum Reprod. 2018 Jan 1;33(1):156-165. doi: 10.1093/humrep/dex335. PMID: 29136189; PMCID: PMC5850735./Stanhiser J, Jukic AMZ, McConnaughey DR, Steiner AZ. Omega-3 fatty acid supplementation and fecundability. Hum Reprod. 2022 May 3;37(5):1037-1046. doi: 10.1093/humrep/deac027. PMID: 35147198; PMCID: PMC9308390./Salas-Huetos A, Arvizu M, Mínguez-Alarcón L, Mitsunami M, Ribas-Maynou J, Yeste M, Ford JB, Souter I, Chavarro JE; EARTH Study Team. Women’s and men’s intake of omega-3 fatty acids and their food sources and assisted reproductive technology outcomes. Am J Obstet Gynecol. 2022 Aug;227(2):246.e1-246.e11. doi: 10.1016/j.ajog.2022.03.053. Epub 2022 Mar 30. PMID: 35364062; PMCID: PMC9308672.

ライター/入江 由記

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公衆衛生の専門医。小児科医。赤坂ファミリークリニック 院長。東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。テレビ・雑誌などメディア出演多数。二児の母。今年1月に著書「医師が教える子どもの食事50の基本. 脳と体に『最高の食べ方』『最悪の食べ方』」(ダイヤモンド社)発売予定。医学的根拠に基づき、毎日の食卓で何を出すべきで何を避けるべきかが一目でわかり、食に対する迷いがなくなる内容となっている。

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