2ページ目(2ページ中) | 若い女性は戦後より飢餓状態⁉︎妊娠を目指す「よい体」ってどんなカラダだろう?今日からできる!女性のヘルスケア【医師に教わるプレコンセプションケア】
日本をみてみると、途上国(グラフ内:OECD35か国)と比べても低出生体重児の割合が高いことがわかります。
また、日本は低出生体重児の割合が増加してるということも衝撃ですよね。
ここでひとつ紹介したいのが、成人病胎児期発症起源説です。イギリスの哲学者の先生が解いた説なのですが、乳児死亡率が高かった地域では、約70年後この地域での虚血性心疾患の割合が多かったということを発見しました。
乳児死亡率が高いというのは、妊娠中の栄養状態がよくないということ。このような状況では、懸命に乳児期を過ごしたとしても、長くは生きられないということです。大人になってからの病気というのは、胎児期や乳児期の環境や栄養が影響してきます。つまり妊娠する前からの栄養状態をよくしておく必要があるといえるのです。
正常に栄養を摂れていて健康な妊婦さんの赤ちゃんは、胎児期から栄養環境がいいので、生まれた後も環境に適応して、健康な成人になります。いっぽうで、痩せてる(低栄養の)妊婦さんの赤ちゃんは、お腹の中からずっと低栄養の状態が続いているので、生まれた後もがんばって栄養をとらなきゃという体質になってしまいます。よって、肥満や糖尿病など疾患がある子が増える傾向にあるのです。
「小さく産んで大きく育てる」は正しくない?
低出生体重児というのは、2500グラム未満で生まれた子のことを言います。このような低出生体重児も戦後に比べると増えてます。これは女性の痩せの増加、喫煙や飲酒、高齢晩産化が原因といわれてます。
昔は「小さく産んで大きく育てる」のがよいとされていましたが、小さく産まれた赤ちゃんというのは、分娩時に赤ちゃん自体にストレスがかかってしまうので、安全な分娩ではないと言えます。また、前述のように生活習慣病の素因をつくってしまうことにもつながります・今は「大きく生んで、そこそこ育てる」というのが、理想と言えそうです。
妊娠しやすいBMIは?体脂肪率も大事!
では、どういう体が栄養が足りてる「よい体」なのか。皆さんはご自身が「エネルギーは足りている」と思いますか?
妊娠しやすい体というのはBMIでいうと21です。日本人女性の平均身長が158センチなので、例を158cmとするとBMIが21になるには体重は53kg。
※BMI計算方法
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
もうひとつ、体脂肪率も大事な値です。痩せ型の女性でも、体脂肪率が28パーセント以上、標準よりちょっと上という方が実は多くいます。私たちは“隠れ肥満”という言い方をしてますが、体重や見た目だけでなく、注意して欲しいポイントです。
筋肉も適度につけたほうがいいのです。そのためには、やはりバランスのよい食事と、適度に運動をすることを心がけてほしいです。
妊娠前も妊婦さんも大事な栄養素が足りていない!
「美しいカラダと産めるカラダ」に必要な栄養は、ズバリ、たんぱく質とミネラルの鉄分、亜鉛、葉酸、ビタミン。
このような栄養素ですが、食文化の崩壊や食生活の乱れによって、とれていない方が非常に多いです。妊婦さんのデータでもそれがわかりますし、妊娠前でも足りてない方はすごく多いと思います。
特に足りてないのが葉酸です。推奨量と比較すると葉酸の充足率は半分以下。その他ビタミンCや、妊娠にとって大事なビタミンDも、足りてない方が多いのが現状です。
産後うつにも影響がある貧血
鉄分の不足は、貧血、特に“鉄欠乏性貧血”ですが、産後にうつになる原因のひとつとも言われています。
産後にうつを発症するリスクが、 貧血がない女性と比べて、貧血がある女性は約6割も増えるというデータもあります。
鉄分というのは、気分的な面で作用するミネラルです。貧血になると、全身の倦怠感や疲れがとれにくくなり、気力が低下するため、産後うつを発症するリスクが高まるということです。
妊娠すると胎内の赤ちゃんに鉄分をあげないといけないので、妊娠中はただでさえ貧血になってしまうことが多いんです。またお産のときに出血もするので、妊娠前から鉄分はしっかりとっておきたいですね。
子宮内膜へ影響を及ぼす栄養素
そして、亜鉛も妊活中に意識しておきたい栄養素です。炎症があったり、ホルモン剤などを使われてる方の体内は、銅の濃度が高くなっている状態。銅というのは、腸管から血管に吸収されるとき、亜鉛と一緒に取り込まれるので、亜鉛の割合が少ないと銅が過剰に取り込まれてしまいます。
子宮の中に銅がたくさん沈着してしまうと、子宮内膜が薄くなるなど影響が出てきます。
皆さん避妊リングというものはご存じですか?避妊リングというのは銅が付加されていて、子宮内膜を縮小させて着床させないという作用があります。亜鉛の摂取、吸収が増えれば、銅は減るので、着床しやすい状態になるともいわれています。
妊活必須栄養素である葉酸
葉酸が大事だとお話ししましたが、葉酸が不足すると赤ちゃんの背中の病気である、二分脊椎など“胎児神経管閉鎖障害”の発症の原因になるということも、明らかになっています。
国民健康保険実態調査では、葉酸は1日400μgとることが推奨されています。
また最近では、葉酸を摂取することで、不妊治療の成績がよくなるというデータも出ているので、赤ちゃんのためにも、妊娠をするためにも、少なくとも妊娠を考える3ヶ月くらい前からは葉酸を積極的に摂取することを推奨します。食事だけでは摂取が難しいので、サプリメントでもOK。不足しがちな栄養素をバランスよくとることが、とても大事になってきます。
妊娠しやすい食生活6つのポイント
アメリカの調査結果をもとに、妊娠を目指すための食生活において、気をつけたい6つのポイントを紹介します。
①精製度の低い炭水化物をとり、精製度が高いものは減らしましょう。
例えばパン。ふかふかのパンは精製度が高く、糖質過多になってしまいますので気をつけましょう。
②不飽和脂肪酸を多くとるようにしましょう。
具体的には、オリーブオイルやアマニ油、オメガ3系のオイルを選ぶようにして、トランス脂肪酸、マーガリンなどは避けるのがGOOD。
③お肉だけはダメ。
赤身のたんぱく質もすごく大事なのですが、植物性たんぱく質を意識してとるようにしましょう。
④400μgの葉酸、鉄分を含むマルチビタミンも大事!
サプリメントも上手に活用しましょう。
⑤妊娠を目指すなら、コーヒー、紅茶、アルコールは控えましょう。
BMIは妊娠適正ゾーン20〜24に近づける。
1日30分〜60分間の運動は週末だけではなくて、毎日するのが理想です。
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