「化学流産」後の生理はいつもとちがう?妊活・不妊治療再開はいつからOK?【医師監修】 | 不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし(赤ちゃんが欲しい)
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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 基礎知識コラム 「化学流産」後の生理はいつもとちがう?妊活・不妊治療再開はいつからOK?【医師監修】

「化学流産」後の生理はいつもとちがう?妊活・不妊治療再開はいつからOK?【医師監修】

2023/11/09 公開
2023/11/28 更新

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妊娠を喜んですぐ、いわゆる“妊娠超初期”と呼ばれる期間に起こってしまう化学流産。

心の準備などをする間もなく突然、起きるため、経験者からは「突然のことで知識もなく、どうしていいのかわからなかった」という人や、急遽情報を求めてネット検索をしたという声も。

化学流産は、妊娠・出産をめざしている誰にも起こりうることです。だからこそ、正しい知識をもっておきたいですね。化学流産を経験したあとの生理のこと、その後の妊娠などを中心に、気になる「化学流産」について解説していきます。

化学流産(化学的流産)とは?

妊娠をした場合、一般的に排卵後2週間ほどでhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が検出され、排卵後3週間が経てば超音波検査で胎嚢を確認することができます。

化学流産(化学的流産)とは、妊娠反応が陽性となったにも関わらず、胎嚢を確認するまでの間に月経が始まり、妊娠が終了してしまう状態をさします。

妊娠は受精卵の着床が継続してこそ成立するため、受精はしても着床が継続できなかった化学流産は医学的には流産としてカウントされず、「生化学的妊娠」とも言われています。しかし、欧州生殖医学会(ESHRE) では2017年の不育症ガイドラインで「化学流産も流産とする」という認識を示しています。

また、近年では高感度の妊娠検査薬で手軽に妊娠判定ができるようになったことで、かなり早期の段階で陽性反応が出ることもあり、これまでは気づかなかった化学流産が増えている、という説もあります。

※本記事内では「化学流産」表記とします

化学流産が起こる時期は?自覚症状はある?

妊娠検査薬が正しく反応するのは妊娠4週以降とされています。また、体外受精の場合も妊娠4週ころにクリニックで妊娠判定を行うのが一般的です。

妊娠がわかる4週ころから胎嚢確認を行う5〜6週頃の間に経験する流産を化学流産と呼んでいます。

化学流産の兆候や自覚症状はほとんどないといわれていますが、生理のような出血やいつもと同じか少し重い生理痛が起こり異変に気づく場合もあるようです。また、いつもより生理時期が少し遅れるという場合も。

化学流産以外の流産の種類について

妊娠初期に起こりやすい流産には、化学流産以外にもあります。それぞれ症状が異なるので、不妊治療を進めるうえで知っておくことは大切です。

◇稽留流産(けいりゅうりゅうざん)

妊娠22週未満に子宮内で胎嚢・胎芽または胎児の発育が停止しており、流産の診断となった状態。出血や腹痛などがなく、とくに症状が出ないので、気づかないことも多い。

◇進行流産

出血や腹痛が続き、子宮内の胎嚢が排出されつつある状態。子宮口が開き、生理よりも多い出血や子宮収縮による陣痛のような強い下腹部痛が生じる場合も。

進行流産は完全流産と不全流産に分けられ、子宮内容物がすべて自然に排出された状態を完全流産といい、経過観察(場合によっては子宮収縮剤を服用)で対処できることが多い。

一方、子宮内容物の排出が始まっているものの一部が子宮内に残っている状態を不全流産という。不全流産では子宮内容物を除去するため、手術することが多い。

◇感染性流産

細菌などにより子宮内感染を起こし流産を引き起こす状態。母体に危険が及ぶ場合や、胎児死亡、重篤な障害が残るケースなどさまざまなリスクがある。

◇反復流産/習慣流産

流産を2回以上くり返す場合を反復流産、3回以上くり返す場合を習慣流産という。反復流産となった場合、不育症の検査を進めるなど、今後の不妊治療を考えるうえでの対策も必要。反復流産・習慣流産後の不育症検査に対して、助成金を申請できる自治体も。

◇切迫流産

妊娠22週未満の時期に出血などの症状があり、流産しかかっている状態。

妊娠12週までの切迫流産には有効な薬剤はないと言われており、とにかく安静にするなどの経過観察で対処することがほとんど。これまで紹介してきた流産とは異なり、妊娠継続できる可能性がある。

化学流産の原因とは?起こりやすい人の特徴は?

体外受精において事前に着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)を行った場合、化学流産が減少したという報告もあり、主な原因は受精卵の染色体異常であると考えられています。

化学流産が起こった際、自分の生活や行動が原因かもしれないと考える人もいますが、現在の医療では染色体の異常を防ぐ方法は確立されていません。決して自分自身を責めることはありません。また、化学流産の場合は子宮内組織を検査して診断することが不可能であるため、受精卵の染色体異常が原因と証明することも難しいのが現状です。

しいて化学流産が起こりやすい人の特徴をあげるとするのであれば、年齢が高い人でしょうか。卵子は生まれる前から卵巣内にあり、その人と同じだけ年齢を重ねています。そして、年齢が上がるほど、卵子の染色体異常の確率はたかくなることがわかっています。染色体の以上は、流産の原因の多くを占めるので、高齢とともに流産率は高くなっていきます。

化学流産が起こる確率と年齢との関係性

年齢にもよりますが妊婦の15〜25%ほどに流産が起こるとされており、35歳を超えると流産率は上昇します。とくに化学流産は、ほかのさまざまな流産よりも高確率で起こっていると予想されています。ですが、正確に化学流産の割合を特定するのは不可能です。

一回の妊娠における流産の頻度は平均的には15%ですが、加齢とともに増加することはわかっています。


参照:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」報告書(資料:虎ノ門病院産婦人科1989.1.~1991.7データ、母体年齢と流産 周産期医学vol.21 no.12,1991-12)

また、ほかの発表によるとhCGの値によって化学流産の割合には変化が見られ、新鮮胚移植後16日目のβ-hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が74〜135IU/Lでは化学流産は約50%、136〜197 IU/Lで21%とβ-HCGレベルが増加するにつれて化学流産が減少したと報告されています。

化学流産後の生理と通常の生理に、違いはある?

化学流産後の生理は「いつもどおり」が一般的

化学流産後の生理は、通常どおり、または少し遅れる程度で化学流産後の生理は始まります。通常の生理の出血との違いはほとんどありません。痛みに関しても通常の生理と変わりないと考えていいでしょう。

化学流産以外の流産の場合、受精卵が着床して子宮内膜が厚くなることで着床の継続を助けるため、通常の生理よりも出血量が多くなるのが一般的です。その一方で化学流産の場合は着床しても、ごく短期間になるため、あまり普段の生理と変化はありません。

ただ、いつもより出血量が多い、長く出血が続くなどいつもの生理との変化を感じたら、子宮外妊娠などの異所性妊娠の可能性も考えられます。早めにクリニックを受診してください。

化学流産後、生理がはじまらない場合はどうする?

化学流産は出血が起きてからでないと診断できないため、生理予定日から数日経っても生理が始まらない場合は稽留流産、排卵が遅れた可能性も出てきます。そういった場合は早めにクリニックを受診することをおすすめします。化学流産は、医師による診断ができないため、月経予定日より1〜2週間後に受診するのがいいでしょう。

化学流産後の生理、内容物はクリニックに提出したほうがいい?

化学流産の場合、子宮内組織を検査して診断を得ることがほぼ不可能であるため、生理や出血の際の内容物を提出する必要はありません。また、同じく子宮内組織の診断を得ることもほぼ不可能であることから、化学流産と診断された場合は搔爬手術の必要もありません。

化学流産は必ず、医師の診断は必要なの?

出血後に妊娠反応が陰性化すれば問題ない場合もありますが、出血が少ないなど、いつもの月経とは違う症状があれば、化学流産だけでなく異所性妊娠などの別の可能性も考えられます。一度、産婦人科を受診し、医師の指示に従ってください。

基礎体温の変化はあくまでも目安に

化学流産の場合、基礎体温は下がります。

女性の基礎体温は排卵日を境に高温になり、生理が始まるころに低温になります。体温を上げる働きをしているのが、黄体ホルモンです。妊娠が成立した場合は黄体ホルモンが分泌され続けるため高温期が続きますが、化学流産となってしまうと黄体ホルモンが分泌されなくなるので、基礎体温は下がります。

ですが、基礎体温は体調や精神状態、季節によっても影響されます。基礎体温から化学流産かどうかを確認するには、1日や2日で判断するのではなく、1~2週間ほど計測を続けてみて判断したほうがいいでしょう。

化学流産はくり返す?治療法・予防法はあるの?

化学流産に対して、残念ながら有効な治療法や予防法は確立されていません。

これまで化学流産は流産回数に含まれていませんでした。しかし、2017年の欧州生殖医学会(ESHRE) が発表した不育症ガイドラインによると、化学流産(化学的妊娠)を通常の妊娠とカウントすることになっています。

また、化学流産の回数が増えるほど生児獲得率が低下するという報告があり、2021年の不育症提言改訂委員会においても、反復する化学流産に不育症などの検査や治療を行ってもよいのではないかという意見がありました。

妊娠検査薬は正しい時期に使う

高感度の妊娠検査薬を早期の段階で使用することで、今までは気づかなかった化学的妊娠がわかるようになり、化学流産が増えたという説もあります。その対策としては、妊娠検査薬を正しい時期に使用することが大切です。

生理予定日より1週間すぎても生理が始まらないなら、妊娠検査薬を使用するようにしましょう。そこで陽性と出たら産婦人科を受診し、超音波検査を受ければ子宮内に胎嚢が確認できるかもしれません。

化学流産後は妊娠しやすい?妊活や不妊治療の再開について

ネットなどで「流産後は妊娠しやすくなる」という情報を目にしたことがあるかもしれませんが、それは誤解です。流産によって子宮内環境がよくなる、妊娠しやすくなるといったことはありません。

妊活や不妊治療の再開については、hCGが陰性化していれば、化学流産直後の周期から妊活を再開しても問題ありません。

化学流産しても妊娠できる?と不安なアナタへ

化学流産の主な原因は、受精卵の染色体異常であるといわれています。つまり母体に、ほぼ原因はないということ。
化学流産は体へのダメージは少ないとはいえ、「流産」という診断がなされたことで落ち込んだり心がつらくなったりすることもあるかもしれません。

体はもちろんですが、心も大切。化学流産という呼び方が一般化していますが、受精卵が着床はしたけれども着床を継続できなかった「生化学的妊娠」であると捉えれば、まず受精する力がある、短い間ながらも着床している、とポジティブに考えることもできます。また妊娠できるチャンスは十分にあると考えていきましょう。

文/村井まい

関連記事:流産後、不正出血が続いています。これは生理?治療が必要かドクターに聞いてみました


妊活スタート!治療の流れ

「赤ちゃんが欲しい」と思ったら妊活スタート。第一歩は病院探しから始まります。

1.まずはあなたにぴったりの病院を探す
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●病院の診療時間もチェック!
自分のライフスタイルにあった診療時間のクリニックかも合わせて確認しましょう。
あかほしの検索機能を使えば、9時前に診察OK、18時以降も診察している、土日祝も診察している、など条件からも探すことができます。

2. 予約(WEB予約をクリック)
受診するクリニックを決めたら、予約をいれましょう。WEBで予約をできるクリニックも増えています。初診だけは電話などで予約のクリニックもあるので、確認しましょう。

3. クリニックに行く/問診票に記入
予約した日程にクリニックにいったら、まずは受付&問診票に記入。問診票には、最終月経の状態、生活習慣、既往歴など検査に必要な質問項目に答えます。生理中でもできる検査もあります。

4. 先生によるヒアリング
事前に記入した問診票を見ながら、医師と直接話す問診タイム。日ごろから気になっていることなどはここで質問を。過去の病歴や、流産・中絶経験などもつつみかくさず正直に答えることが重要です。

5. 内診&超音波検査
外陰部の視診や触診、腟鏡を使って腟内の状態確認を内診台の上で行います。外側からは見ることができない子宮や卵巣の内部は超音波で検査します。不妊治療における超音波検査は、内科の聴診と同様の位置づけだと考えましょう。

6. 血液検査&尿検査
血液検査と尿検査は、ほとんどのクリニックで初診の時に行われます。不妊の原因になる疾患が見つかればその治療が優先されるので、初診で調べるのが基本。

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ひととおり検査が終了したら待合室に戻ります。その後、会計をすませて初診の検査は終了。検査結果が出るスケジュールを聞いて次回の予約をします。初診時の多くの検査は保険が適用されますが、保険適用の有無は確認しておくと安心です。

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不妊治療おすすめのクリニック

佐久平エンゼルクリニック
住所:長野県佐久市長土呂1210-1
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電話番号:0267-67-5816

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排卵検査薬ってそもそも何?妊娠しやすいタイミングがわかるって本当?

不妊の定義にはあてはまりませんが、病院へ行ってもいいですか?

監修
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医療法人佐久平リプロダクションセンター 佐久平エンゼルクリニック院長。
鹿児島県鹿児島市出身。鹿児島大学医学部卒業後、東京都立府中病院(現・東京都立多摩総合医療センター)、日本赤十字社医療センター、高崎ARTクリニックを経て、2014年に佐久平エンゼルクリニックを開院。生殖医療専門医。

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