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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 妊活ライフコラム 子宮内膜と着床メカニズムとは?【中医学リプロダクティブヘルス】集中特訓#10

子宮内膜と着床メカニズムとは?【中医学リプロダクティブヘルス】集中特訓#10

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妊活ライフ
2022/02/14 公開
2023/05/12 更新

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妊娠したい女性&カップルなら、ぜひ知っておくべき!漢方・中医学による妊活アプローチについて、「学び」を深める連載。妊活を始めたばかりの人も、なかなか妊娠しないと不安な人も、「読むだけ」で妊娠しやすい身体づくりをめざすことができる!そんな妊活の基本をまとめています。

教えてくださるのは中医学講師の張(ちょう) 立也(りつや)先生。『赤ちゃんが欲しい(あかほし)』編集部とともに、さぁ、授かりに向けて学びのトビラを開きましょう。

第10回のテーマは「子宮内膜への着床」。妊娠が成立する最終プロセスである「着床」について、中医学の視点から解説します。

▼これまでの集中特訓はこちら
#01 妊娠したいならまず「体質タイプ」を学ぼう
#02 漢方のベーシック妊活「周期調節法」について知りたい
#03 基礎体温で身体を知ることが妊活の第一歩
#04 月経とうまくつきあって、妊娠できる体質に!
#05 いい「おりもの」は、妊娠可能なサイン
#06 月経痛&PMS(月経前症候群)とじょうずにつきあう
#07 2人目がほしいと思ったら
#08 流産後のケアとこれからの妊活
#09 男性不妊にカップルで取り組むべき理由

「子宮内膜」と「生理」とは


排卵のあとに分泌される黄体ホルモンの影響によって、子宮内膜は受精卵が着床するのに適した状態へと変化していきます。これは子宮内膜の受容性が獲得され、子宮内膜が厚くなった状態で「ふかふかのベッド」にたとえられます。こうして子宮内膜は受精卵(赤ちゃん)の到来を迎えます。

黄体ホルモンは、排卵があることで分泌量が増えます。つまり、妊娠に適した「いい状態の子宮内膜」が形成されるためには、排卵していることが必須の前提なのです。

子宮内膜には受精卵が着床しなかった場合には、厚くなった子宮内膜は周期的に剝がれ落ちます。これが「月経(生理)」です。

着床とは

妊娠が成立する流れをおおまかに見ると、卵巣の中で成熟した卵子が「排卵する」、精子と卵子が「卵管で受精する」、受精卵が細胞分裂を繰り返しながら卵管を通って「子宮内膜に着床する」というプロセスになります。

「着床」とは、受精卵が子宮壁に接着する現象をいいます。

子宮に何らかの問題がある場合、受精卵が最終的に子宮に着床できず、「着床障害」と診断されます。

着床障害の原因はかなり複雑で、現段階では子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮内膜炎、子宮奇形、黄体機能不全などが挙げられます。または、受精卵そのものが原因のこともあります。

着床障害は子宮だけの問題ではない

子宮内膜に受精卵が着床するので、着床障害は「子宮だけの問題」と思われがちです。しかし、そうではありません。

中医学では、子宮のことを「胞宮(ほうきゅう)」といいますが、胞宮(子宮)と卵巣、そして卵管は、すべて関連しているととらえます。また、身体の一部だけでなく、全身、さらには心の面も同時に考えて、健康な状態へと導くのが中医学の基本的な考え方です。

着床障害について中医学の考え

病院で超音波検査を受けたときに、「子宮内膜が薄い」「十分に厚くなっていない」などと言われたことがある人もいるかもしれません。では、生まれつき子宮内膜に問題があるのでしょうか?

中医学では、女性の身体は7の倍数で変化すると考えます。14歳ごろには初経(初潮)があり、妊娠できる条件がそろった、妊娠に適した身体へと成熟していきます。毎月、月経が起こるのは、その証です。

こうして毎月の排卵によって子宮内膜が形成されていくのですから、月経のサイクルが正しければ基本的に大きな問題はないと考えられます。

▼「男性の体は8の倍数で変化する」についてはこちらの記事も参考に。
集中特訓#09【男性不妊にカップルで取り組むべき理由】

中医学では、「着床障害」、「着床不全」はおおむね「不孕(ふよう)」、「流産」と分類しています。
主な原因は生命エネルギーである「腎」が不足した「腎虚(じんきょ)、気の流れが滞る「気滞(きたい)、血の不足した「血虚(けっきょ)」、血の流れが滞る「瘀血(おけつ)に起因していると考えます。

着床に不利な要素は?

(1)子宮の老化

月経が毎月、順調にあれば 、子宮内膜は妊娠に向けてととのっていると考えられます。受精卵が着床しなかった場合には、厚くなった子宮内膜は剝がれ落ちて経血となります。

これが1年に12回として、20年だと240回も女性の身体に起こることになります。子宮は若いときからずっと、毎月、受精卵が到着するのを待ち、受け入れ準備をととのえています。しかし、なかなか妊娠の機会がなく月経を繰り返すうちに、月経血の逆流を含め、キレイに排泄せず血流が滞るケースがあると考えられます。

加齢とともに身体の機能が衰えていくことは避けられません。子宮も同様です。そして、30代半ばになれば、初経から約20年が経過していることになり、子宮や卵巣も老化に向かっているのです。子宮の老化で不妊になるとは言えませんが、妊娠には不利な要因のひとつです。

また、現代の生活環境の影響を受けて、健康状態が低下したり、飲酒や喫煙、ストレスなどにより卵巣・子宮の老化が早まったりすることもあります。

(2)子宮内膜の炎症

子宮内膜に炎症があると、受精卵の着床を妨げてしまう可能性があります。子宮筋腫や子宮のポリープなども同様で、状況によっては治療が必要になることも。

骨盤内の臓器に癒着がある場合、慢性の腹部炎症、または習慣性便秘症の場合には、常に子宮の後ろに位置する大腸が圧迫されるため、子宮自体と内膜への血流供給が低下することがあります 。

子宮内膜の状態を知る検査

最近では、子宮内膜の状態を知ることができる検査もあり、不妊治療専門クリニックなどで、さまざまな検査が行われています。

◇ERA(子宮内膜着床能検査)

体外受精での胚移植のタイミングを見極める検査。胚(受精卵)を適切なタイミングで子宮に移植することで妊娠率のアップが期待される。

◇EММA(子宮内膜マイクロバイオーム検査)

子宮内膜の細菌を解析する検査。子宮内膜の細菌のバランスをととのえる治療を行うことで、妊娠の可能性が高まる 。

◇ALICE(感染性慢性子宮内膜炎検査)

子宮内膜炎を引き起こす細菌を検出する検査。必要に応じて治療を行う。

慢性子宮内膜炎と着床

近年、不妊治療の現場では、不妊要因として「慢性子宮内膜炎」が着目されています

子宮内膜炎は、子宮内膜の筋肉層に浸潤する局所的な炎症性の疾患です。急性期であれば強い痛みなどの症状がありますが、慢性子宮内膜炎は軽症のため痛みは軽いか、または無症状のことが多いのが特徴です。

感染ルートは多様で、微生物感染、虚血や低酸素、化学物質、物理的刺激、免疫異常、遺伝性なども示唆されています。また、血流や栄養 不足、冷え、加齢なども関係している可能性があります。

検査結果が陽性で子宮内膜炎と診断されれば、抗生物質を1週間ほど服用して治療します。しかし、炎症が治まったら妊娠できるかというと、そうとは限りません。

【子宮内膜炎の難しい点】

・検査で陰性でも、子宮内膜炎を否定できない。
・子宮内膜ポリープとの合併症が多い。
・子宮内膜を掻爬(そうは)する治療法だと、子宮内膜が傷つくリスクがある。

体外受精を何度も繰り返しているのに妊娠しない方、また原因不明の方、反復流産をした方には、一定数の割合で慢性子宮内膜炎が見られます。

中医学の炎症対策は「解毒と抗炎症」

中医学では、子宮内膜炎、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ、子宮内フローラ失調、また卵巣や卵管などで起こる子宮付属器炎など婦人科の炎症の対策として、以下を念頭に考え、漢方薬を選びます。

○清熱解毒(せいねつげどく):熱毒や湿邪を取り除き炎症をおさえる。
○除湿健脾(じょしつけんぴ):水分代謝を改善し脾胃の働きを取り戻す。
○活血理気 (かっけつりき):ストレスを解消し、気血の巡りをよくする。

炎症を取り除き、子宮内膜のオートファジー*を正常化していきます。これらの「浄膜去濁(じょうまくきょだく)」という働きにより、正常な血流を回復させることが着床を促すことにつながります。1〜3周期、集中的に漢方薬を用います。
*オートファジーとは:生体の恒常性を維持する作用のひとつ。細胞内での異常や過剰なたんぱく質をリサイクルし、細胞質内に侵入した病原菌を排除する働き。自浄作用。

妊娠率が改善した研究データ

漢方薬を服用した場合の着床について、中国の大学病院での研究結果が報告されています。

体外受精の胚移植で繰り返し失敗している事例の改善策として、子宮内膜の状態に着目し、漢方薬「イスクラ婦宝当帰膠B(ふほうとうきこうびー)がどのように影響するかを推測しました。

イスクラ婦宝当帰膠B(ふほうとうきこうびー)

トウキをはじめ、センキュウ、オウギなどを加え、9種類の生薬を原料とするシロップ剤です。更年期障害のかたの冷え症、貧血、生理不順、生理痛、腹痛、腰痛、肩こり、頭痛、めまい、のぼせ、耳鳴りの改善を目的としています。300mL・300mL×2。

*カッコ内は生薬の種類。
・全身:血液の流れの改善(トウキ、センキュウ)
・厚み:血の充実(トウキ、シャクヤク、アキョウ)

・温度:気血・陰陽のバランス(ジオウ、アキョウ、オウギ)

婦宝当帰膠Bは、養血補気、活血化瘀(かっけつかお)の効果があり、血の流れをよくして気と血を充実させる働きがあります。血が不足する「虚血」、血が滞る「瘀血」、気が不足する「気虚」の改善が期待されます。

子宮の血流をよくするために気をつけることは?

◇運動やストレッチをする

骨盤内の血流をよくするには、運動するのがいちばんです。足をよく動かすウォーキング、階段の上り下り、散歩などがおすすめ。激しい運動をする必要はなく、いつもの生活に取り入れられることを工夫しましょう。それが運動を続けるコツです。

デスクワークが多く座りっぱなしだと、腰まわりの血行が悪くなります。立ち上がって足を動かしたり、ひざ裏をのばしたりするなど、ストレッチを心がけましょう。

こまめに身体を動かして常に血行をよくすることは、全身の冷えの予防にも役立ちます。

◇禁煙する

タバコを吸うと全身 の血行が悪化します。また、妊娠した場合に低体重児が生まれる可能性が高くなります。
赤ちゃんを望むなら、タバコはすぐにやめましょう。

◇栄養バランスのよい食事

身体をつくるのは毎日の食事です。栄養バランスのいい食事をとりましょう。旬の食材をはじめ、さまざまな素材をバランスよくとることを心がけましょう。
冷たい食べ物や飲み物のとりすぎは、身体を冷やすので要注意です。

◇太りすぎ・やせすぎに気をつける

極端な肥満、また逆に極度のやせは、健康な状態とはいえません。月経や妊娠に関係する女性ホルモンの分泌にも影響を及ぼすことがあります。標準的な体重を参考にしながら、自分にとってベストな体重を維持しましょう。

子宮内膜は「質」も重要。血流アップを継続的に!


着床障害というと子宮内膜の厚さだけを考えがちですが、子宮内膜の「質」も重要です。毎日の新鮮な血液の循環、毎周期の月経でのリセットが、元気な子宮内膜へのポイントです。

骨盤内はもちろんですが、全身の血流をよくすれば子宮や卵巣にも血液がゆきわたります。それは、卵巣の質を高めて「いい排卵」を呼び起こし、「いい状態の子宮内膜」へとつながっていきます。

妊活していると、「○○が悪い」「○○の数値がよくない」と不調のある部分に注目しがちですが、その状態を引き起こしている原因を根本からとらえてケアしていくことが重要です。

ご紹介した漢方薬は、日本中医薬研究会の薬局・薬店で購入できます。症状や体質は一人ひとり異なりますので、薬局・薬店でよくご相談のうえ、お求めください。

お問い合わせ先/イスクラ産業株式会社
お客様相談室 03-3281-3363(土日祝日を除く)
お近くのお店を探すことができるサイトも便利! https://chuiyaku.or.jp/

取材・文/高井紀子

 

教えてくれたのは
教えてくれたのは

中医学講師。中国・遼寧中医薬大学卒業。同大学に医師、大学講師として勤務。1996年に来日し、埼玉医科大学にて医学博士号取得。日本中医薬研究会講師。不妊カウンセラー。著書に『中医非薬物療法の基礎と臨床』など。やさしくも的確なアドバイスにファン多数。

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