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3ページ目(3ページ中) | 特別養子縁組って?年齢制限や費用は?産まずに育てて母になった人の体験談も

2019/11/30 公開
2023/06/17 更新

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特別養子縁組にまつわる素朴なギモンの数々。民間の養子縁組あっせん団体、アクロスジャパンの養親希望者へのアンケートをもとに、代表の小川さんにお答えいただきました。※養親の条件、縁組の規約等は団体によって異なります。

Q1.日本で生みの親と暮らせない子どもの数は?

A.約46,000人

そのうち約85%が乳児院や児童養護施設などで暮らしています。一方、欧米では、施設よりも養子として家庭で育つケースがほとんどで、アメリカでは約8割、オーストラリアでは9割以上の子どもが養子になっています。

Q2.養親の年齢制限は?

A.45歳までが望ましい。

厚生労働省のガイドラインでは、子供との年齢差は45歳までが望ましいとされています。 アクロスジャパンの場合、養子に法的安定性を与える目的で、養親の年齢を47歳までとしています。

Q3.特別養子縁組の成立件数は?

A.年間約500件

特別養子縁組の件数は横ばいで推移してきましたが、この数年、大きく増加しています。2017年に国が発表した「新しい社会養育ビジョン」で、特別養子縁組を5年以内に年間1000件以上にまで増やしていこうということが言われています。

Q4.養母の平均不妊治療期間は?

A.約4.5年

40歳頃までを不妊治療の区切りの目安にされて、そこから養子縁組を考え始める40代前半のカップルが多いようです。不妊治療中、もっと早い段階で養子縁組について詳しく知る機会があれば、治療をやめる区切りをつけやすかったし、早く養子を迎えたかもしれないというご意見も多く寄せられています。

Q5.共働きでもOKですか?

A.大丈夫です。

ただし、新生児を迎えてすぐは休職するなど、きちんと養育できる状況を作る必要があります。2017年の法改正で、養子縁組成立までの半年間の試験養育期間にも育児休業が認められるようになりました。

Q7.民間団体で迎える養子の平均年齢は?

A.0歳

民間団体の場合、新生児の委託がほとんど。生後数日で養子を迎えるご夫婦が多いです。一方、児童相談所の場合、新生児委託は少なく2割程度です。

Q8.民間団体から養子を迎えるのにかかる費用は?

A.約50~200万円

団体の方針や支援の手厚さ、実母の出産状況によってもかかる経費は違い、一概にはいえません。厚生労働省や自治体から認定された一部のモデル団体には給付金が出ます。今年度は当該団体で縁組された養親にも最大で30万円の給付金が出る予定です。

Q9.登録後、養子を迎えるまでの期間は?

A.ケースバイケースです

家族をつくる養子縁組のマッチングは早ければいい、誰でもいいわけではなく、お子さんの持つ背景や実親の思いなど、さまざまなことを考慮して慎重に行われます。登録後、すぐに決まることもあれば、数年待っていただく場合もあります。当団体で登録までされた方は皆さん最終的には特別養子縁組が成立しています。

Q10.子どもには養子であることを告知する必要がある?

A.YES

「真実告知」は子供の持つ権利とされています。子供は成長するにつれて、必ず自分のルーツを知りたがります。幼いうちから自然に日常の中で、真実を伝えるよう説明しています。

育ての親登録までの流れと支援

問い合わせ・ヒアリング

必要書類・審査申込書の提出

個別面談・特別養子縁組に関する研修

家庭調査 犯罪履歴確認(虐待・児童ポルノ含む)

待期期間(育ての親向け研修、受け入れ準備)

委託

最初のお問い合わせから、面談や研修、家庭調査などを経て、待機に入ります。ここまでで大体2ヶ月~半年、その後の待期期間は人によってまちまちです。

家族のかたちはそれぞれ。産まなくても、育てて母になるという選択肢があることを知ってほしい

アクロスジャパン理事・小川多鶴さんにお話を聞きました。

アメリカ在住中、4年間の不妊治療後に第二子となる養子を迎える。日本の養子縁組の様々な問題に直面した経験から、2009年に帰国して一般社団法人アクロスジャパンを設立。予期せぬ妊娠に悩む女性の支援や、子どもを望む夫婦との養子縁組事業を行っている。

不妊治療の最初に養子の説明があるアメリカ

私は以前住んでいたアメリカで4年間、不妊治療をしました。現地のクリニックでは、治療を始める前にカウンセリングがあり、『あなたは今こういう状態で、治療の方法にはこれとこれがあります。成功率はそれぞれ何%です』と説明されます。選択肢の中には、養子縁組も入っていて、説明会の日時や費用のことなど、いろいろ教えてくれます。患者には知る権利があり、医師はそれらの情報を提供しなければならないと法律で定められているのです。

不妊治療で精魂尽き果てた末に、養子縁組に行きつくのではなく、スタートの段階で養子縁組という選択肢もあると知っておくことで、その後の不妊治療の進め方や精神的な負担も随分変わってくるのではないでしょうか。自分で産むことだけが母になる方法じゃない。本当に子供がほしいなら、育てて母になる方法あり、実の親子と何も変わらない。選択肢は自分にあるんだよということを知ってほしいなと思います。

養親希望者のほとんどは不妊治療の経験者です。治療の継続中など、少しでも迷っているかたには、制度を知ったうえで、もう一度よくお考えいただき、自分で産むのが目的ではなく、育てたい!と思ったらまたいつでもいらしてくださいとお話しています。周囲に子供をせかされて、しかたなく養子をもらうんじゃ、みんな不幸ですもんね。

他の団体や児童相談所などもぜひ見てきてくださいということも、みなさんに伝えます。自分で納得して決めるというのがいちばん大事です。さまざまな研修を受けて、養子縁組の背景も理解し、それでも子供が欲しいという強い気持ちを持つかたは、みなさん我が子に出会われています。

二人目不妊で日本から養子を迎えて

私は2005年に日本から養子を迎えました。不妊治療中に夫から「そんなに大変なら養子を迎えようか」と言われて最初は驚きました。夫は日系アメリカ人で、親戚にも養子がたくさんいる環境でした。私には既に自分で産んだ長女もいましたが、確かに実子か養子かということより、どう育てるかが大事だと思えたのです。

長男はもう14歳。家族になれてとても幸せです。彼を迎えた当時は情報も少なく、制度も整っていなかったので、いろんなかたの相談を受けました。その経験から10年前に帰国して、アクロスジャパンを立ち上げました。苦労も多いですが、厳しい状況の中で生まれた子供が、あたたかい家庭に迎えられて、養親と幸せに暮らしているのを見ると、この仕事をしていてよかったと思います。

日本で体外受精や顕微授精などの生殖補助医療によって生まれた子供は年間47,322人(2014年)。そのほぼ同数の約46,000人の子供が何らかの事情で家庭で暮らせない社会的養護児童です。アメリカではその約8割が養子になりますが、逆に日本では8割以上の子供が養護施設で暮らしています。

政府は2017年、施設ではなく家庭で養護する子供の割合を75%に引き上げましょう、特別養子縁組の数も現在の2倍の年間1000件に引き上げましょうという「新しい社会的養育ビジョン」を発表しました。

日本でも最近は養子縁組に対する考え方も徐々に変わってきました。家族の形はそれぞれ。いろんな生き方が当たり前に受け入れられる世の中になることを心から願っています。

構成・文/岩村優子  協力/アクロスジャパン

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