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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 基礎知識コラム 太りすぎ、やせすぎもNG?よい卵子を育てる生活習慣【不妊治療専門ドクター監修】

太りすぎ、やせすぎもNG?よい卵子を育てる生活習慣【不妊治療専門ドクター監修】

基礎知識
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2024/11/02 公開

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よい卵子に育てたい! 年齢を重ねるとともに増える染色体異常はどうすることもできませんが、ふだんの生活において、何かできることはあるのでしょうか?

これまでに2万人以上を妊娠に導いた実績をもち、生殖医療専門医でもあり抗加齢医学会専門医でもある、高橋ウイメンズクリニックの高橋敬一院長に伺いました。

前の記事を読む妊娠しない理由の7割は卵子にある⁉卵子の質って?【不妊治療専門ドクター監修】

卵子の成熟には約80日かかる

卵子のもとになる原始卵胞は、女性が生まれる前から卵巣にあって、加齢とともに卵子も老化します。

原始卵胞からは、毎回の排卵に向かって1000個ほどが成熟し始め、そのうち最も成熟した卵子が卵胞から飛び出し、卵管采にキャッチされて卵管内で精子と出合います。つまり、よりよく成熟させることが質のよい卵子を得るためのポイントになります。

とはいえ、卵子が成熟するには約80日かかります。最低でも2~3ヶ月前から対策をする必要があり、排卵前の1週間程度サプリメントを飲んだりしても、すぐに効果が表れるわけではないのです。

禁煙する、過度のアルコールを控えるのは基本

タバコに含まれている有害物質は、卵巣や子宮への血流を悪くするだけではありません。女性ホルモンの分泌にも影響して、卵子の質が低下したり、子宮内膜が受精卵の着床に適さない状態になったりするため、まず禁煙することが大切です。

アルコールについては、妊娠率が下がる、流産率が上がるという報告もあれば、変わらないという報告もあります。人によってアルコールを体外に排出する力は異なり、一概にどのくらいの量なら安全とはいえないので、過度のアルコールは避けたほうがいいでしょう。

次に大事なのは太りすぎ、やせすぎの改善!

自分が太っているかやせているかは、体重をはかるほか、ふだん着ている服のサイズなどから増減を判断しているのではないでしょうか。でも、体重や見た目だけで判断するのはNG。太りすぎ、やせすぎの指標となるBMI(ボディ・マス・インデックス)で確認しましょう。

BMIは、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]から算出します。18~49歳の場合、適正なBMIは18.5~24.9。それ以上は太りすぎ、それ以下はやせすぎ、BMI35以上になると重度の太りすぎです。

また、やせているように見えても、実は脂肪が多い隠れ肥満ということもあります。体組成計を使って、自分の筋肉量や脂肪量を確認すると、さらにいいでしょう。

太りすぎの場合

排卵障害を起こしやすいため、糖尿病の検査を行う

太りすぎの場合は、糖尿病の可能性があります。血糖値を下げる働きをするインスリンが排卵に影響するため、肥満や糖尿病では排卵障害を起こしやすいと考えられています。排卵障害は不妊原因の一つですが、不妊治療をしていても、糖尿病の詳しい検査を行っている人は多くありません。1回の血液検査だけではわからないので、高橋ウイメンズクリニックでは「75g経口ブドウ糖負荷試験」を行って調べています。

75g経口ブドウ糖負荷試験は、75gのブドウ糖液を飲んだあと、1時間後、2時間後と血糖値を調べる検査です。この検査で糖尿病傾向があると診断した場合には、管理栄養士の栄養指導を受けて体重管理を行うことになります。

同時に、糖代謝を改善する「メトホルミン」という薬を使って排卵障害の改善や、卵子の質をよくしていく場合もあります。

やせすぎの場合

細胞膜がつくられにくくなり、性ホルモンの分泌も低下する

最近、妊活中でもやせすぎている人が少なくありません。しかし、やせすぎているとたんぱく質が不足したり、低コレステロール状態になり、卵子の質が低下してしまいます。

コレステロールは悪いものと思っている人が多いのですが、細胞を包んでいる細胞膜はリン脂質とコレステロールからできています。また、女性ホルモンや男性ホルモンなど性ホルモンも、実はコレステロールからつくられているのです。低コレステロール状態だと細胞膜の材料が少なくなり、性ホルモンの分泌も低下してしまうので、妊娠を目指す人には避けるべき、とても重要なことなのです。

◎リン脂質とコレステロールは“良質の油”からとる

リン脂質とコレステロールをとるには、良質の油(脂質)を食事にとり入れることが大切です。脂質には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、飽和脂肪酸はとりすぎると悪玉コレステロールが増えて、生活習慣病を招く恐れがあります。不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを減少させたり、心臓の病気や脳卒中などにかかるリスクを低下させたりするなどの効果があるので、積極的にとり入れていきましょう。

具体的には、オリーブ油、えごま油、アマニ油、EPAやDHA(魚に含まれる油)、MCTオイルなどが挙げられます。揚げものや炒めものに使われるサラダ油やキャノーラ油なども不飽和脂肪酸を含みますが、化学的加工が加えてあり、使い過ぎには注意しましょう。また、飽和脂肪酸のなかでも、中鎖脂肪酸が主成分のココナッツオイルは脂肪になりにくく、おすすめです。

脂肪酸の一つであるトランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らしてしまいます。マーガリンはトランス脂肪酸が多く、アメリカでは法律で禁止されているので、控えたほうがいいでしょう。

◎細胞をつくる“たんぱく質”も豊富にとる

体の細胞をつくるのは、たんぱく質です。卵子や精子の細胞も同様なので、じゅうぶんにとらないと、卵子の質にかかわります。

たんぱく質には、魚介類や肉類、卵や乳製品などの動物性たんぱく質と、豆腐や納豆、油揚げ、豆乳などの植物性たんぱく質があります。動物性たんぱく質は植物性たんぱく質よりも吸収率がいいですが、偏らずバランスよくとることを心がけましょう。

◎リン脂質やコレステロール、たんぱく質は基準値の上限超えを目指す

これらをもう少しとりましょうというと、「今まで健康診断で正常値と言われていたのに」と思うかもしれません。妊娠を目指すためには、理想を追求して、基準値の上限を目指すのが栄養的にはおすすめです。

取材・文/荒木晶子

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高橋ウイメンズクリニック院長。1985 年国立金沢大学医学部卒業。虎ノ門病院婦人科などで体外受精・胚移植などを手掛ける。95年米国ワシントン大学に留学。96年虎ノ門病院復帰後、99年に現クリニックを開業。著書に「専門医が答える不妊治療 Q&A」(幻冬舎)。

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