【まとめました】4月から3割負担に。不妊治療が保険適用になります!どう変わる?知りたいことQ&A解説も
厚生労働省・不妊治療に関する最新情報(令和4年3月25日時点)リーフレットより
画像ギャラリーこれまで不妊治療は保険適用の対象外で患者が治療費の全額を負担してきましたが、2022年4月1日、「保険適用」がいよいよスタート。そのポイントを見てみましょう。また、保険適用化を受けての動きも紹介します。
※2022年3月31日現在の情報です。厚生労働省、お住まいの自治体、かかりつけの医療機関の最新情報をご確認ください。
不妊治療の保険適用、始まる!
□体外受精などの基本治療は全て保険適用されます
中央社会保険医療協議会(国の審議会)で審議された結果、関係学会のガイドラインなどで有効性や安全性が確認された以下の治療について、保険が適用されます。
生殖補助医療のうち、上記に加えて実施されることのある「オプション治療」についても、保険適用されるもの、「先進医療※」として保険と併用できるものがあります。
※「先進医療」とは、保険外の先進的な医療技術として認められたもので、保険診療と組み合わせて行うことができます。
不妊治療に関する「先進医療」は随時追加されることもあるので、 詳細は受診するさ医療機関に確認しましょう。
例 EMMA/ALICE・ERA検査・タイムラプスなど
□年齢・回数の要件(体外受精)は助成金と同じです
保険診療でも、これまでの助成金と同様に以下の制限があります。
なお、一部の方に経過措置が適用されます。
※助成金の支給回数は、回数の計算に含めません。
年齢制限
…治療開始時において女性の年齢が43歳未満であること
回数制限
初めての治療開始時点の女性の年齢が40歳未満
…通算6回まで(1子ごとに)
初めての治療開始時点の女性の年齢が40歳以上43歳未満
…通算3回まで(1子ごとに)
□窓口での負担額が治療費の3割となります
保険診療の治療費について、窓口での負担は3割となります。
治療費が高額な場合の月額上限(高額療養費制度)もあります。具体的な上限額や手続は、加入している医療保険者(国民健康保険なら、お住まいの市町村の担当窓口)に問い合わせを。
知りたい!不妊治療の保険適用に関するQ&A
保険適用スタートにあたり、知りたいことがいろいろあります。
厚生労働省のリーフレットをもとに、まとめました。(※2022年3月16日時点の情報です)
保険診療を受けるにあたって
Q.保険診療を受けるとき、必要な準備はある?
⇒医師に不妊治療の治療歴やこれまで受診した医療機関などの情報を伝えましょう。
できるだけ夫婦そろって、受診しましょう。
Q.保険診療を受けられる医療機関は?
⇒助成金の指定医療機関であれば、保険診療の施設基準を満たすとされています(令和4年9月30日まで)。
受診の予約前に病院・クリニックのwebサイトなどで確認するのがよいでしょう。
Q.事実婚の場合も保険適用の対象になる?
⇒対象となります。
なお、医療機関によっては、各々の戸籍抄本もしくは各々の独身証明書などの提出が必要な場合があります。
治療内容などについて
Q.先進医療を受ける際に必要な手続きは?
⇒治療内容や費用について同意が必要になりますが、それ以外に特段の手続きはありません。
なお、先進医療は医療機関ごとに実施可能な内容がことなるため、くわしくは通うクリニックに確認・相談を。
Q.採卵は複数回、実施することができる?
⇒保険診療で採卵を行う場合は、治療スタート時に医師が作成する治療計画に従って行います。
その際、医学的に必要と判断された場合は、複数回、採卵を行うことも想定されています。
たとえば、採卵しても卵子が得られない場合などです。
Q.採卵を保険診療で、胚移植を保険外診療で行うことはできる?
⇒保険診療、保険外の診療(先進医療を除く)を組み合わせて実施することはできません。
保険適用前から不妊治療をしている場合
Q.保険適用前に不妊治療で凍結保存した胚は、保険適用後も使える?
⇒助成金の指定医療機関や学会の登録施設で作成・凍結された胚は、基本的に保険診療でも 使用可能です。
具体的には、受診する医療機関とよく相談しましょう。
Q.保険適用で実施できる胚移植の回数は、過去の治療実績が含まれる?
⇒保険診療における胚移植の回数制限は、保険診療下で行った胚移植の回数のみをカウントするため、過去の治療実績や助成金利用実績は加味されません。
年齢制限・回数制限の経過措置について
Q.4月に43歳の誕生日を迎えますが、準備が間に合わず
43歳未満で受診できなかった場合には、もう保険診療を受けることはできない?
⇒2022年4月2日か ら2022年9月30日までに43歳の誕生日を迎えるかたは43歳になってからでも、 同期間中に治療を開始したのであれば、1回の治療(採卵~胚移植までの一連の治療)に限り、保険診療を受けることが可能です。
Q.4月に40歳の誕生日を迎えますが、準備が間に合わず
40歳未満で受診できなかった場合には、回数制限の上限は通算3回となってしまう?
⇒2022年4月2日 から2022年9月30日までに40歳の誕生日を迎えるかたは40歳になってからでも、 同期間中に治療を開始したのであれば、回数制限の上限は通算6回となります。
CHECK!
保険診療にならない薬剤・治療は?
保険診療にならない薬剤・治療は?
・子宮内膜が薄い、着床障害予防目的 :バイアスピリン
・採卵決定時の卵胞成熟製剤 2剤併用 :スプレキュア点鼻+オビドレル、HCG
・ホルモン補充周期に使用する薬剤 :プロギノーバ・ユベラ N・バイアスピリン、スプレキュア
・卵胞発育を目的とする薬剤 :プロギノーバ・プレマリン・エストラーナテープ
・胚移植後、妊娠後の子宮収縮抑制剤 :ダクチルなど
・胚移植後、妊娠後の血栓予防 :オルガラン注射・ヘパリン
・卵子の質、血流改善薬剤 :ラエンネックカプセル・注射
・PGT-A(着床前診断) ※先進医療に移行予定(審議中)
・二段階胚移植 (審議中)
・PRP 療法 子宮・卵巣
・リンパ球移植
・ピシバニール療法
・タクロリムス療法(審議中)
・IVIG 療法(免疫グロブリン療法)
・G-CSF 療法
・Duostim(1周期に2回採卵)
※社会的卵子凍結、医学的卵子・精子・胚・卵巣凍結は自費診療となります。
注)2022年3月現在。上記以外にも保険適用にならない治療・薬剤があります。今後情報が更新変更される可能性があります。
CHECK!
3月までに開始した治療の一部に経過措置も
2022年3月31日までに治療を開始し、2022年4月1日以降に終了する保険適用外で実施した治療について。
経過措置により、治療によっては助成金申請が可能になる場合がありますが、保険診療対象外となります。詳細は自治体に問い合わせましょう。
CHECK!
保険診療の体外受精・顕微授精(生殖補助医療)を見送ったクリニックも
保険適用スタート時点で、保険診療の生殖補助医療(体外受精、顕微授精)を行わない判断をしたクリニックもあります。夫婦ごとにことなる不妊原因にオーダーメイドで対応するためと考えられます。
CHECK!
独自の助成金制度で支援を始める自治体も!
茨城県常陸大宮市など、経済的負担をさらに軽くする独自の助成制度や支援システムを始める自治体も!
体外受精や顕微授精、男性不妊治療などを受けたい夫婦はぜひ、注目を。
厚生労働省では保険診療により、不妊治療の経済的負担の軽減をはかり、赤ちゃんが欲しいと願うみなさんが安心して安全な不妊治療を受けられることをめざしています。
しかしながら、これまで実施されていた治療すべてが保険適用になるとは限らず、薬、注射の仕様、治療が一部、制限される場合もあります。また「保険適用」については検討中の内容も多いのが実情です。最新の情報を収集のうえ医療機関を選び、治療プランを医師と相談しながら、夫婦で検討のうえ、決定することが大事です。
年齢ファクターにより、不妊治療は早いスタートがよいことに変わりはありません。保険適用の範囲などにかかわらず、赤ちゃんを授かるための検査や治療には、足踏みせず、チャレンジしていきたいものです。
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