保険適用の不妊治療でちゃんと妊娠できますか?半年経って見えてきた問題点も?TOPドクターが本音で語ります【専門ドクターに教わる妊活・不妊治療】
これまで高額な費用がかかっていた体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(ART)に、医療保険が適用されるようになり、半年がたちました。
新たに体外受精を受けてみようかなと思う人、これまでにもARTにトライしていた人が、現時点で知りたいことや悩んでいることについて、常に治療の最前線を走り続けている、トップドクターお2人に、ざっくばらんに語っていただきました。
関連リンク:保険適用で何が、どう変わるの?不妊治療
「赤ちゃんが欲しい」だから実現!不妊治療ドクター対談
加藤レディスクリニック
院長 加藤恵一先生
2000年金沢大学医学部卒業。国立金沢病院、国立病院東京災害医療センター、New Hope Fer tility Center をへて、07年より加藤レディスクリニック勤務。13年院長に就任。
できるだけ自然に近い形での妊娠をめざす「自然・低刺激周期」の体外受精を実践している。日本受精着床学会理事。日本生殖医学会専門医。
亀田IVFクリニック幕張
院長 川井清考先生
2006年旭川医科大学医学部卒業。08年東京医科歯科大学医局に入局。14年亀田総合病院 生殖医療科部長、19 年より現職に就任。
リアルタイムで蓄積した治療データのシステム化を実現し、「治療・妊娠成績の見える化」にこだわり診療に当たる。また、さまざまな角度からエビデンスに基づいたブログの配信にも力を注ぐ。日本生殖医学会専門医。
<<TOPドクター対談①
はじめての体外受精は、保険診療からのスタートでOK?
保険診療で、ちゃんと妊娠できますか?
もし、うまくいかなかったら…?
もし、うまくいかなかったら…?
【不妊治療の保険適用】移植回数の制限があることで出てきた問題点
加藤先生 今回の保険診療は、これまでの助成金制度をベースに制度設計されています。
助成金のときは、40歳未満であれば、採卵を6回やれば、そこでおしまい。保険でも同じように採卵の回数制限が入るのかと思っていたら、入らなかった。
川井先生 回数制限は採卵ではなくて、移植の回数ですからね。
加藤先生 採卵しても、受精卵にならなければ、続けて採卵してもいい。ある意味、採卵は何度でもトライできる。
ただし、凍結した受精卵が残っているうちは、移植し終えるまでは、保険で次の採卵はできないけれど。
川井先生 そこで、どうなんだろう、と思っているのが、受精卵の凍結の基準なんですよ。医療サイドとしては、ちょっとむずかしくなったかな、と。
加藤先生 そうかな。
川井先生 これまでも治療を受けていて、ある程度知識があるかたの中には、「移植に向かない卵は凍結しないでほしい」とリクエストする患者さんがいるんですよ。ぼくは、受精卵の凍結基準はこれまでと変えていないんですが、加藤先生は?
加藤先生 変えてない。一定程度妊娠の可能性があるものを凍結するので、そこに患者さんの希望が入る余地はないというのが私の考えです。
川井先生 妊娠しないかも、と思うような受精卵は最初から凍結しない、ということですね。
妊娠の確率が2倍になるわけではない
川井先生 あと、移植の回数制限があるために、初回から胚を2個移植してしまうクリニックがあるという話を聞きます。
加藤先生 うちは全例単一胚移植なので、それはないですね。
川井先生 多胎妊娠のリスクを避けるために原則1個、というのは、あくまで日本産科婦人科学会のガイドライン、自主規制レベルなので、2個移植が禁止されているわけではないんですよね。
加藤先生 受精卵の状態がよくないから、一度に2個移植しましょう、って、率直に言ってダメだと思う。当然ですが、2個戻して、妊娠の確率が2倍になるわけじゃない。
川井先生 基本的には医師の倫理観というか、価値観の問題ですよね。
40歳未満で原因が明確な場合はどれくらいの移植でうまくいくことが多い?
加藤先生 移植の回数といえば、先日何回目の移植で妊娠に至ったのかの資料を作りました。
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