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2023/05/01 公開
2023/07/02 更新

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加藤先生 39歳以下で、不妊の原因が卵管が通っていない卵管不妊や軽度の男性不妊などで、ほかに問題がなければ、3回でほぼ90%以上、妊娠しています。

川井先生 うちのクリニックでも、うまくいくケースはだいたい3回くらいまでで結果が出る。4回目以降は妊娠しにくくなってきますね。

加藤先生 でも40~42歳のかたは3回移植して妊娠しなければ、自費になってしまう。

川井先生 2回終わって、あと1回です、というところがいちばん問題ですね。

加藤先生 そうなると、先進医療をやってみますか、どうしますか、ということになりますが、そのかたたちは、やはり胚の問題が大きいような気がしています。

先進医療を行ったこととは関係なく、たまたま染色体異常のない受精卵を戻して妊娠できた可能性もある。

川井先生 それぞれの先進医療については、肯定的な論文も、否定的な論文も、たいていどちらもあるんですよね。

早い段階で、医療側からあれもこれも、とすすめるのは違うと思うけれど、ただ、患者さんからすれば、やれることはやっておきたいという気持ちがあるので、ご本人から希望されれば、比較的受け入れています。

保険から自費への切りかえは医師からは、安易にすすめにくい面も

川井先生 治療を続けていったら、多分ゴールがあるだろうというかたは、一定数いらっしゃる。たとえば、化学流産をくり返すけれど、もう少しがんばればうまくいくだろうと予想できるかた。

でも、妊娠できそうだと思っても、保険が切れたら自費でというのを、医師から安易にはすすめられない。

加藤先生 保険と自費の差が大きすぎるから。

川井先生 うちでは、卵子をとるのに刺激をするので、注射代などもかかり、そこが患者さんの負担になります。

保険診療なら高額療養費制度も利用できるので、支払う金額が低いかたがけっこういらっしゃる。保険の3割負担でもなく、高額療養費もきかないという段階になったときに、自費診療には気持ちが向けられない。

加藤先生 保険適用から半年たって、受精卵がなくなって、でも、自費のハードルをどうしようという人がパラパラと出てきていますね。

川井先生 自費では経済的に厳しいという人は、完全に治療をやめてしまうのではなく、人工授精へのステップダウンも、1つの選択肢ではありますね。人工授精なら回数制限もないですから。

加藤先生 今後は回数制限で自費に切りかわる人に向けた診療計画をつくっていく必要があるかもしれないですね。

高額療養費制度
同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が払い戻される制度。負担限度額は年齢や所得で変
わり、世帯でかかった医療費を合算することができる。

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