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【男性不妊とミトコンドリア】そもそもミトコンドリアとは?精子の質とどんな関係があるの?医師監修

不妊治療
2021/12/23 公開
2024/03/20 更新

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かつては不妊=女性が治療というイメージを持っている人が多くいましたが、今は女性だけでなく、男性にも不妊の原因があることが周知されつつあります。男性側の不妊原因はさまざまですが、一部の原因ついてミトコンドリアの力が深く関係していることがわかってきました。そこで、男性不妊についての基礎知識を獨協医科大学特任教授の岡田弘先生(泌尿器科医)に解説していただきました。

男性が不妊の原因にかかわっている割合は約5割。主な原因は3つ

WHO(世界保健機関)が1996年に調べた「不妊症原因調査」※1のデータから算出すると、不妊の原因に男性がかかわっているケースは、男性のみに原因がある場合と、男女ともに原因がある場合をあわせると48%、約5割にのぼります。男性の不妊の原因とされるものは主に3つあります。それぞれを解説しましょう。

※1「不妊の原因について」(1996年不妊症のカップル7273組の原因調査。WHO調べ)

●精子を生み出す「造精機能障害」

なんらかのトラブルによって精子の数が少ない、全くない、動きの悪い精子が作られてしまうトラブルです。また、精子をためておく精巣に炎症が起こったり、抗がん薬や放射線治療を受けると、精子を作る機能が低下することもあります。

●精子が通過する道に不具合がある「精路通過障害」

精子が通る精管が詰まっているなどのトラブルが起こるものです。先天性のもののほか、鼠径ヘルニアなどが原因になることも。

●勃起しないなどの「性機能障害」

性欲の低下、なかなか勃起しない、射精できないなどのトラブルが性機能障害になります。原因はストレスや緊張過多など精神的なものと、身体的なもの、またはその両方がからんでいる場合などがあるといわれています。

性機能障害は、普段のセックス時などで自覚できますが、造精機能障害や精管機能障害については、医療機関で検査をしてわかるケースがほとんどです。

関連記事:男性不妊の原因と治療法は?精液の正常値、精液検査のプロセス写真も公開!

女性側の主な不妊の原因は甲状腺障害や卵巣や卵管、子宮に因るものなど

ちなみに女性側の不妊原因には、ホルモンの分泌が不安定になり、排卵が起こらなくなるトラブルや、そのほか、精子と出会うために卵子が移動する管(卵管)に炎症が起こり詰まってしまう卵管トラブル、女性の体内に入ってきた精子を「体によくないもの」と判断し、抗精子抗体を持ってしまう免疫トラブル、子宮筋腫や生まれつき子宮の形に異常がある子宮のトラブルなどが挙げられます。

精子の量が少ない、運動率が悪い!のには何が関係している!?

造精機能障害では精子の量が少ないだけでなく、精子の運動率が悪い、精子の受精能力が低いなど、精子の量と質(クオリティ)に問題がみられます。

なぜそういったことが起こるかは、細胞内にあるミトコンドリアでうみ出されるエネルギーが減少していることがかかわっています。このようにミトコンドリアが影響したことで引き起こされる不妊症は「ミトコンドリア男性不妊症」と呼ばれています。

ミトコンドリアが人間の体の中でどんな役割を担っているのか、わからない人も多いのではないでしょうか。そこで、ミトコンドリアについて解説します。

体の細胞を動かすエネルギーの源「ミトコンドリア」とは?

人間の体は細胞が集まってできています。その細胞1つ1つにミトコンドリアがあり、ミトコンドリアがうみ出すエネルギーで体内の細胞や臓器は動いています。

たとえば、心臓や肝臓などの細胞もミトコンドリアのエネルギーによって動かされているのですが、こういった臓器の細胞はたくさんのエネルギーが必要となるので、ミトコンドリアも数も多量になっています。

一方で精子は、女性の体内を泳いで卵子と出会い、受精して着床するのに多くのエネルギーを消費するにもかかわらず、ミトコンドリアの数が少ないという特徴があります。
人間が元気に生きていくうえで大切となるミトコンドリアですが、加齢とともに量が減少していきます。

また、夜更かしや運動不足、過労、偏った食事など、現代人の生活習慣は、ミトコンドリアの量や質を低下させる原因の1つとも言われています。

ミトコンドリアの質と量が低下すると、作られる精子の質にも悪影響が!

ミトコンドリアの質と量が低下することで、精子に悪影響が出ます。ミトコンドリアによってエネルギーをうみ出す量が減ることで、精子になる細胞の成熟が途中でストップ。未熟なまま死んでしまうものが増えるため、精子の「量」が減ってしまうのです。

また、精子には、卵子と出会って受精するために長い距離を泳ぐ力が必要となります。成熟して正常な形の質のいい精子であれば、その力を充分に持っていますが、ミトコンドリアからうみ出されるエネルギーが少ないと、精子が充分に成熟できず、卵子のいるところまで泳ぐ力を備えていない「質」のよくない精子が作られてしまいます。

男性不妊の原因となる精子の「量」と「質」をよくするためには、ミトコンドリアの量と質を上げることが必要といえます。

ミトコンドリアの質と量を上げる可能性が高いといわれている栄養素

男性不妊の原因である低下した精子の質と量をよくするためには、精子を成熟させるエネルギーをうみ出すミトコンドリアの量と質を改善することが重要です。そこで、改善効果が期待できる栄養素の1つとして、体内で直接働く還元型コエンザイムQ10に注目が集まっています。

ミトコンドリアの働きをサポートし、良質な精子を多く産出

還元型コエンザイムQ10には細胞を動かすエネルギーを作るミトコンドリアの働きを促す役割があります。ミトコンドリアの働きを活性化することで、良質な精子をたくさん作ることができる可能性が高くなります。

さらに、細胞にダメージを与える、老化や病気のもととなるといわれている活性酸素を消去する抗酸化作用が高いといわれているのも還元型コエンザイムQ10の特徴の1つです。精子においても、卵子のところまで泳ぐ運動能の低下や、遺伝情報を含むDNAに損傷を起こす可能性が低くなるので、質の高い精子を作りだすことが期待できます。

日常生活の中でできる精子の力を高める方法

ミトコンドリアの量と質を上げること以外にも、精子の質をあげる方法はあるといわれています。日常生活でできることをいくつかご紹介します。

栄養バランスを考え、規則正しい食生活を心がける

質のよい精子を作るには、どんな食べ物を食べるかも大切です。ミトコンドリアの動きを助けつつ、抗酸化作用も発揮してくれる還元型コエンザイムQ10のほか、成熟した精子を作る力を担う亜鉛、ビタミンE、ビタミンCなども毎日の食事から積極的にとるようにしましょう。

なかなか食事から栄養がとりづらい場合はサプリメントを活用するのも方法の1つです。ただし1日の摂取目安などを確認し、過剰に摂取しないように注意をしてください。

下着はブリーフよりもトランクスを

睾丸(精巣)は熱に弱く、温度があがると精子を作る機能が低くなります。ピッタリとしたブリーフよりも、風通しのいいトランクスを履くほうがいいでしょう。また、ジーンズやスキニーパンツのような体にピタッとした細身のボトムスよりも余裕のあるズボンを選ぶようにしてください。

サウナや長風呂も控えて

睾丸が厚くなると造精機能は低下するので、サウナや長風呂はできるだけ控えるのが大切です。

膝上ではなくパソコン作業は机の上で

電車に乗っている間などパソコンを開いて作業をする場合、パソコンをじかに膝上に置いて作業をすると、パソコンの熱が睾丸にダイレクトに伝わり、精子を作る機能にダメージを与えかねません。
できるだけ机のあるところでパソコン作業を。どうしてもやらないといけない場合は短時間で済ませるようにしましょう。

自転車に乗る際は姿勢に気を付けて

健康を意識して、自転車によく乗っている人もいるかもしれませんね。長時間、前傾姿勢で乗っているとサドルによって男性器周辺の血の巡りが悪くなり、勃起障害や精子の数が減るなどの悪い影響が出る可能性があります。自転車に乗る場合は、男性器に圧迫のかかりやすい前傾姿勢ではなく、背筋を伸ばして乗るようにしてください。

育毛剤は成分を確認して

育毛剤の治療薬のなかでフィナステリドやデュタステリドを主成分とした治療薬は、精子を成熟させるのに必要な男性ホルモンを抑えてしまい、性欲減退や精子の減少などの副作用が起こる可能性があります。育毛剤を使う場合は成分の確認を。わからない場合は、不妊治療に通っている医療機関に確認してみてください。

禁欲はしない

精子は毎日作られ続けますか、禁欲して射精しないと古い精子がたまってしまい、精液のクオリティを下げてしまうことがあります。また、長く禁欲することで精子のDNAの損傷率も高くなる傾向に。禁欲は1~2日に。

今のうちに禁煙を

ペニスは血管の塊といわれています。喫煙をすることで体全体の血管が収縮して血の巡りが悪くなるため、ペニスも血流が悪化し、勃起できないなどのトラブルが生じる可能性が高くなります。また、タバコによって精子の数や運動率を悪化させたり、酸化ストレスが加わることで精子のDNAが壊れ、正常な機能を持つ精子が少なくなるリスクもあるといえます。

関連記事:日本人男性が医師に聞かない3つのこと。セックスレス、ED、更年期障害…【男性不妊専門医監修】

【出典/参考】
コロナ禍のテレワークによる自由が利きやすいライフスタイルで男性の不妊症受診率が増加 今こそ知りたい夫婦で気を付けたい妊活のポイント/還元型コエンザイムQ10 PR 事務局


不妊の原因で男性がかかわっている割合は、全体の48%。不妊治療を始めるならご夫婦一緒に受診することが、妊娠への近道といえるでしょう。
また、男性不妊の原因の1つである精子の量と質は、ミトコンドリアの量と質と密接な関係にあるので、食生活などを見直すことでミトコンドリアの状態をよくすることで、改善させる可能性があります。

妊活を機に日常生活を見直すことで、精子にとってもいい状態をもたらすことができる可能性が高くなります。ご自身でできることから始めてみてください。

<注目記事>
不妊治療を描く注目マンガ『不妊男子』第1話をフルサイズで特別公開

獨協医科大学埼玉医療センター病院長
リプロダクションセンターGM
泌尿器科主任教授
男性不妊を専門とする泌尿器科医の第一人者。無精子症に対する最先端治療MD-TESE(銀鏡下精巣内精子採取術)においては、日本で最も症例数が多い。 
岡田先生のオフィシャルサイト「男性不妊バイブル」http://maleinfertility.jp

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