3ページ目(3ページ中) | 人には言いづらいけど、2人目が欲しい!子どもがいながらの妊活って正直どんな感じ?「わたしが意外と楽しみなのは…」【妊活・不妊治療おしゃべり会レポート】
でも、これは誰が「かわいそう」と思っているかで対応が異なります。まずは他人が言っているなら、気にすることはなく、無視してOKです。
よく「一人っ子神話」、いわゆる「一人っ子はわがまま」など世間が一人っ子によく抱くイメージがありますが、発達心理学の知見からは、根拠がないものがほとんど。「ひとりっ子だから〇〇」というフレーズは疑ってかかって大丈夫です。なので、気にすることはないんです。
また逆に二人目を望んでいるときに、「ひとりいるからいいじゃない」と言ってくる人もいますよね。もちろん患者さんご自身がそう思っているなら全く問題ないのですが、他の人がそれを言うのは筋違いです。
勝手に「1人いるから2人目はあきらめられる」と他人から決められる必要はありません。ご自身が2人目がほしいと思うなら、その気持ちに従うのがいいと思います。あわせて、ご自身の中で「どうして2人目が欲しいと思っているんだっけ」と自問自答することはとても大切だと思います。
上の子にきょうだいが欲しいって言われたら?
子どもから「きょうだいがほしい」といわれたとき、どうしたらいいのか悩みますよね。
まず子どもを膝に抱いて「〇〇ちゃん(名前)はさみしいの?」と聞いてみてあげてください。子どもの寂しさやきょうだいがほしいと思う気持ちをそのまま受け止めてあげることが、何よりも大事です。
ただ、注意したいのが子どもの気持ちを受け止めることと、きょうだいをつくることは別問題です。「だからつくらなきゃ」と思う必要はありません。
ポイントなのは、子どもの寂しい気持ちを受け止めて、なおかつ「あなたが私の子どもとして生まれてきてくれて本当にうれしい。大好きだからママ(パパ)はあなたひとりで大満足だよ」と伝えることです。
子どもが親に「さみしい」と素直に気持ちを表現できるのはよいことだし、そのさみしさをうけとめてもらえて、なおかつ大好きと伝えられたことは、子どもにとって「温かいママ(パパ)との思い出」として刻まれると思います。
ご自身にきょうだいのいる方は、どうしても「きょうだいがいないとかわいそう」と考えてしまいがちですが、ひとりっ子自身は、その状態しか知らないわけですから、かわいそうでも何でもないのです。
大人になったひとりっ子の人からは、「かわいそうと言われるのがとても嫌だった」という意見もよく聞きます。自分の思いだけで勝手にかわいそうと決めつけるのは、子どもの思いを尊重しないことになってしまうことにも気をつけましょう。
2人目不妊を乗り越えて妊娠、出産した後にも生じる問題も?
2人目不妊を乗り越え、めでたく妊娠、出産された方でも、その後に苦しむことがあります。
たとえば「不妊治療をしたこと」をご自身の経験として受け入れることができず、「なかったこと」にしようと無理に思い、苦しんでいる方がいます。不妊治療していたことをご自身の失敗体験のように感じられてしまう方ですね。
でも「なかったこと」に無理やりするほうがご自身も大変で苦しい気持ちに。「大変だったけれど、自分の人生の大切な一部」と肯定できるようにいつかなるのだと信じていただきたいと思います。そうすると、少し気持ちがラクになるはずです。
それと日本では不妊治療で授かったお子さんにどうやって生まれたのか、誕生の経緯を話す家庭はまだ少ないと思います。必ず伝えないといけないわけでもないですしね。
そのような場合には、子どもに出生のことを尋ねられたらどうしようと不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
そういうときは、たとえば、子どもに「あなたに会いたくってママとパパはがんばったんだけど、なかなか会えなかったので、〇〇先生というお医者さんに手伝ってもらったの。そうやってママとパパはあなたに出会うことができたの。あなたが生まれてきたときは本当にうれしかったし、あなたと一緒に暮らせていてママもパパもとても幸せだよ」と、「誕生のストーリー」として伝えてあげることで、ご両親も気持ちが楽になるし、その子どもも温かい気持ちになれると思います。
お茶会を終えて…
Yさん:先生のお話を聞いて「なるほど」と思うことが多かったです。
私は子どものエコーの写真とかに、体外受精のことなども記載してダイアリーを作っています。ただ、世間的には「知らないほうがいい」と思う人が多いのかなと思ったりしていたんですけれど、今日先生のお話を聞いて安心しました。
平山先生:自分の姿が受精卵のときから見られることってないじゃないですか。そこだけ考えてもとっても貴重ですよね。
Yさん:そうですね!今日はありがとうございました。2人目の不妊の苦しさやつらさというのを改めて知ってもらうことができ、子どもに体外受精でうまれたことを伝えていいと思えました。とても有意義な時間になりました。
「あかほしお茶会」開催時はみなさんも、気軽に参加してみてくださいね。
(まとめ:高橋 知寿)
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生殖心理カウンセラー(公認心理師・臨床心理士)。
東京リプロダクティブカウンセリングセンター代表。
広島市出身。広島大学教育学部心理学科卒業後、1997年より広島HARTクリニックで心理専門職による不妊カウンセリングを開始。98年米国にて生殖心理学の研修を修了。2002年より東京HARTクリニック生殖心理カウンセラー。21年生殖と不妊の心理支援に特化した心理相談室を開設。日本生殖心理学会副理事長。
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