2ページ目(2ページ中) | 流産、バセドウ病を乗り越えて、42歳で妊娠。社内の不妊治療支援制度の立ち上げも!【100人の妊活・不妊治療記#012】
この転院先で判明したのは、私が着床に至らない理由が「キラー細胞が受精卵を異物とみなして拒絶しているのではないか」ということでした。そのため、「タクロリムス投与療法」という先進医療をすすめられました。私も試してみたかったのですが、戻った先の病院で相談してみたら、この療法はあまり効果がないという意見だったので、あきらめることに…。
自分でも、着床のための情報収集をして、いろいろ試してみました。体を温めるしょうがを食べたり、ルイボスティーを飲んだり。とにかく体に悪いものは控えようと、それまで愛飲していたエナジードリンクもやめました。
妊活女性の間で「移植後にマックのポテトと渡り蟹のパスタを食べたら妊娠する」という妊娠ジンクスがあると聞き、私も信じて移植の際は毎回食べたりも。
4回目の移植で妊娠した胚盤胞。グレードはいつも5AAでした
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4回目の移植で妊娠。バセドウ病によるさまざまな困難も…
3回目の移植で初めて着床し、陽性判定が出ました。hCGの数値も高めで、「80%くらいは妊娠継続するだろう」と言われていました。
ですが、残念ながら心拍が確認できず。稽留流産となり、手術を受けました。もちろん悲しかったけれど、ネットに流産手術後は授かりやすくなるという情報もあったので、プラスに考えるようにしました。
2カ月後に5AAの卵を移植し、再び着床しました。陽性と聞いたときはうれしかった反面、またダメになるのではないかと不安もありました。実際、ここから出産に至るまでの道のりがかなり大変でした。
移植後7日目。早く結果が知りたくて、自宅でフライング検査してみたら、くっきり二本線が!
私は不妊治療中にバセドウ病が判明し、専門の病院にかかっていました。バセドウ病だと、排卵障害を起こすこともあるようですが、私の場合は薬物療法までは必要ないという診断。毎月、採血で経過を観察していました。妊娠後は流産や早産になりやすいので、その際には服薬が必要になるとのことでした。
妊娠20週のとき、バセドウ病の影響で甲状腺ホルモンの濃度が上がり、甲状腺機能亢進症と診断されました。妊娠したらこんなにしんどいものなのかと思っていましたが、病院に行ったら「今すぐ仕事を休んでください!」と言われ、1カ月休職することに。
それから、妊娠29週には切迫早産になり、24時間点滴の入院生活が2カ月も続きました。最後は、妊娠41週に緊急帝王切開で何とか出産することができました。
妊娠期間中は、多岐にわたる義両親や実母のサポートがあって、とても助けられたし、心強かったし、感謝でしかないです。今後はしっかりと恩返しをしていきたいと思っています。
出産前日。予定日を超過したので、バルーンを入れて経腟分娩のはずが、緊急帝王切開に
授かった決め手は移植当日の着床鍼とミトコアサプリ
今回、授かった決め手の一つは、週1で鍼灸院に通ったことかもしれません。採卵周期と移植周期には回数を増やしました。なかでも着床しやすくなるという移植当日と翌日の着床鍼には必ず通い、移植3回目も4回目も着床したので、効果があったのではないかと思っています。
また、同い年で妊娠・出産した友人が飲んでいた「ミトコアmore」というサプリをすすめられて、夫婦で飲んでいました。細胞を活性化するということで、1箱約2万円と、値が張るのですが…友人の言葉も信じて。当時はサプリ代だけで月4~5万は使っていたんじゃないかな。
不妊治療の費用は、総額で350万円くらい。鍼灸やサプリも入れたら、400万円は超えていると思います。かなり投資しました。妊活がいつ終わるかわからないのに、大金を払い続けるというのは、大きなストレスでした。もし治療がなければ、そのお金は子ども費に回せたわけで。その前に使ってしまうというのが、なんか悔しい気もしました。
わたしが不妊治療を始めたころは、保険適用ではなく、助成金がもらえた時期でした。体外受精3回の申請できて、総額100万円ほど、助成金で戻ってきました。
保険適用になってからは、治療費も安くなりました。今まで1回の移植に30~40万かかっていたのが、10万もかからないくらいになった気がします。おまけに医療保険でも体外受精は手術扱いになり、給付金ももらえました。本当にありがたいことです。
妊娠22週の超音波検査で初めて顔を見せてくれました
社内の不妊治療支援制度を自ら立ち上げました!
仕事はIT関係ですが、深夜1時、2時まで残業することもあり、激務とストレスのせいで着床まで進めないのでは?と、常に不安をかかえていました。小さなベンチャー企業なので、不妊治療のための制度も整っていなくて、両立はしんどかった。体外受精にステップアップしてからは、通院が連日になるので、ますます大変になりました。
そこで、不妊治療と仕事を両立するための支援制度を立ち上げようと、資料を作って会社に提出。社員が勤務時間内に通院で仕事を抜けた場合、申請すれば国から助成金をもらえたりするので、その制度を取り入れてほしいと思って。
その結果、時間休を使わなくても、中抜けで通院が認められるようになりました。時間休や有給休暇だけを使っていたら、不妊治療なんてできない。当時、その新制度を使っていたのは社内で私だけでしたが、相談窓口を私にしてもらい、不妊治療したい人は私に相談してもらうことにしました。
また、部署の仲間にも理解してもらうために、治療回数に関するスライドを作って共有しました。不妊治療は通院回数が多いことなんて、みんな知らない。なので、治療ではこういうスケジュールで、こんなことをしているというのを全部書き出してプレゼンしました。
不妊治療中であることを隠す人もいますが、別にはずかしいことじゃないし、私はむしろ誇らしいと思っています。社会全体でも不妊治療がもっとオープンになればいいなと思います。
※あくまで個人の体験です。治療や薬の処方などに関しては必ず医師に相談してください。
取材・文/岩村優子
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