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【医師監修】めざせ「ベスト排卵」! 妊娠に欠かせないホルモンの働きをよくする方法とは?

2023/05/17 公開
2023/06/22 更新

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卵子がうまく育って排卵することが妊娠への第一関門。脳から分泌されるホルモンや、卵巣から分泌される卵胞ホルモン、黄体ホルモンなどなど。排卵と深いかかわりがあるホルモンの働きについて、不妊治療専門医の田口早桐医師に解説していただきました。

そもそも排卵って何?

妊娠の成立に欠かせない女性の生殖現象

複数の卵子の中から1つが最も大きくなります。これを主席卵胞と言い、この主席卵胞が十分に成熟すると、ホルモンの働きによって卵巣の皮を破って外へと飛び出します。これが排卵です。

ちょっぴり複雑…?排卵のメカニズム

【図解】排卵のメカニズム

体内のホルモン分泌を指示する脳の視床下部から出た性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が脳下垂体を刺激。

ホルモンの中枢である脳下垂体が卵胞刺激ホルモン(FSH)を出して、卵巣を刺激する。

卵巣の中にある原始卵胞(未成熟の卵子が入った卵胞)の1つが成熟を始めると同時に、卵巣から卵胞ホルモン(エストロゲン)が出て、子宮内膜を厚くする。

その情報が脳下垂体に伝えられる

下垂体から黄体化ホルモン(LH)が急激に分泌される(LHサージ)。

LHサージから24~36時間で排卵。約20mmほどに成長した卵胞を破り、卵子が卵巣から飛び出す。

卵子は卵管采にキャッチされ、卵管の中に。

卵子が飛び出した卵胞からは黄体ホルモンが出て、受精卵を着床しやすくするために子宮内膜をやわらかくする。

そもそもホルモンって何?

体の働きを調節する化学物質「ホルモン」

体内の内分泌腺(視床下部、脳下垂体、甲状腺、副腎、生殖腺など)でつくられ、血液によって全身に送られるホルモン。ホルモンによって体のバランスが保たれていますが、分泌が過剰に多い・少ないとさまざまなトラブルの原因になります。

脳の視床下部から分泌されるホルモン

【性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)】
視床下部で作られ、脳下垂体を刺激してゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)と呼ばれるFSHとLHを分泌させるホルモン。生殖機能に関わる重要なホルモンです。

脳下垂体から分泌されるホルモン

【卵胞刺激ホルモン(FSH)】
下垂体性ゴナドトロピンと呼ばれ、卵巣内の原始卵胞(卵子を入れた袋)を成熟させながらエストロゲンの分泌を促進。成長した原始卵胞から大きく成熟した1つが「主席卵胞」。

【黄体化ホルモン(LH)】
成熟した卵胞を刺激して、排卵準備OKの指示を出すホルモン。排卵後は卵子が飛び出たあとの卵胞を黄体化させ、妊娠継続に欠かせないプロゲステロンを分泌させます。

卵巣から分泌されるホルモン

【卵胞ホルモン(エストロゲン)】
FSHの刺激によって卵胞の発育を促すホルモン。受精卵が着床しやすいよう子宮内膜を厚くする働きのほか、頸管粘液の分泌をふやして精子が子宮に入りやすくする働きもあります。

【黄体ホルモン(プロゲステロン)】
高温期に入る直前に卵巣内で作られます。排卵後の卵胞から分泌され、子宮内膜を厚くして受精卵を着床しやすくさせる働きがあり、妊娠の成立や継続に欠かせないホルモンです。

着床したら…hCGが分泌されます

卵管の中の卵管膨大部で卵子と精子が出会い、受精卵になり、受精後約5日で胚盤胞に孵化。その後、子宮内膜に根を張れば着床=妊娠成立!

着床すると絨毛からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)がつくられ、このホルモンが子宮静脈に流れ込みます。これが、尿検査で妊娠がわかるメカニズムです。

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ホルモンに何かトラブルがあれば、それが妊娠しづらい原因に!

妊娠・出産にかかわりの深いホルモンのなかで、直接的に妊娠に関係があるのは、エストロゲンとプロゲステロン。卵胞を育てるエストロゲンは「女性ホルモン」、子宮内膜を厚くして妊娠継続をキープするプロゲステロンは「妊娠ホルモン」と言われています。

これらホルモンの働きは、視床下部からFSHを刺激、FSHが卵巣に働きかけてエストロゲンが出て、そのエストロゲンが子宮に働くというように、上から下へ伝達する相互関係で成り立っています。ホルモンの働きはつながっているので、トラブルがあるひとつを単独で取り出して「これがおかしいからここを治そう」というものではありません。

例えば、血液検査で高温期にプロゲステロンが10ng/ml以下だと黄体機能不全が疑われますが、血液中と子宮のプロゲステロンの働きは違うので、黄体機能不全の原因が単にプロゲステロンが少ないからとはいえません。ホルモン値を参考に、総合的に判断して治療を進めることがたいせつです。

ホルモンの働きをよくするにはどうすればいい?

生理周期や生理の状態を把握する

早い人は小学生で初潮を迎え、50歳ごろで閉経を迎えるまで、女性はほぼ毎月「生理」とつきあわなければいけません。生理は、妊娠と深いかかわりがあるのは周知の事実。生理に何らかのトラブルを抱えている=卵巣や子宮などの妊娠にかかわる臓器に問題があることが多く、妊娠を遠ざける要因に。

生理痛や経血量が多いと子宮筋腫、月経周期が乱れていたらホルモンの異常などが考えられます。順調に見えている生理でも、排卵が起こっていない「無排卵月経」、黄体ホルモンの異常で子宮内膜が十分に厚くならないなどは、自己判断が難しいもの。

生理前の高温期に起こるPMS(月経前症候群)は、イライラ、情緒不安定、憂うつな気分になるなどの精神的症状と、肌荒れ、にきび、疲れなどの心身的症状の2パターンがあります。原因は黄体ホルモンの活性化や分泌量が多いことが考えられます。

このように、生理で何か不安や悩みがあればホルモンの働きがうまくいっていない可能性か考えられます。「トラブルがあってもガマンできるから」と放置するのはNG妊活!少しでも気になることがあれば婦人科や不妊治療専門クリニックを受診しましょう。

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川崎医科大学、兵庫医科大学大学院卒。日本生殖医学会生殖医療専門医、日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、臨床遺伝専門医。2016年8月に、妊活をポジティブに乗りきるために知っておきたいポイントと、自らの顕微授精体験をつづった『ポジティブ妊活7つのルール』(主婦の友社)を出版。国内外での学会発表も精力的に行っている。

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