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「赤ちゃんが欲しかったのはオレ。でも、苦労したのはヨメ」【品川祐さんインタビュー】

2020/11/14 公開
2023/05/19 更新

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「なんとですね、嫁が妊娠しました。つきあい始めて15年。同棲して14年。結婚して6年。待ちに待った赤ちゃんです」
お笑い芸人 品川庄司・品川 祐さんのブログにこんなうれしい言葉が躍ったのは、2009年11月のこと。ずっと赤ちゃんが欲しかったこと、不妊治療をしていたこと、生まれる子を「愛して愛して愛しまくろう」と思っていることが、率直な言葉でつづられていました。

待って待って6年間。やっとパパになった気持ちと、パパにしてくれた奥さまへの思いを伺いました。

品川 祐さんのパパになるまでヒストリー

●1994年 奥さまと出会う
奥さまは「友だちの彼女の友だち」。偶然の出会いで意気投合してつきあい始める。

●1995年 同棲スタート
養成所に入ったあと、何かと心配する奥さまに「だったらいっしょに住もうよ」とアプローチ。

●2003年 結婚(赤ちゃん待ちスタート)
結婚してすぐに「子どもを持とう」と思うが、なかなか授からない。4年間はそのまま。

・自己流タイミング法
基礎体温をつけながら、排卵日を確認するタイミング法。

・病院タイミング法
病院でタイミング指導。排卵誘発剤も打ち始める。

・人工授精2回
2回目で無事妊娠!

●2009年8月 妊娠
待ちに待った赤ちゃん。妊娠を報告する場面を、奥さんはビデオカメラで隠し撮り!
のちにテレビ放映されてしまいました。

●2010年4月 長女・琥珀ちゃん誕生
予定日より7日遅れて、2950gの赤ちゃんが誕生。立ち会い出産でした。

【品川 祐さん】出会って15年。赤ちゃんが授かった!

ブログでの、妊娠&不妊治療の報告直後から、品川さんのもとには「おめでとう」メッセージの嵐、嵐、嵐。

「なかには泣いて喜んでくれる人までいて。最初は、なんでかなーと思ってたんですけど、不妊治療の話を書いたからだったんですね」
と、笑う品川さん。「不妊治療していたことをカミングアウトする」という気負いなど何もなく、「事実をそのまま書いただけ」だったとか。
そんな品川さんの6年間の赤ちゃん待ちの日々、いったいどんな感じだったのでしょうか。

「最初の4年くらいは『できんなぁ』くらいで、せっぱ詰まってはいなかったんです。でも、ヨメが34歳になったころから基礎体温をつけて、排卵日をチェックし始めました。
赤ちゃんはすごく欲しかったんだけど、『何かしなきゃ』みたいに言うと、ヨメのプレッシャーになると思って。でも、35歳になったら高齢出産では?ヨメの体の負担を考えて、そろそろかな、と」

自己流でタイミング法を試したものの赤ちゃんは授からず、病院で検査した結果は、夫婦ともに異常なし。その後もタイミング法を1年、それから人工授精にステップアップしました。

「ぼくはすぐに体外受精でもいいかと思っていたんですけど、ヨメは多胎妊娠の可能性も考えて、『体外受精は最後の手段にしたい』って言うんで、なるべく自然な形にしました」

そして2度目の人工授精で、琥珀ちゃんが授かったのです。

6年前のオレにはきっと子育てはムリ

子どもが欲しい気持ちが、とても強かったという品川さん。もっと早く病院へ行ったり、人工授精をすればよかったとは思わなかったのでしょうか。

「赤ちゃんが欲しいと言いだしたのはオレですけど、痛い注射したり、病院へ通ったり、苦労するのはヨメですから。『もっと早くしよう』『なんでできないんだ』みたいな、プレッシャーになることはしたくなかったんです。

それに…結婚したばかりのオレは31歳で、まだすげぇお子さまで、子どもが欲しいと言いながら、育てられるような余裕は全然なかったですね。自分のことだけで手いっぱいだったから、すぐイライラしてたと思う。

琥珀はそんなオレをどっかで見てて、『まだ早いな』って思ったんじゃないかな。空気を読んだんだと思いますよ。ホント、ちょうどいいタイミングでやってきてくれたと思ってます」

妊娠を知った品川さん。さぞかし喜んだことだろうと思っていたら、

「うーん、びっくりしましたね。酔っぱらって帰ってきて、朝起きたら妊娠検査薬を見せられたんで」との答え。

意外にテンション低めですね、と言うと、「だって安定期になるまでは流産する可能性があるじゃないですか。あまり喜んで何かあると、ヨメはすごくツライだろうしね」とポツリ。

大きな期待は、大きな「がっかり」になる。
ほんわか期待して、ダメなら「まぁしょうがない」。そんなペースでいけたのがよかったかな。

ヨメのすすめでお笑い芸人になった

ここまで読んでお気づきのように、6年間の日々を語る品川さんの言葉の中で、「ヨメ」という言葉の登場回数は群を抜きます。「ヨメが大変だから」「ヨメがつらいかと思って」「ヨメが負担に思わないように」…。品川さんの奥さまへの思いやりの言葉は、インタビュー中途切れることがありませんでした。

奥さまとの出会いは17年前。友人の友人という関係で偶然知り合い、意気投合。まだ何者でもなかった品川さんに、雑誌の吉本芸人募集記事を見つけて「受けてみれば?」とすすめてくれたのも奥さまでした。

長い信頼関係があるから、夫婦二人三脚の不妊治療ができたんですね、と言うと、「どうなんでしょう」とてれ笑いしつつ、

「お互いに、あまりせっぱ詰まらない性格なのがよかったんだと思います。大きく期待すると、大きくがっかりするでしょ? ほんわか期待して、ダメなら『まぁしょうがないよ』って。そんな感じでいけたのがよかったかなと思ってます」

今は毎日がうれしい。利子がつくみたいに

とはいえ、原因不明の不妊の日々。品川さん自身、悩むことはなかったのでしょうか。

「うーん、相談はしないけど、『子ども欲しいんだけど、なかなかできない』と、話の流れで言うことはあったかな。つるの剛士にも言いました」

子だくさんで知られるつるのさんに?そのリアクションは?
「『ぼくの精子、あげたいです』って言われて、『いやいや、それはオレの子じゃないし』って(笑)。
でも、正直、血のつながった子でなくてもいいかなぁとは思ってました。 育てていけば、血のつながりなんて関係なくかわいいと思うから」

自然に、ゆっくりと、子どもを育てる心の準備をととのえてきた品川さん。琥珀ちゃんが生まれたことの喜びを、こんなふうに語ってくれました。

「すごくうれしかったし、日々うれしいです。でも、爆発的な喜びじゃなくて、毎日じわじわ “うれしい” が積み重なっていく感じ。定期預金の利子みたいなものかな。これは、死ぬまでもらえる利子ですね」

奥さまと出会って17年。ずっとふたりであたためてきた「元本」があるからこその「利子」なのだと、品川さんの言葉から感じとれました。

品川 祐さんの奥さまに裏取りミニインタビュー

夫からのプレッシャーはたったひとつだけありました。それは…精子の運動量!?

ーー赤ちゃんがなかなか授からなかったときのお気持ちは?
私の血液型がRHマイナスなので、産んでも無事に育てられるか心配でした。だから「できなくてもしかたない」という気持ちがあったんですが、「今の医学ならだいじょうぶ。子どもがいなければいないで楽しく暮らそう」と彼が言ってくれました。

ーー苦しかったことは?
タイミング法をしていた1年間はつらかったですね。生理がくるたびに落ち込みました。でも、彼が「だいじょうぶ」と励ましてくれたのがうれかった。

ーー理想的なご主人ですが、プレッシャーはなかったですか?
あ、ひとつありました! 検査の結果、彼の精子の運動量がふつうの男性よりすごくよかったんです。これは私にとってプレッシャーでしたね(笑)。

教えて品川さん!こんなときどうする? 妊活読者から質問

不妊治療にあまり乗り気じゃない夫。どうすれば協力的になってくれる?

むずかしいなぁ。子ども好きもいれば、そうじゃない人もいるからね。うーん、どうしよう…あ、ひらめいた。『はじめてのおつかい」を見せるのがいいと思います。オレも『はじめてのおつかい』を見るまで、「子どもなんて別に?」と思っていましたから。見るだけで協力的になる…はず(笑)。

赤ちゃんができない原因は私。なんだか生き物として否定されてるみたい。

そんなことないよ。それでいったら、男なんて生きる価値ない!もう少しがんばってみて、ダメなら養子縁組とか、里子を育てるとか、いろんな方法を考えてみて、最終的に子どものいない人生を選んだっていい。浮いた時間やお金で、趣味や仕事の幅を広げることもできるよ。自分の人生だもん、たいせつに。

年賀状の赤ちゃん写真を見ると心がズキンとします。心が狭い自分がイヤ

心のズキンは、だれにでもあるよ。独身だったら「結婚しました」ハガキでズキンだし、子どもが生まれたって、ほかの子の成績表を見てズキン、運動会でビリだったらズキン。一生、どんなときもズキンはあって、それは心が狭いからじゃない。そんなに自分を責めないことだよ。

「赤ちゃんはまだ?」と聞かれるのがイヤ。どう答えたらいいの?

気持ちわかるけど、つい聞いちゃう人の気持ちもわかる。自分も昔は聞いたし。「相手もいろんな経験を積んで聞いちゃいけなかった」っていつかわかるんだから、許してやってください。
もし言われたら、正直に「欲しいんだけど、なかなかね」って言えばいい。ふつう、それ以上突っ込まないから。

タイミング法を実施中。でも、「いきなりはムリ」と夫がイヤがります。

最初のうちはがんばれても、1年とか続くと男はしんどくなるんだよね。

でも、ヨメさんはそれを感じつつ、「きょうだよ」って言わなくちゃいけないわけでしょ?病院行って、痛い注射して、「きょうしよう」って言うヨメさんのこと考えると、男がアレコレ言える立場じゃない。AVでも見て、無理やりその気になりなさい。

夫に「オレはずっとふたりでもいい」と言われるとつらくなります。

オレも言いました。「そのうちできるよ」も、「子どもいなくたっていいじゃないか」も、全部思いやりから出ているつもりなんだけど、傷ついている女性にしてみれば、よけいな言葉なのかもしれない。

でもダンナは一生懸命励ましていると思うんだ。自分の気持ちを伝えて、ちゃんと話し合うことが大事じゃないかな。

やたらと体外受精をすすめる病院がちょっとイヤなんです。

うちもそうだった。ネットで調べて行った大きな病院で、「すぐ体外受精しよう」と言われました。でも、ヨメは体外受精に抵抗があったようなので、すぐ病院をかえました。

自分たちなりの治療のペースがあると思うので、医師に伝えて、うまく伝わらないようなら病院をかえる。ただでさえ大変な不妊治療、無理する必要はないよ。

神頼みって効果があると思いますか?

子宝の湯とかには興味なかったけど、神社めぐりはしましたよ。もともと好きなんで、散歩みたいなもんだけど。

あ、でもヨメが妊娠してから伊勢神宮の子安神社に行って小さな鳥居を奉納しました。安産祈願のご利益はあったかな。ここは、子どもを授けることでも有名らしいよ。

品川 祐さんプロフィール

1972年、東京都生まれ。23才のとき、吉本総合芸能学院の第一期生に。
1995年、お笑いコンビ「品川庄司」を庄司智春さんと結成。
2006年、自身の体験をモチーフにした小説『ドロップ』で作家デビュー。映画化にはみずからが監督・脚本を務めるなど、多彩な才能を発揮している。
公式Twitter @shinahiro426

※インタビューは『赤ちゃんが欲しい2011秋』掲載当時の内容です。

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