5ページ目(7ページ中) | 第2子妊娠の横澤夏子さんも悩んだ「不妊脳」。人気妊活マンガ『妊活夫婦』作者とホンネで不妊治療を語りあう!
駒井 男の人を悪者に描くことはすごくたやすいですし、支持も得られがちですけど、それだと読者の精神衛生上、あんまりよくないのかなと思って。
横澤 確かに!
駒井 『妊活夫婦』はキャラクターを性善説で考えるようにしています。
一見、悪そうに見せているキャラクターも、やっぱりそうなるには背後にいろいろな事情があるんだよね、とか。
横澤 ちゃんと理解できますもんね、事情がわかると。
駒井 日常生活だとその裏の部分が見えないから、ただ単に攻撃してくる人が悪い人になっちゃう。
でも、背景にあるものを描くことによって、この人にもやっぱり事情があるんだな、と考えるきっかけになるというのかな。そういうくせをつくるだけでも違うと思うんですよ。
横澤 そうですね。
駒井 悪い人に理不尽に攻撃されていると思うより、想像力を働かせて、この人にも事情があるんだろうなって思うほうが、自分自身の心の衛生にもつながってくる。
なので、そういう見方をしたほうがいいのかなって、ちょっといい子ぶって描いています(笑)。
横澤 いやいや、本当に勉強になります! 確かに一郎に対して「なんでこんなこと言うんだよ!」という感情にもなりましたけど、こういう背景があったんだとわかるだけで、またひとつの勉強になりますし。
「子どもはまだ?」「2人目はまだ?」という言葉も、悪気があって言っているわけじゃないから、想像力さえあれば、その人自身を変えられることも可能なんだなって、すごい思います。
駒井 ただ、本当に視野が狭くなっちゃってるときって、想像力を補う余裕がなくなっていると思うんですよ。
なので、長い目で見たらお互いさま。たぶん自分にもそういうときがあったから、禁句ワードを言う人がいても、広い心を持つのが必要かなって。
横澤 本当にそうですね。
駒井 なんか人生論みたいになっちゃいましたけど(笑)。
知ることは大事。『妊活夫婦』が教科書になればいいのに
横澤 でも本当に、経験ってすごいなって思います。
妊活の期間がなかったら、私、結婚すればあたりまえのように子どもができると思っていたと思うし。
同じ経験をしている人の言葉って、やっぱりどこか愛があると思うんです。「妊娠って本当に奇跡だよね」というひとことも、それを実感していることを踏まえたうえで話していると、全然違うんですよね。言葉のひとつひとつも経験を物語っているなって思います。
駒井 読者さんからもそういう言葉をいただきます。自分は授かって当たり前、生まれて当たり前というなかで、この作品に出合い、不妊の実情を知ったという女性もたくさんいらっしゃる。
やっぱり大人になる過程のどこかで、教育の一環としてそういう情報とふれあう機会を作って欲しいなと思います。これはぜひ文部科学省にお願いしたい(笑)。
横澤 本当にそのとおり! 私は駒井さんのマンガが教科書になればいいのにって、すごい思いました。
ファイナルはどうなる?不妊にやさしい世の中になったらうれしい
横澤 『妊活夫婦』は今セカンドシーズンで、クライマックスに向かっていくってことなんですか。
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