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不妊治療・妊活のクリニック探し・情報収集ならあかほし 不妊治療コラム 【独占データ】不妊治療保険適用研究会の集計結果「体外受精の平均年齢の変化は?」「初診患者数は増えた?」をチェック

【独占データ】不妊治療保険適用研究会の集計結果「体外受精の平均年齢の変化は?」「初診患者数は増えた?」をチェック

2023/07/06 公開
2024/04/15 更新

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不妊治療が保険適用となって一年が経過した今、実際に治療にどのような変化があったのでしょうか?また、生殖医療専門医、医療従事者はどのように感じているのでしょうか。

「安心して適切な不妊治療の保険診療を患者さまに受けていただくため、情報収集、実態把握をおこなう」という趣旨で発足した「不妊治療保険適用研究会」(代表世話人・杉山力一/会員施設数191施設、総会員数・産婦人科医195名が所属)。不妊治療界を牽引してきた産婦人科医が集結したこの研究会では、保険診療スタート一年を機に、同会に所属する施設へのアンケートを実施。

全国65院からえられた回答データをもとに、研究会所属の松本玲央奈先生(松本レディースクリニック)、川井清考先生(亀田IVFクリニック幕張)にお話を伺いました。

不妊治療は保険診療からスタートすることが新スタンダードに

一部には今も、「自費診療のほうがよい治療を受けられる」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるようです。ですが、この一年の経験から私ども医師が言えることは、基本的には「保険範囲内での治療からスタートすべき」ということです。

これは当研究会所属医師の一致した意見です。
ただし、難治性不妊に関しては自費診療が必要になることもあります。ここは生殖医療施設側としても、先進医療(※)などを随時視野に入れながら、とり組んでいくべきかと思います。

※先進医療とは
一部の高度な医療技術のことで、不妊治療ではタイムラプスやSEET法、IMSI、子宮内膜スクラッチなどが含まれる。この治療は自費診療となるが、保険診療との併用(混合診療)が可能。

グラフ:全体の移植件数の増減

グラフ:凍結胚移植の件数の増減

当研究会が集計したアンケートデータでは、上記のように体外受精の移植数が微増していますが、これは一時的なものではないかと考えます。

従来の助成金の猶予(保険診療に制度変更する際の経過措置)があった方や、保険診療がスタートするのを待って治療を控えていた方などが、4月以降通院したことが影響していると推測します。

グラフ:初診患者の増減を教えてください

初診の患者数はほとんどの施設では変化がないですが、一部で微増しています。これは、「不妊治療の保険適用」というフレーズがニュースなどで取り上げられたことにより、社会的認知度が上がったことが影響していると考えます。

また、今までは自費での治療に抵抗あった方や、なかなか周りに言い出せない方も多かったと思いますが、保険診療が始まったことで、比較的スムーズに治療を開始できるようになったのではないでしょうか。治療費が下がったことで、特に若年層のカップルがファーストステップを踏み出しやすくなったことも一因でしょう。

グラフ:不妊治療の保険適用による全体の業務量の増減

保険診療開始にあたって、クリニック側の業務量が増えたことで、患者さまの待ち時間が長くなるという実情がありました。新しいことを始めるにあたり、1つ1つの確認作業や、保険か自費かのグレー部分の切り分けなど、さまざまな模索があり、実際に業務量がかなりボリュームアップしました。

また、保険で治療するためには、周期のはじめに夫婦同席で治療計画書を作成する必要があることや、高額医療請求のための書類作成もあり、患者さまにご迷惑をおかけしたことは否めません。

ですが、一年余を経た現在では、ドクターやスタッフ、そして患者さま側も含めて、おおまかな“流れ”がわかってきたと感じます。スムーズに保険診療が進むにようになり、安堵しています。

グラフ:保険適用での体外受精の患者数の割合について

大前提として、「体外受精はまずは保険診療で始めるべき」ということが、当研究会のドクターの一致した見解です。つまり、基本的には保険診療で大多数のかたが問題なく治療を行えるということです。

当初は、妊娠成績が落ちるのでは?という懸念も一部にはありましたが、それ以上にメリットが大きかったと思います。つまり、保険での治療で十分成績が上がっているという認識です。

今後は、保険診療での治療を充実していくことや、先進医療の拡充に尽力すべきであると考えます。また、自費診療が必要な患者さまと、そうでない患者さまとの見極めをどのようにするのかなど、検討を続けていく必要があるかと思います。

グラフ:保険適用により体外受精を受ける患者の平均年齢の変化について

保険診療で治療費がかなり下がったため、年齢の若い方も気軽に体外受精にトライするケースが増えました。

その結果、体外受精を受ける女性の平均年齢は下がったと言えるでしょう。一方で、保険で行う体外受精には年齢制限があり、1子あたり40歳未満は胚移植6回まで、40歳以上43歳未満は胚移植3回まで、43歳以上は保険診療は行えません。ですので、40歳や43歳になる直前のいわば“滑り込み治療”の方も一定数おられます。

ほかに、既存の助成金を使い終わってしまったけれど、保険診療が可能だった方など、さまざまなケースが見られます。全体としては、女性の受診年齢が30歳前後と40歳前後の二極化、という傾向が続いています。


まとめ
保険での不妊治療が可能となり、初診や体外受精を受けるカップルの低年齢化が進んでいます。不妊治療には年齢の壁があるため、少しでも早く治療をはじめるカップルが増えたことで、今後、妊娠率の向上が望めるかもしれません。

また、保険診療は治療費が安価、かつ治療レベルも高いというドクター陣の認識が明らかになり、妊活カップルにとってはなにより嬉しいニュースとなりました。

不妊治療保険適用研究会とは

公式サイトhttps://funinhoken.info
会員施設数191施設、総会員数(産婦人科医)195名が所属。
安心して適切な不妊治療の保険診療を目指して情報収集・実態把握を行うために国内の生殖医療実施施設によって設立された研究会。

代表世話人
杉山力一先生(杉山産婦人科理事長)
副代表
田中 温先生(セントマザー産婦人科院院長) 塩谷雅英先生(英ウィメンズクリニック理事長)加藤恵一先生(加藤レディスクリニック院長)
常任理事
蔵本武志先生(蔵本ウイメンズクリニック理事長) 吉田仁秋先生(仙台ARTクリニック理事長) 辰巳賢一先生(梅ヶ丘産婦人科院長) 古井憲司先生(クリニックママ) 吉田淳先生(木場公園クリニック理事長) 桑原章先生(レディスクリニックコスモス院長)
顧問
吉村泰典先生(吉村やすのり 生命の環境研究所所長) 堤治先生(山王病院名誉院長) 和田政宗先生(参議院議員:自民党不妊治療議連事務局長)
アドバイザー
森本義晴先生(HORACグランフロント大阪クリニック院長) 西井修先生(帝京大学医学部付属溝口病院 産婦人科教授) 前村俊満先生(東邦大学医療センター大森病院 総合周産期母子医療センター 准教授) 宮崎亮一郎先生(キッコーマン総合病院産婦人科センター長/日本産婦人科医会常務理事保険会)
幹事、会計
松本玲央奈先生(松本レディースクリニック理事長) 川井清考先生(亀田IVFクリニック幕張院長)

会員施設数191施設、総会員数(産婦人科医)195名が所属(2023年6月現在)
安心して適切な不妊治療の保険診療を目指して情報収集・実態把握を行うために国内の生殖医療実施施設によって設立された研究会。
代表世話人 杉山力一先生(杉山産婦人科理事長)、副代表 田中 温先生(セントマザー産婦人科院長)、塩谷雅英先生(英ウィメンズクリニック理事長)、加藤恵一先生(加藤レディスクリニック院長)

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