20代で妊活を始める!まずなにをしたらいい?注意点や妊娠率は【医師監修】
「そろそろ妊活を始めよう!」と考えたら、まずは何をしたらいいの? ひと口に「妊活」といっても女性とパートナーそれぞれの年齢や、既往症、生活習慣などによってやるべき妊活の内容は違ってきます。
今回は、妊娠率と大きなかかわりのある年齢にフォーカス。20代で妊活を始める場合の進めかたのポイントを神谷レディースクリニックの岩見菜々子先生に教えてもらいました。
20代の妊娠確率は?
20代なら自然に妊娠できる?20代ならとくに意識して妊活をしなくても20代なら自然に妊娠できるのではないかと考えている人もいるかもしれません。
データを見てみると20代の場合、6カ月間避妊をせず性交渉を持つと50%以上の夫婦が妊娠します。なので、6カ月間は自己流タイミング法にトライしてOK。排卵日にこだわらず、3~4日に1回のペースで性交渉を持つとよいでしょう。
その方法を続けて6カ月たっても妊娠しないときは、不妊専門クリニックまたは不妊も診ることができる産婦人科クリニックなどを受診して、妊娠を妨げるようなトラブルがないかをチェックしてみてください。
年齢別・治療による妊娠率のめやす
自然妊娠率が高いのは20代前半ですが、不妊治療の結果も年齢によって異なります。特に体外受精・顕微授精での妊娠率は年代によって大きな差があります。
【妊娠率のめやす】人工授精
〜34歳 | 10〜15% |
35〜37歳 | 約10% |
38歳〜39歳 | 約8% |
40歳〜 | 6%弱 |
【妊娠率のめやす】体外受精・顕微受精(受精卵1個)
〜34歳 | 60〜75% |
35〜37歳 | 約50% |
38〜39歳 | 約30% |
40歳〜 | 約20% |
女性の年齢別・流産率の目安
38〜39歳 | 30% |
40〜41歳 | 40% |
42歳〜 | 50% |
年齢とともに妊娠率が下がる理由
上記で「20代の場合、6カ月間避妊せずに性交渉を持つと50%以上が妊娠」と言いましたが、この割合は年齢とともに下がっていきます。その理由はいくつかあります。
卵子も年をとる【卵子の老化】
卵子(正確には卵子のもと=原子卵胞)は、女性がママのおなかにいる胎児期につくられます。精子のように新しくつくられることはありません。ですから、20歳の女性の卵子年齢は20歳、40歳の女性の場合は卵子も40歳ということになります。卵子は長く体内にあればあるほど、老化していると考えてください。
実際に高齢な方の卵子は受精しにくく、うまく受精卵ができたとしても細胞分裂の過程で染色体異常が発生しやすいことがわかっています。
卵子の数は毎月減っていく【卵子の数】
そして卵子の減少も妊娠率が下がる原因のひとつです。上記にもあるように、卵子は新しく作られない=年齢を重ねれば重ねるだけ卵子の在庫は少なくなります。
1カ月に排卵する卵子は基本的に1個ですが、同時に約1000個の卵子が消失しています。一般的にその減り方は35 歳まではゆるやかですが、36 歳以降はスピードアップしていきます。
もともと持って生まれた卵子の数には個人差があり、同じ年齢でも卵子の在庫数は異なります。「今、私ってどのくらいの卵子数が残っているのかな?」と気になった方もいるでしょう。その場合は、血液を採取してAMH(抗ミューラリアンホルモン)値を測定することで、おおよその卵子の在庫数を把握できます。
そのほか、年齢を重ねる=排卵の回数が増える=出血の回数が増えるということ。そのため年齢が高いほど、子宮内膜症をはじめ、妊娠に影響を及ぼす病気の発症リスクが高まります。
また、高齢になるにともない体重増加、糖尿病、血圧などの生活習慣病になるリスクが高くなり、妊娠&出産に悪影響を与えることもあります。
《20代》妊活の始め方
年代に関わらず急いだほうがいいケース
20代の場合、30代や40代の方に比べてゆるやかなペースで妊活することはできますが、卵子の在庫を反映するAMH値が低い場合は、注意が必要です。
AMH値は加齢に伴って低くなるのがふつうですが、20~30代ですでに数値がかなり低い場合、早期閉経(40歳以前に閉経を迎えてしまう疾患)の可能性があります。すぐに専門的な治療を始めましょう。
また、精子トラブルや卵管閉塞が検査でわかった場合、医師と相談のうえ、年齢にかかわらず早めに体外受精や顕微授精などの不妊治療を検討してみてください。
夫婦で早めに検査を受ける
避妊せずに性交渉をしているのに6カ月経っても妊娠しない場合は、早めに一度ご夫婦でクリニックを受診し、早めに妊娠しない原因を見つける検査を受けてみてください。
クリニックにもよりますが、一般的には採血によるホルモン検査や、卵子や精子の通り道である卵管内に詰まりがないかを診る卵管造影検査、不妊につながる性感染症にかかっていないかの検査(クラミジア検査)、性交渉後、子宮頸管の粘液をとって精子の状態を調べるヒューナーテスト、男性は精子の濃度や運動率をみる精液検査などが行われます。
卵子凍結を検討してみる
少しでも年齢が若い、すなわち卵子が若いほうが自然妊娠できる率は高くなります。避妊をせずに性交渉をしていても妊娠に至らない場合は、クリニックに通院しながらあらかじめとった精子から状態の良いものを選んで子宮腔内に入れる「人工授精」や、予めとった精子と卵子を体外で受精させ、その受精卵を女性の子宮に戻す「体外受精」へと治療方法をステップアップしていくことになります。
ただ、体外受精でも自然妊娠と同じように卵子が若ければ若いほうが妊娠率は高くなります。そのため、今のうちに卵子をとり、マイナス196℃で凍結保存しておく「卵子凍結」を検討してみてもいいかもしれません。35歳未満の若いうちに採卵して、卵子を凍結保存しておけば、若い年齢の卵子で妊活がスタートできます。
しかし、凍結保存した卵子での妊娠率は、現状さほど高いとはいえません。より高い妊娠率を求めるのであれば、カップル(既婚)でよく相談のうえ、受精卵の状態で凍結保存するとよいでしょう。ちなみに卵子凍結をする場合、1回あたり費用は30~50万円前後で、別途保管料がかかります。
20代からの妊活は具体的に何をするの?
20代の場合、6カ月間避妊をせず性交渉を持つと50%以上のカップルが妊娠します。ですから6カ月間は自己流タイミング法にトライしてOK。排卵日にこだわらず、3〜4日に1回のペースで性交渉を持つとよいでしょう。あわせて禁煙(喫煙は卵子の老化を促進します)、よい食事、体重をふやしすぎないなどを心がけて。
☑︎6カ月間は自然なかたちで性交渉を
排卵日にこだわりすぎると、それがストレスになって、夫婦関係がギクシャクしてしまうことも。月経時以外で、月に6〜10回ぐらい性交渉を持つようにしましょう。
☑︎それで妊娠しなければ、検査を受けましょう
20代は自然妊娠しやすい年代です。避妊をせず性交渉をしているのに 6カ月たっても授からない場合は、受診して検査をしましょう。
☑︎クリニックでのタイミング法6カ月からスタート
病院指導のタイミング法、人工授精、体外受精という流れで治療を進めます。「より早く妊娠したい」などの希望があれば、ドクターとの相談によって早期の体外受精も可能です。
20代の具体的な妊活プラン「基礎体温をはかる」
赤ちゃんが欲しいと思ったら、まずは基礎体温を測ってみましましょう。基礎体温とは4〜5時間以上の睡眠後、起きてすぐの安静な状態のまま、舌下で測った体温のこと。卵胞ホルモンや黄体ホルモンの影響があらわれるため、排卵があると低温期と高温期の2相性のグラフになります。基礎体温をつけると、自分でもホルモンの動きがおおよそ把握ができます。
測定した体温を自動的にアプリに記録して管理し、排卵日の予測などをしてくれる体温計もあります。
関連記事→書き込める!基礎体温表が付録の妊活を始めるときに参考にしたいのはこの1冊『妊活スタートBOOK』
20代の具体的な妊活プラン「排卵日を予測、タイミングをとる」
次に測定した基礎体温の1周期分の数値をグラフに表してみてください。正常に排卵している人の基礎体温は月経〜排卵が低温期、排卵後が高温期になります。低温期と高温期の二相に分かれていれば、ひとまずOK。おそらく排卵が行われていると考えられます。この排卵日を予測することが、妊活ではとても大切です。低温期から高温期にうつるところが排卵日と予測されるので、そのあたりをねらってタイミングをとるといいでしょう。
20代の具体的な妊活プラン「不妊治療も視野にいれる」
ただ、タイミングをとって6カ月たっても妊娠しないときは受診して、妊娠を妨げるようなトラブルがないかをチェック。検査結果に問題がないのであればタイミング法を6クール、人工授精を6クール、受診後1年たっても妊娠しない場合は体外受精にステップアップする、というのが一般的です。
20代の妊活リアル体験談
●26歳、若いしすぐ授かるだろうと思っていました
結婚の翌年、自己流タイミング法に2~3回トライしたあと、すぐにクリニックを受診しました。治療を始める年齢としては若かったけれど、私はせっかちな性格で、すぐに子どもが欲しかったし、だらだら自己流を続けていても時間のムダだと思ったからです。
そこでまず、夫婦で検査をすることに。しかし、そこで精子の濃度が薄いことが判明。このとき、タイミング法では妊娠しにくいと言われ、すぐに人工授精に切りかえました。結果的に、私たち夫婦は顕微受精で妊娠することになります。…体験談の詳細を読む
●以前から生理不順の私…妊娠できるのか不安要素がたくさん
私たち夫婦は、私が24歳、夫25歳の時に結婚。30歳までに子どもが2人欲しいと考えていました。妊活を意識しはじめたのは、婚姻届を提出してから約1年後のことでした。
もともと妊娠できるのか不安があった私は、まずは病院で検査してもらうことに。しかし、検査を進めていくうちに次々と問題が浮かび上がってきたのです。いちばん衝撃だったのが夫の不妊症。当時、男性不妊に知識がなかった私たち夫婦にとって想定外のことでした。…体験談の詳細を読む
子どもが欲しいと思ったら、20代でも早めに妊活を
20代は、30代や40代に比べて妊娠率が高いのは事実です。通常20代の場合、6カ月間避妊をせず性交渉を持つと50%以上の夫婦が妊娠するといわれます。6カ月間は自己流でタイミングをとってみてもいいでしょう。
ただ、6カ月たっても妊娠しないときは、できるだけ早めに不妊専門クリニックまたは不妊も診ることができる産婦人科クリニックなどを受診して、妊娠を妨げるようなトラブルがないかをチェックをすることが何よりも大切です。
また、事前の検査などでAMH値が低い、精子の状態があまりよくないとわかっている場合は、20代であっても6カ月間をまたずに早めにクリニックへ。医師と一緒に不妊治療をすすめることで、早く赤ちゃんを授かれる可能性が高くなります。
『赤ちゃんが欲しい 20代30代40代 妊娠までのベストスケジュール』より
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2005年札幌医科大学医学部医学科卒業後、初期・後期研修を終え、09年より札幌医科大学附属病院産婦人科にて在籍。その後11年より、札幌近郊の二つのクリニックに勤務。14年6月より神谷レディースクリニック勤務。日本産科婦人科学会認定専門医、日本生殖医学会 生殖医療専門医、日本抗加齢医学会 抗加齢専門医。「多くのみなさんができるだけ早く妊娠できる不妊治療がモットーです!」
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