だいたひかるさん夫・小泉貴之さん【独占インタビュー①】 夫婦で乳がん再発を乗り越え、 命がけの不妊治療再開を支えた夫のホンネと葛藤
雑誌「赤ちゃんが欲しい」の1万字にわたるロングインタビュー記事で、大きな反響を呼んだタレント、だいたひかるさん。
乳がん手術、抗がん剤治療、そしてがん再発を乗り越えた末に、今年5月に念願の妊娠を発表されました。
8年に及ぶ不妊治療と闘病を陰で支えたのが、夫でアートディレクターの小泉貴之さんです。パートナーとして、がん患者の家族として、今話せる素直な気持ちと不妊治療についての思いをたっぷりと語っていただきました。
貴之さん・ひかるさんの妊活history
夫35歳・妻38歳
結婚。自己流タイミング法7回、A病院で病院指導のタイミング法に6回トライするも、化学流産を繰り返す。
夫37歳・妻39歳
B病院に転院し、人工授精8回。体外受精へ進み、5回採卵、5回移植。
不妊治療専門のCクリニックに転院。
顕微授精で最後1個の凍結胚の移植日に不正出血で延期に。
乳がんが判明し、右乳房の全摘手術を受ける。
その後リンパ節への転移が分かり、抗がん剤治療。
夫40歳・妻42歳
乳がん局所再発、手術と放射線治療。
夫43歳・妻45歳
ホルモン治療を中断し、不妊治療再開。
5年保存していた凍結胚盤胞1個を移植し妊娠。
不妊治療中だった5年前、タレント・だいたひかるさんは突然、乳がんの宣告を受け、右胸の全摘手術とつらい抗がん剤治療で完治を目指しました。
しかし、その2年後に、乳がんが再発…。幸い初期だったため、再手術、放射線治療を経て、なんとか日常を取り戻したご夫婦ですが、去年の秋、大きな大きな決断をしたのです。
⇒⇒だいたひかるさんの独占インタビュー
インタビュー①
インタビュー②
一挙公開「だいたひかるさんの妊活・不妊治療」の写真記録
この記事では、パートナーである小泉さんの独占インタビューをお届けします。
だいたひかるさんとの8年におよぶ不妊治療を夫の目線から語っていただきました。
命がけの不妊治療再開を決意した妻を支えたい
10年は続けなければいけないとされる乳がんのホルモン治療を中断し、不妊治療を再開することを発表したのが昨年の秋。
5年前に移植するはずだった凍結受精卵が1つだけ残っていたので、それをおなかに戻さなければ一生後悔すると思ったからです。
けれど、不妊治療を再開するということは、乳がん再発のリスクも伴います。
乳がんの治療は女性ホルモンを抑えなければいけない。けれど、不妊治療をする、そして妊娠を目指すことは女性ホルモンを増やすということなんです。
ですから、主治医からは「自己責任で」という話をされました。
「夫婦でよく話し合って、それでも挑戦するということなら、全力でサポートします」と。私も正直、子どもはあきらめようと思ったことがあります。
ですが、命をかけてもやってみたいという妻の気持ちを尊重し、私も全力で支えようと決めました。
今回、もしおなかに戻した受精卵が着床しなかった場合は、妻がさらに「不妊治療を継続したい」と言っても、そこは夫として全力で止めなければいけないと思っていました。やはり妻の健康を選びたいと思ったからです。
わが家はどちらかが出かけるときは、たとえケンカしていても必ず玄関で見送るようにしています。
実は不妊治療について、そこまで真剣に考えていなかった
もともと、ぼんやりと“子どもがほしい”という気持ちはありましたが、当時は2人の新生活や仕事を優先したいという思いが強く、正直、僕自身は不妊治療についてそこまで真剣にとらえていませんでした。
私たちの結婚は妻が38歳、私が35歳。
ちょうど「卵子の老化」がメディアで取り上げられ始めた頃で、妻は産婦人科で検査を受けて、年齢のこともあり、タイミング法を始めることになりました。
当時を振り返ると、排卵日なのに僕の仕事が忙しくて寝てしまったりして、妻はなぜもっと協力してくれないのかと不満に感じていたと思います。不妊治療を続けたなかで、あのタイミング法のころがいちばん夫婦仲がギクシャクしていましたね…。
不妊治療を始めた頃に買った子供用のナイキの靴。
これ、履かせたいね~と持ち帰り、8年間大事にとってあります。
人工授精8回、体外受精7回、化学流産を繰り返し…
自己流やクリニック指導のタイミング法に10回以上トライしても、化学流産を繰り返すばかり…。
それで人工授精にステップアップすることになり、転院を決めました。
2つめの病院では、人工授精8回、体外受精5回。
採卵で卵がたくさん採れても、なかなかグレードのいい受精卵にならない…。
体外受精は、期待値が高いからその分、ガッカリした気持ちになりましたね。
治療開始から2年がたったころ、ずっと気になっていた自然周期の体外受精専門クリニックの予約がタイミングよく取れたので、二回目の転院を決意しました。ここでは体外受精で2回移植にトライしました。妻は大好きな大好きな仕事を休んで、この治療に完全に専念しましたが、それでも妊娠にはいたりませんでした…。
結果が出なかったときは本当にどんよりしてしまいます。
でも下ばかり向いていても仕方ないし、問題を解決しないまま同じことを繰り返すのはいやだったので、1回ダメでも、その失敗を無駄にせず、次はどうしたらいいのかを常に話し合いました。
お互いに横を向いていてはダメで、2人が同じ方向を向いて前に進むように心がけました。
※自然周期の体外受精とは
体外受精では通常、排卵誘発剤を使いますが、薬を減らし、生理周期に合わせてできるだけ自然に近い状態で排卵を促す方法のこと。
⇒⇒体外受精の種類と基本スケジュールは?
目的は”夫婦の子どもがほしい“
不妊治療はどうしても女性が中心になってしまいますよね。
それに、夫に気を遣って、今こんな話をしたら仕事の邪魔になるんじゃないか、かえってプレッシャーをかけることになるのではないかと、自分の中にため込んで、余計に悩みが深くなってしまう女性もいるかと思います。
そこは「夫が気づけよ!」というのはもっともなのですが(笑)、自分も含めて男性って、具体的に話してくれないとわからない人も多いのでは?と思います。今こういう状態で悩んでいて、次にこうしたいんだけどどう思う?と相談してくれたら、もっと本気になってくれる男性もいると思うんです。
よく「夫が協力してくれなくて…」という声を聞きますが、もしかしたらその男性は自分なりに頑張っているつもりなのかもしれない。時間がなくて協力できないのかもしれない。それならなぜできないのか、ホンネで話し合うことができればいいですよね。
目的は“夫婦の子どもがほしい”ということなので、一時的な結果だけにとらわれないでいられたらいいと思います。ほんわかした何気ない会話が減って、不妊治療だけに意識が集中すると、夫婦の関係もギクシャクしてしまうんですよね。
日ごろの世間話とか、笑うこととか、おいしいものを食べるとか、不妊治療に限らずですが、夫婦って向き合うことって大事なんじゃないかなと思います。
妻が「乳がん」と知らされた日のこと
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1977年8月14日 埼玉県川口市出身 アートディレクター、グラフィックデザイナー
イギリスでフセイン・チャラヤンのテキスタイルデザイナーとして活動後、2005年に帰国し、Wieden+Kennedy Tokyoに入社。現在はフリーのアートディレクターとして活動中。お笑い芸人のだいたひかるさんと2013年に結婚。8年におよぶ不妊治療を経て、2021年5月に妊娠発表。
小泉貴之オフィシャルブログ「大丈夫」
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