【卵子凍結】何歳までにするべき!?通院回数、リスク、その後の妊娠の可能性についても知りたい!ドクターQ&A
女性のライフプランの選択肢を広げると注目されているのが「卵子凍結」です。
何歳ぐらいまでできる?どんなリスクがある?少子化対策を目的に浦安市(千葉県)と共同で卵子の凍結保存研究の実績もある、卵子凍結の第1人者・菊地 盤先生に読者からの質問に答えてもらいました。
そもそも卵子凍結とは?
卵子凍結は、もともとは抗がん剤や放射線治療によって、卵巣や子宮の機能を失ってしまうかもしれないがん患者さんに対して、将来の妊娠の可能性を残すために始まりました。妊娠できる能力のことを、少しむずかしい専門用語で「妊孕性(にんようせい)」といいますが、この妊孕性を温存するのが、卵子凍結を行う目的です。→もっとくわしく「卵子凍結」を知る
【34歳未婚】卵子凍結は何歳までにするのがいい?
●質問者:K・Mさん/34歳/未婚
35歳を前に卵子凍結が気になります。何歳ごろまでにするのがよいですか?
おつきあいしている相手もおらず、当分結婚の予定はありませんが、いずれは子どもを持ちたいと思っています。がんなどの問題がなくても、将来の妊娠のために、という理由で卵子凍結はできますか?
もし凍結するとしたら、何歳ぐらいまでにするのがよいでしょうか?
卵子凍結するなら、36歳未満が望ましいとされています
ドクターANSWER
もともと卵子の凍結保存は、がん患者さんが抗がん剤や放射線治療などで卵巣機能にダメージを受ける可能性があるときに、将来の妊娠の可能性を残すために行われるようになった医療です。日本産科婦人科学会での「医学的適応」は、原則としてがんや白血病などへの化学的治療に限られています。
しかし、将来の妊娠にそなえて、卵子を凍結保存しておきたいというケースは、がん以外にもいろいろあります。子宮内膜症があるとか、また病気でなくても加齢によって卵子が老化することは広く知られるようになってきました。そうした理由での卵子凍結は一般には「社会的適応」と呼ばれています。
そもそも誰が卵子凍結をしていいのかを決めるのは、あくまでご本人の意思で、医師ではありません。「あなたはこの病気だからOKですよ。あなたはこの病気ではないからやってはいけません」というのはナンセンスだと思います。
ただし、卵子凍結したからといって、必ず妊娠できるわけではないことも知っておきましょう。
卵子凍結は体外受精のプロセスの一部を先に行っておくものなので、妊娠をめざすときには体外受精(顕微授精)が必要になります。現在の技術では若ければ獲得できる卵子数も多く、凍結した卵子の融解後の生存率は9割以上で、30代前半では20個の凍結卵子があれば、8割以上は妊娠できるというデータがあります。
ところが、40歳での採卵、凍結となると、30個集めても、半分くらいしか妊娠できません。重要なのは、卵子を凍結するならなるべく若いうちに、ということです。日本生殖医学会のガイドラインでは、採取時の年齢は36歳未満が望ましいとされています。
関連リンク:年齢による妊娠への影響は不妊治療でもあるの?
【32歳】夫が海外に単身赴任中。卵子凍結を検討中
●質問者:まちゃこさん/32歳/夫(38歳)が海外に単身赴任中
すぐに妊娠できる状況ではないため、卵子凍結を考えています。卵子をたくさんとるために排卵誘発剤を使用すると、ホルモン環境などに影響して、将来妊娠しにくくなることはありませんか?卵子凍結の採卵のために、排卵誘発剤を使うことに不安があります。
また、仕事をしていて、たびたび休暇をとるのはむずかしいのですが、通院はどのくらい必要ですか?
卵子凍結にともなうリスクは体外受精を行う場合と同じです
ドクターANSWER
卵子凍結の流れは、基本的に体外受精と同じです。
いちばんのリスクは、排卵誘発剤に卵巣が過剰に反応してはれたり、腹水がたまってしまう「卵巣過剰刺激症候群」ですが、経験のあるドクターなら十分に予防が可能です。
卵巣がんや乳がん発症の可能性も示唆されていますが、これらは長期的な検証が必要で、現在ではまだわかっていません。採卵のときに臓器を損傷して大量に出血するなどはかなりまれですが、もちろんゼロではありません。
そうしたさまざまなリスクはありますが、「体外受精をしても妊娠したい」と考えているのであれば、いまそれを行うか、将来行うかの違いで、リスクはいつ行っても同じです。若ければ1度の採卵で多くの卵がとれますが、35歳を超えて妊娠を希望するときには、体外受精の可能性が高まり、1回の採卵ではすまないことも多く、卵子の質も落ちます。
そのときに何度も採卵するリスクと、いまの採卵のリスクを天秤にかけて、ライフプランをじっくりと考えたうえで、納得できた場合に卵子凍結を行うべきだと思います。
具体的な方法としては月経周期の3日目ころに超音波検査を受け、AMH値やホルモン値の検査結果と合わせて、排卵誘発の方法を決定します。その後2~3回、卵胞の成長を確認して、採卵。採卵後にいくつ卵子が凍結できたかの報告もあるので、トータルで4~5回の通院が必要と考えてください。
なお、受精がうまく起こるかどうか、その後の胚発生が良好か、によって妊娠率は変わります。そのため、受精させておいたほうが将来の着床率が高くなるのです。
凍結卵子による妊娠率は凍結胚の場合よりも低いため、ご質問者の場合は、もし夫に帰国の機会があるなら、そのときに精子を凍結し、受精卵(胚)をつくって凍結しておく方法をおすすめします。
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3. クリニックに行く/問診票に記入
予約した日程にクリニックにいったら、まずは受付&問診票に記入。問診票には、最終月経の状態、生活習慣、既往歴など検査に必要な質問項目に答えます。生理中でもできる検査もあります。
4. 先生によるヒアリング
事前に記入した問診票を見ながら、医師と直接話す問診タイム。日ごろから気になっていることなどはここで質問を。過去の病歴や、流産・中絶経験などもつつみかくさず正直に答えることが重要です。
5. 内診&超音波検査
外陰部の視診や触診、腟鏡を使って腟内の状態確認を内診台の上で行います。外側からは見ることができない子宮や卵巣の内部は超音波で検査します。不妊治療における超音波検査は、内科の聴診と同様の位置づけだと考えましょう。
6. 血液検査&尿検査
血液検査と尿検査は、ほとんどのクリニックで初診の時に行われます。不妊の原因になる疾患が見つかればその治療が優先されるので、初診で調べるのが基本。
7. 会計・次回の予約
ひととおり検査が終了したら待合室に戻ります。その後、会計をすませて初診の検査は終了。検査結果が出るスケジュールを聞いて次回の予約をします。初診時の多くの検査は保険が適用されますが、保険適用の有無は確認しておくと安心です。
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