3ページ目(3ページ中) | 「あぁ…綺麗な子だ…」ヒット漫画家・おかざき真里さんが描く不妊治療の現場『胚培養士ミズイロ』インタビュー/胚培養士?なんですか?から始まった…作品制作の裏側を聞きました
『胚培養士ミズイロ』おかざき真里/小学館
画像ギャラリーそもそも男性と女性は、性や生殖に対する意識が違うと感じます。それは思春期から全然違う。
女性の場合、生理が月に1回やってくることから生殖のスタンバイ(準備)が始まります。めんどうくさかったり、うっとうしかったり、痛かったりするものです。
でも男性のスタンバイは、快楽といっしょにやってくる。
その違いが積み重なって大人になるのだから、男性と女性の心構えが違ってくるのも当然のことだと思うのです。
先日、20代後半の男性に「不妊治療をテーマに漫画を描くんだけど、不妊の原因ってなんだか知ってる?」って聞いたら、「知ってます。女性の年齢ですよね」って答えたんです。もちろん女性の年齢も妊娠を妨げる原因と言われていますが…
彼に「原因の半数は男性にもあるんだよ」と言うと、「えーーーー???」って驚いていました。
知らないんですよね。でも、私だってそうでした。
うっすらと「男性にも原因がある」と知っていましたが、実際にデータを見たときには驚きました。
第2話は「不妊の原因のほぼ半数は男性側にもある」という、ひと言から始めています。
『胚培養士ミズイロ』第2話 果実とプライド より
当事者でもなんでもない20~40代の男性読者の人に、この1行だけでも読んでほしいと思って描きました。
この1行を知るだけでも意義がある。そして私自身、この1行を世に出せただけでも、描き始めてよかったと思っています。
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伝えたいことはたくさんあるけれど、漫画としての面白さを大事にしたい
この連載が始まってから、SNSで『胚培養士ミズイロ』のエゴサをしてみたんです。そしたら、「ダンナが『スピリッツ』を読んでいるので、不妊治療のステップアップの話がしやすくて助かる」とつぶやいている人がいました。やった!と思いました。
夫婦って、身近だからこそ深い話がしにくいという部分があります。この漫画に触れることで、男性にも何か少し基礎知識を持って、治療のハードルを下げることができたり、身近な人で治療中の人がいたら理解が深まったりしてくれたらと願っています。
と、いろいろ思うのですが、漫画は漫画。教科書ではありませんから楽しく読んでいただければと思っています。物語としておもしろいものにしたいし、男性誌特有の「うんちく」も交えるように意識しています。
あとは、私が取材して「なるほど」と思ったものを入れていきます。男性の採精室にあるアダルトビデオとかね。そうか、こういう品ぞろえなのか、みたいな(笑)。そういうことって新鮮ですし。
ただ、物語が進むと迷いが出てくることも増えると思います。
みんながみんな赤ちゃんを授かるわけではありませんし、だからといって話として毎回うまくいかないのもつらい。不安をあおるのも違うなぁと思います。
さらに、生殖医療には倫理面や法整備の問題でクリアされていない部分もありますから、どこまで描いていくかは迷うところです。
そして不妊治療の保険適用など、法律が変わることで漫画のエピソードが古くなってしまう可能性もあります。現実の変化とどう折り合いをつけていくかも、確認しつつ進めていかなくちゃと思っています。
課題はありますが、「この先どうしよう」と迷えるのは、連載漫画としては幸せなこと。時代を見誤ることなく、物語を構築していきたいですね。
ただ、妊活中の当事者の方が私の漫画を読むと、もしかしたらつらくなってしまうことがあるかもしれないと少し心配です。「わかるわかる」と共感してもらえるならいいのですが、共感のあまりつらくなるときには読まないでくださいね。
この漫画は、妊活にあまり協力的でないパートナーや、あれこれ言う親世代や会社の上司に読んでもらいましょう。そしてどうぞ、心穏やかに、赤ちゃんが来る日を待ってくださいね。心から応援しています!
取材・文/神 素子
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マンガ『胚培養士ミズイロ』第1話~声を聴く人~
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