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排卵日プレッシャーは万国共通だった!?妊活中の夫婦「NGワード」教えます【メンズ不妊治療専門医監修】

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2021/12/12 公開
2023/05/22 更新

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妊活は女性がするものと思われがちですが、赤ちゃんを授かるには男性の参加が不可欠!でも、「精液検査を受けてくれない」「妊活に興味がないみたい」という女性からの声も少なくありません。「排卵日を伝えると、なんだかイヤそう」と、プレッシャーを感じる男性もいるようです。そこで、男性専門の不妊治療クリニック・恵比寿つじクリニックの院長・辻先生に、女性が常々ギモンに思っている男性の特性やキモチについて伺いました。2回目をお届けします。

前回のお話⇒日本人男性が医師に聞かない3つのこと。セックスレス、ED、更年期障害…

男性ホルモンのキーワードは「狩り」!?

あかほし編集部(以下――) 前回は、日本人男性の性欲や、男性ホルモンと性欲の関係などについて伺いました。ハッキリしたデータとしてはないけれど、男性ホルモンと性欲には相関関係があるのではないかというお話でした。

もし、相関があるとすると、タイミング(性交渉)を持つため女性から誘う場合、男性ホルモンが多い時のほうがうまくいく確率が高そうに思うのですが、いつが多いとかはありますか?

辻先生 男性ホルモンは、睡眠中にチャージされて、朝が一番高く、午後はだんだん下がっていきます。男性は、朝方に自覚がないままに勃起が起こりますが(いわゆる朝勃ち)、前回お話ししたLOH症候群(男性更年期障害)になると早朝の勃起が弱くなることが知られています。

男性ホルモンは、睡眠とも関係が深く、加齢によって男性ホルモンが少なくなってくると、睡眠障害も起こしやすくなりますが、逆に睡眠不足が続くと男性ホルモンは低下することも分かっています。

――朝ですか。男性も女性もお互いに仕事や家事などで忙しい時間帯ですから、タイミングを持つのはむずかしいかもしれませんね。

辻先生 仕事といえば、朝、男性ホルモンが一番高い理由について、こんな説があります。
古代において、男性がいざ狩りに出かけるぞというときに体力、気力を充実させるため、というものです。

――狩り! 何千年も前の生活習慣が…。

辻先生 男性ホルモンには筋肉量を増やしたり、体脂肪を少なくしたりする肉体に対する働きがありますが、それと同時に、何かにチャレンジしたり、モチベーションを高めたりする脳への働きもあるんです。男性ホルモンが高いと、「これから獲物をしとめるぞ!」という意欲が高まるということでしょう。

――なるほど!狩りを現代に置き換えると、仕事ということになるんでしょうね。

辻先生 男性ホルモンは、季節によっても分泌量に変化があり、秋から冬にかけて多くなり、春から夏にかけて低くなります。
冬になると自然環境が厳しくなるから、冬に備えてという面があるのかもしれませんね。

――じゃあ、秋から冬が子づくりに向いているんでしょうか?

辻先生 いやいや、そういうリズムはありますが、だからといって男性ホルモンが高いときに誘えば必ず応えてくれるというほど、簡単なものではないですよ(苦笑)。

関連記事:タイミングねらいすぎるとかえってハズしやすい!?妊活のありがちNGと脱却法

タイミングのプレッシャーを感じるのは万国共通?


――タイミングを持つ日を「明日」とか、「今晩」とか伝えると、男性はセックスしづらくなってしまう、という話もよく聞きます。それは、万国共通なのでしょうか?

辻先生 ある程度は、どこの国でもあると思います。ただ、日本人男性の場合は、性的な活動が低い傾向があるので、女性からの要望にすぐに対応できないというのが1つの要因ではないでしょうか。

例えば、排卵日前々日、排卵日前日、排卵日の3日間続けてセックスをし続けるというのは、日本人男性にとってはなかなかむずかしいでしょう。最大限に頑張っても、1日おきという場合が多いんじゃないかなぁ。

――それは日本人男性だけですか? 外国人男性は3日連続でも大丈夫なんでしょうか?

辻先生 欧米では、3日連続でもOKという人が多いんじゃないですか。とはいえ、欧米人でも全員がそうというわけではなくて、なかには3日連続はムリ、という人ももちろんいるとは思いますが。

――日本人男性が「3日連続はムリ!」っていうのは、どうしてなんでしょうか?

辻先生 第一には普段からセックスしていないからということが考えられますよね。
月に1回しか性交渉を持っていない夫婦が、急に子作りだからってそんなにできるわけないです。
それに加えて、女性のリクエストに「うまく応えられなかったらどうしよう…」という不安があるからではないでしょうか。だって、もしできなかったら、女性は「なんで?」って言うでしょう?(笑)
でも、男性にしてみたら、「なんで」と言われても、困ってしまうわけです。ちゃんとやろう!と思ってはいるけど、できない状態なんです。

――なるほど。任務を遂行しなくてはという、責任感なのでしょうか。

辻先生 もしかすると、前々から「この日は排卵日だから、予定しておいてね」と告げられるより、「今日!」と排卵日当日に言われたほうが、プレッシャーは少ないかもしれないですね。何日も前からだと、その日数分だけプレッシャーを感じて過ごさなくちゃいけないから。

ただ、現実には、排卵日当日だとすでに仕事が入っているかもしれないし、他の予定があるかもしれないから、なかなか難しいですよね。

――じゃあ、その場合は、女性側が「今日は仕方ないね」と受け止めればいいんでしょうか?

辻先生 そういうふうに受け止めるってなかなか難しいですよね。受け止めることができる夫婦なら、ふだんからもっと性交渉を持っているような気がします。

――確かにそうですね。ふだんから性交渉を持っていれば、排卵日前後にセックスできるかできないかという問題も、きっと起こらないですよね。
そういえば、精液検査を受けたがらない男性がいるという話もよく聞くのですが、それもプレッシャーが関係しているのでしょうか?

辻先生 そうですね。それも、「もし、精液検査の結果が悪かったら、自分の立場がないじゃん!」っていう気持ちなのだと思います。

――「あなたのせいでしょ!」と責められると思ってしまうのですかね。それって、日本が減点法の社会だから、ゆえの考え方なのでしょうか?

辻先生 それもあるかもしれないですよね。

――なかなか根が深い問題ですね…。いったい、どこから変えていけばいいんでしょうか。

辻先生 もう、親世代からですね。父親も母親も。「できないとダメ!」という教育を変えていかないといけないでしょうね。

男性はメンタルが弱い…!NGワードはこれです


――男性がプレッシャーを感じやすいのには、ほかにも理由がありますか?

辻先生 男性はメンタルが、それはもう、弱いものとして扱ってあげてください(笑)。デリケートなガラスの心の持ち主なんです。
それとね、男性の場合、メンタルが弱くなると、フィジカルも弱くなってしまうんです。
つまり、EDになりやすくなる。心と体がつながっているわけです。

一度つまづいてしまうと、「次もなるんじゃないか」というのが、さらにプレッシャーになる。
そこに女性から、「なんでできないの?」なんて言われたら、その影響がいつまでも尾を引いて、悪循環に陥ってしまうんですよ。

――男性には禁句のワード「なんでできないの?」ですね。

辻先生 「なんでできないの?」「なんでダメなの?」とか、そういう言葉は全部禁句と思ってもらえたらいいかもです。

――じゃぁ、いったいどうしたらいいの!って思っちゃいます(笑)

辻先生 男性のことは、ほめて伸ばす。これにつきますね。

――おぉ。でも、突然「すごい!」なんてほめたら、変じゃないですか?(笑)

辻先生 それはそうですよね。だから、そのときだけでなく、ほめたり、感謝の言葉を普段から会話で使ってほしいですね。それは男女どちらにも言えることですよね。

――よく、「雰囲気を変えるといい」とか「場所を変えるといい」とか聞きますけど、そういうのは効果がないんでしょうか?

辻先生 旅に出るとかはいいと思います。でも、いつも旅行するわけにはいかないでしょ。
あと、「スタミナのつく料理を食べさせる」とか「タイミングをとりたい日に派手な下着を着ける」とかいうことも聞きますが(笑)、そういうのは男性側もうすうす気がついてしまうので、逆効果になるかもしれないですね。

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――でも、女性は男性よりも年齢を重ねることで授かりにくくなる、というタイムリミットが頭をよぎってしまう。どうしても焦ってしまいますよね。

辻先生 だからね、やっぱり、その時だけなんとかしようとするんじゃなくて、いつもトレーニングしておいて、排卵日の時に集中的に頑張る、というのが理想的です。

1年間に10回以下しか性交渉がない場合をセックスレスといいますが、日本人の場合のセックスレスって、本当に0回でしょう。
でも、なんでもそうですが、一度手放すと元に戻すのって、すごく難しい。セックスでも1回を20回、30回に増やすことはできても、0回を1回にするのはとても大変です。

そのためには、まず、スタートのところでお互いが2人の子どもを望んでいるということを再確認して、同じ目標や希望を共有しないといけないと思います。

――不妊治療を始める前に、カップルがきちんと話し合っておかないとダメ、という基本に立ち返るべきなんですね。

辻先生 昔と違って、今は結婚する年齢が上がって、その分、努力しないと子どもができない時代です。だからこそ、最初にちゃんと話し合うことが必要でしょう。

男性の場合、女性にタイムリミットがあることを知らない人も多いと思います。それをきちんと伝えれば、男性も積極的にきっとなります。
そして、ふだんからお互いを思いやり、特に夫にはやさしく、を心がけてもらって、ほめて伸ばす(笑)。
お互いに素直になる、ということも心がけられるといいのではないでしょうか。


あかほし編集部より

二人で将来の家族計画、性のことを率直に話し合う。そして、男性はメンタルが弱いデリケートな存在として接する、ということですね。
そのためには普段から、きちんとコミュニケーションがとれる関係性を大切したいですね。

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監修
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恵比寿つじクリニック院長。日本泌尿器科学会専門医、日本超音波医学会専門医。1980年福岡大学医学部卒業。福岡大学大学院研究科修了。米国クリーブランドクリニック特別研究員、福岡大学医学部泌尿器科助教授等をへて、2003年天神つじクリニック(福岡市)開設、2008年恵比寿つじクリニック(東京)開設。気さくな人柄で、緊張しがちな男性でも気軽に質問できると、患者さんから好評です。
恵比寿つじクリニック https://e-dansei.com/

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