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化学流産とは?原因や症状と起きる時期、次の生理と妊娠の可能性を知りたい【不妊治療専門医監修】

基礎知識
著者:桜十字ウィメンズクリニック渋谷
2019/12/26 公開
2023/05/01 更新

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妊活をしていると、「化学流産」という言葉を目にすることが多いかもしれません。「流産」という響きから、ちょっと怖いイメージを持っている人もいるでしょう。気になる化学流産について、まとめました。

化学流産とは?症状はあるの?

受精しても着床が継続しなかった状態のこと

精子と卵子が出会ってできた受精卵は、子宮内部に移動して子宮内膜に着床します。化学流産とは、受精はしても、その後着床が継続せず、妊娠に至らなかった状態のことです。

妊娠検査薬では陽性反応が出ますが、病院で超音波検査をすると、妊娠6週になっても赤ちゃんを包む胎嚢が確認できません。妊娠は、受精卵が着床して初めて成立するので、化学流産は医学的には流産にカウントされず、「生化学的妊娠」と呼ばれます。

妊娠検査薬が今ほど普及していなかったころは、化学流産はほとんど知られていませんでした。それが、妊娠検査薬の普及や性能の向上によって、「検査薬で陽性反応が出たのに、妊娠ではなかった」「陽性反応が出て病院に行ったら胎嚢が見えなかった」ということが増え、次第にクローズアップされるようになったのです。

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自覚症状はほとんどないことが多い

流産では、下腹部痛や出血などの症状が見られることがあります。しかし、化学流産の場合、そのような自覚症状は見られないことがほとんどです。しばらくすると生理と同じぐらいの出血がある程度で、痛みなどはないことが多いので、単に「生理が遅れた」と思う人も少なくありません。

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化学流産の原因は?どうして起こるの?

原因の多くは受精卵の染色体異常

流産の原因の多くは、受精卵の染色体異常ですが、化学流産もおもな原因は同じです。「あのとき自転車に乗ったのがいけなかったかも?」「仕事で無理をしたからでは?」と、自分の行動や生活のせいではないかと考える人もいますが、染色体の異常を防ぐ方法はないので、自分を責めることはないのです。

染色体異常以外の原因としては、子宮内膜ポリープや子宮筋腫、子宮内膜の慢性的な炎症など子宮に問題がある場合や、ホルモンや抗体に異常がある場合が挙げられます。

⇒⇒【流産の○×△】転んだり、おなかをぶつけてしまったら流産するって本当?ウソ?

化学流産はどのぐらいの確率で起こるの?

精子と卵子が受精して着床する確率は◯%

化学流産がどのぐらいの確率で起こるかは、残念ながらはっきりとはわかっていません。ただ、一般的に、排卵日前後にタイミングをとった場合、妊娠が確認できる確率は約20%程度といわれています。つまり、そもそも受精しなかったり、受精しても着床しない確率を合わせると80%程度になり、その一部が化学流産と考えると、化学流産は珍しいことではないといえます。

また、妊娠12週までの早い時期に流産する確率は、全年齢を平均すると15%前後といわれます。卵子は女性がお母さんのおなかの中にいるときからすでに体内にあるため、年齢が上がるにつれて数が減るとともに老化していきます。それによって卵子の染色体異常率も高くなり、流産率も高くなっていきます。

化学流産のおもな原因が、流産の原因の多くを占める染色体異常と同じであることを考えると、化学流産も年齢を重ねるととともに増えると考えていいでしょう。

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化学流産後の生理や基礎体温はどうなる?

生理予定日から1~2週間程度遅れることが多い

化学流産が起きるのは、妊娠何週目ごろでしょうか。妊娠週数を数えるには、前回の生理開始日を妊娠0週1日として計算します。生理周期が28日の人の場合、次の生理予定日は妊娠4週0日になります。超音波検査で胎嚢が確認できるのは妊娠5~6週ごろからなので、化学流産が起きやすいのは、妊娠4~6週目ごろと考えられます。ですから、生理は数日~2週間程度遅れることが多いでしょう。

⇒⇒もしかして着床しづらい体質かも!基礎体温グラフでわかる不妊の原因

出血量や生理痛などは通常の生理と変わらない

通常、排卵後は、女性ホルモンの1つである「黄体ホルモン」が分泌され、子宮内膜を安定させます。着床するとさらに子宮内膜がふかふかになり、着床が継続するのを助けます。一方、着床しなかった場合は、子宮内膜が剥がれて生理となります。

流産の場合は、受精卵が着床して子宮内膜がより厚くなっているため、通常の生理よりも出血が多くなるのが一般的です。しかし、化学流産の場合は、着床したとしてもごく短期間なので、出血量や期間はふだんの生理のときと変わらないことが多くなります。生理に伴って起こる下腹部痛が強くなることもあまりないでしょう。ただし、生理が2週間ほど遅れた場合は、いつもより少し症状が重いこともあります。

もし、いつもより出血量が多い、長く続く、生理痛がひどいなどの症状がある場合は、正常な妊娠ではない可能性も考えられます。早めに受診しましょう。

⇒⇒黄体ホルモンが少ない?『黄体機能不全』をどこよりも詳しく解説【不妊治療専門医監修】

化学流産すると基礎体温は下がる

一般的に、女性の基礎体温は、排卵日を境として高温期になり、生理が始まるころに下がって低温期になります。体温を上げる働きをしているのは、黄体ホルモンです。

受精卵が着床して妊娠が成立した場合は、黄体ホルモンが分泌され続けるため、高温期が続きますが、化学流産すると黄体ホルモンが分泌されなくなり、基礎体温は下がります。とはいえ、基礎体温は体調やストレスなどによって影響されやすいので、すぐには下がらないことも。1日だけで判断するのはむずかしいので、1~2週間ほど計ってみて判断したほうがいいでしょう。

化学流産後にまた妊娠できる?妊娠しやすくなるという噂は本当?

化学流産後に妊娠しやすいってホント?

「流産後は妊娠しやすくなる」という話を耳にしたことがある人もいるかもしれませんが、これはただの噂。流産後に子宮内環境が良くなったり、卵子の質が良くなったりすることはなく、妊娠しやすくなることもないのです。化学流産も同じで、その後に妊娠しやすくなることはありません。

化学流産は繰り返しやすい?予防する方法はある?

化学流産を経験すると、「また化学流産するかも」と不安になるかもしれません。原因の多くを占める受精卵の染色体異常は予防することはできませんが、一度化学流産をしたからといって、繰り返しやすいとは限らないので、心配しすぎないで。

ただし、染色体異常ではなく、子宮内膜に問題があったり、ホルモンや抗体の異常が原因の場合には、受精卵が着床しにくい「着床障害」を起こしやすくなることも。ふだんの生活では気づかないことも多いので、赤ちゃんが欲しいと思ったら、一度病院で検査を受けておくと安心です。

⇒⇒今年中に絶対妊娠!妊活卒業生48人に聞いた「私はこれで妊娠しました」体験談

次の妊娠に向けて気をつけたいこと

一般的な妊娠検査薬で正確に検査ができるのは、生理予定日から1週間後からです。「赤ちゃんを授かりたい!」と思っていると、どうしても生理予定日ごろに妊娠検査薬を使いたくなるかもしれませんが、正しい使い方をしないと正しい判定結果が出ないこともありますし、化学流産の不安も増えてしまいます。妊娠検査薬はフライングで使わず、生理予定日の1週間後以降に検査をするようにしましょう。

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編集部まとめ

化学流産の原因のほとんどは受精卵の染色体異常で、妊娠を望んでいる本人には原因がありません。しかも、排卵日前後にタイミングをとっても妊娠が成立する確率は20%前後。それだけ化学流産は起こりやすいということなので、自分を責めないようにしてくださいね。

化学流産すると、また妊娠できるかどうかが心配かもしれません。でも、受精することができたのですから、「第一ステップはクリア」と前向きに考えて。体にも大きなダメージはないので、また妊娠できるチャンスは十分あります。不安になりすぎないで大丈夫ですよ!

取材・文/荒木晶子 構成/木村亜紀子

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監修
桜十字ウィメンズクリニック渋谷
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桜十字ウィメンズクリニック渋谷

一般不妊治療、高度生殖医療はもちろん、不育症や不妊治療に関わる日帰り手術も行ない、
不妊で悩む患者様に対しオールラウンドに対応できる設備と体制を完備。一人一人の希望や思いに沿った、オーダーメイドの治療を提案します。

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